【4月10日開始】圏外はもう死語?日本初「au Starlink Direct」でできること5選

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「au Starlink Direct」でできることとは?

「空が見えれば繋がる」という衝撃的なメッセージと共に、2025年4月10日auがスペースXの提供するStarlink衛星とスマホが直接接続できるサービス、「au Starlink Direct」を開始しました。

au Starlink Directって何だかすごそうだけど、一体何ができるの・・・?

そんな疑問に答えるべく、この記事ではau Starlink Directとは一体何なのか、そして何ができるのかについて解説していきます。

au Starlink Directとは一体なに?

まず、そもそも「Starlink」とは何なのでしょうか?

「Starlink」とは、イーロンマスク氏率いるSpaceXが開発する低軌道衛星通信のことです。低軌道衛星とは、高度約550kmを飛ぶ、いわゆる非静止衛星と呼ばれるもので、静止衛星に比べると伝道遅延が少ないのが特徴です。

また、Starlinkは多数の人工衛星群を連携させる「衛星コンステレーション」という技術により、世界中の多くの地域で衛星通信を提供できます。こうした技術により、Starlinkは通信環境の安定しない山間部などでも、高速・低遅延のインターネット接続を提供することが可能です。

SpaceXはこの技術を活かして、電波がないところでもStarlilnk衛星を通じて、携帯電話の利用が可能になる「Starlink Direct to Cell(D2C)」プロジェクトを起ち上げました。現在、米Tmobileを筆頭に、世界各国から10社の携帯電話事業者がパートナーとして当プロジェクトに参画しています。

D2Cの衛星接続のしくみ
D2Cの衛星接続のしくみ。スターリンク衛星と地上ネットワークが接続し、パートナーの携帯電話事業者を通して通信が提供される。
上図:Starlink公式サイトより引用(https://www.starlink.com/business/direct-to-cell)

そして今回、日本で初めてスマホとStarlinkの直接接続サービスの提供を実現したのが、今回4月10日に発表された「au Starlink Direct」です。これにより、auユーザーは「空が見える環境」であれば、KDDI回線がないような僻地や、通信が乱れがちな災害時などでもスマホで連絡を取ったりすることが可能になります。

現時点では、「au Starlink Direct」は無料で提供されています。当面は無料での提供とのことなので、どこかのタイミングで有料化されるのかもしれませんね。

また、「au Starlink Direct」が利用できるのは最新端末に限られます。例えば、iPhoneだとiPhone 14以降のみ利用可能となっています。

下記、一部人気スマホの対応端末表です。

au Starlink Direct対応機種一覧
iPhoneiPhone 16 Pro/iPhone 16/iPhone 16e/iPhone 15 Pro Max/iPhone 15 Plus/iPhone 14 Pro Max/iPhone 14 Plus/iPhone 16 Pro Max/iPhone 16 Plus/iPhone 15 Pro/iPhone 15/iPhone 14 Pro/iPhone 14
GoogleGoogle Pixel 9a(近日対応予定)/Google Pixel 9 Pro Fold/Google Pixel 9/Google Pixel 9 Pro/Google Pixel 9 Pro XL
KYOCERATORQUE G06
SamsungSamsung Galaxy A25/Samsung Galaxy S25/Galaxy Z Flip6/Galaxy A55 5G/Galaxy S24/Galaxy Z Flip5/Galaxy A54 5G/Galaxy S23/Galaxy Z Fold4/Galaxy S22 Ultra/Samsung Galaxy S25 Ultra/Galaxy S24FE/Galaxy Z Fold6/Galaxy S24 Ultra/Galaxy S23FE/Galaxy Z Fold5/Galaxy S23 Ultra/Galaxy Z Flip4/Galaxy A53 5G/Galaxy S22
SHARPAQUOS sense9/AQUOS sense8
Sony CorporationXperia 10 VI/Xperia 5 V/Xperia 1 V/Xperia 1 VI/Xperia 10 V
XiaomiXiaomi 14T/Xiaomi 13T/Redmi Note 13Pro 5G/Redmi 12 5G

au Starlink Directでできること5選

ここでは、具体的にau Starlink Directを使ってできることを紹介していきます。

テキストメッセージの送受信

通信環境が整備されていないような僻地でも、空が見える環境であれば、テキストメッセージの送受信が可能です。

iPhoneでは「iOS メッセージ」アプリ、Androidでは「Google メッセージ」アプリを通してテキストメッセージのやり取りができます。

但し、周りに木や山などの遮断物がある場合は、通信接続が制限される場合があります。また、衛星接続に時間がかかってしまうような場合は、一時的に電波を停止するようなこともあるようです。

接続がうまくいかない場合は、開けた場所に移動するなどして、再度チャレンジしてみましょう。

位置情報の共有

スマホの位置情報の共有も可能です。

 位置情報の共有は、テキストメッセージ同様、iPhoneでは「iOS メッセージ」アプリ、Androidでは「Google メッセージ」アプリを通して送ることができます。

