電気代が高い・急に高くなった!原因は?解決策は?

今月はなぜか急に電気料金が高い。請求書をみて驚いてしまった。どうして電気代が高くなってしまったのでしょうか?考えられる原因とその解決策をご紹介します。
電気代が高くなった!考えられる原因は?
電気代の請求書を見て、「急に電気料金が増えた。電気代が高い。」と驚いた経験はありますか?
一般的に、電気代が高い・高くなったことの原因は次のどちらかに該当します。
それぞれ解説します。
電気の使用量が増えた
「電気代が高くなった」と感じたら、まずは「電気のご使用量のお知らせ(検針票)」や契約している電力会社のマイページなどで、前月と今月の電気使用量を比べてみましょう。 電気の使用量は「kWh(キロワットアワー)」で表されています。
一般的な電気料金プランにおいて、電気料金は以下のように計算されています。

基本料金(最低料金)の金額は毎月同じですが、電力量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電気の使用量に応じて計算されます。ですから、電気使用量が増えれば、その分だけ電気代も高くなります。
なお、これらの要素のうち、再生可能エネルギー発電促進賦課金のみ、電力会社ではなく、国が単価を確定しています。単価は全国すべての電力会社で同じで、1年間固定となります。(4月~翌年5月)
電気料金自体が値上がりした
「電気使用量が増えていないのに電気代が高くなった」「電気使用量も増えたけど、電気代の上がり方がそれ以上に大きい」という場合は、電気料金自体の値上がりが原因と言えます。
事実として2022年以降、全国的に電気料金は値上がりの傾向が続いています。契約中の電力会社のホームページなどで料金設定の変化を確認してみましょう。特に確認すべきは、「燃料費調整額」の単価です。
なぜ燃料費調整額を確認すべきか、なぜ電気料金が値上がりしているのかについて、次で詳しく解説します。
なぜ最近電気料金が値上がりしているの?
最近電気料金が高くなっているのは、ウクライナ情勢や円安で燃料の輸入価格が高くなっていることや、原子力発電所の停止や老朽した火力発電所の廃止などで電気が不足していることなどが原因です。
電気を調達するためのコストが高くなっているため、電力会社もコストの上昇に合わせて電気料金を上げないと採算がとれない状態になっています。
燃料費調整額が値上げされている
一般的な電気料金プランにおいて、電気の調達コストを電気料金に反映させる要素が「燃料費調整額」です。電気の調達コストは、燃料の輸入価格や為替レート等に影響されて絶えず変化します。燃料費調整額は、この変化を電気料金に反映させるために毎月単価が変わります。
つまり、電気の調達コストが高くなれば燃料費調整単価も高くなり