緊急速報メールの受信

緊急速報メールも受信できます

緊急速報メールとは、気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報、国や地方公共団体が配信する災害・避難情報を、特定エリアのau電話に一斉にお知らせするサービスのことです。

このような大切なお知らせも、日本国内ならどこにいても受信することができます。

AIチャット機能の利用

AIチャット機能も利用することができます

Androidは「Gemini in Google」、iPhoneはKDDIが提供する「シンプルAIチャット」の利用が可能です。

但し、「シンプルAIチャット」は18歳以上の方のみの利用に限られているので、18歳未満のiPhoneユーザーは現時点ではau Starlink Direct接続時のAI使用はできません

無料で利用できる(当面の間)

auはこのStarlink Directサービスを当面の間無料で提供すると発表しています。申し込みなども不要です。

auユーザーで対象機種であるスマホを利用していれば、無料で利用が可能です。

いつかは有料化となるのかもしれませんが、auとしては「まずは広く使ってほしい」という思いがあるそうです。

au Starlink Directの注意点6選

UQモバイルやpovo 2.0では使えない

auからリリースされたau Starlink Directサービスですが、現時点ではKDDIグループのサブブランドであるUQモバイルやオンラインプランのpovo 2.0では利用できません

ただ、povo 2.0のeSIMでは衛星通信の切り替えボタンがインストールされた等というニュースもあり、今後のサービス拡充が期待されます。

使えるのは日本領海内まで

au Starlink Directは「空が見えるところならどこでも繋がる・・」という謳い文句ではありますが、auのサービス提供は日本国内の利用に限られます。

正しくは日本領海内までとなっており、領海とは日本全国の沿岸線から12海里(約22km)までの範囲で、au Starlink Directは日本の領土内のみ使用可能ということになります。

au 5G/4G LTEの電波が届くエリアやWi-Fiの通信範囲は使えない

「せっかくau Starlink Directがリリースされから試してみたい」という方も多いと思います。

しかし、Starlink衛星接続への切り替えは手動ではできません
au Starlink Directの利用はau 5G/4G LTEの電波が届かないような場所で初めて利用できます。

画像やファイルは送れない

残念ながら、指定のコミュニケーションアプリを使っても、画像やファイルを添付することはできません

現時点では、テキストメッセージのやり取りのみです。

データ通信はできない(2025年夏には可能?)

データ通信の利用もできません。

しかし、SpaceXでは2025年以降にはデータが利用できることを目標にしていると言われています。

音声通話は使えない

音声通話も使えません。

但し、音声通話利用の開始もデータ通信同様、SpaceXの「D2C」プロジェクトの目標となっています。

au Starlink Directはどういう人におすすめ?

  • au Starlink Directがおすすめな人
  • 災害時に利用できる通信サービスを探している
  • 山間部などの電波がない場所に住んでいる、またはそういった場所に行く機会が多い
  • 海釣りなどを安心に楽しみたい

災害時の対応などを考えると、Starlink Directは全ての人におすすめといえるでしょう。ただ、現在利用できるのが月額料金が高額なauのみということもあり、乗り換えてまでStarlink Directを使う必要性はないかもしれません。

それでも、電波が届かない場所に頻繁に行くような人には、非常におすすめできるサービスです。

そうでない場合は、サービスがUQモバイルやpovo 2.0に展開されるのを待ってみるというのもおすすめです。

筆者個人としては、デュアルSIMで回線違いの格安SIMを持つことを考慮すると、UQモバイルやpovo 2.0のオプションとして月額500円程度で「Starlink Direct」が利用できるなら、乗り換えも選択肢としてありだと思いました。

「圏外」はもう死語?au Starlink Directは発展途上だけど期待大

D2Cのロードマップ
D2Cのロードマップ。テキストは2024年以降、データ通信やIoTは2025年以降、音声通話は「coming soon(近日予定)」となっている。
上図:Starlink公式サイトより引用(https://www.starlink.com/business/direct-to-cell)

現時点ではau Starlink Directでできることは、主にテキストメッセージのやり取りやAI利用、そして位置情報の共有などに利用範囲が留まります。

しかし、SpaceX社は下記のようなロードマップを掲げており、これから利用範囲が大きく広がることが予想されます。

  • SpaceXのD2C開発ロードマップ
  • テキスト交換(2024年〜)
  • データ通信とIoT(2025年〜)
  • 音声通話(近日予定)

これが本当に実現したら、近い将来、電波がない場所でも電話をしたり、ネットで調べものができる日が来ることが期待できます。

「圏外」という言葉が忘れ去られ、いつでもどこでも快適にスマホが使える未来はすぐそこかもしれません。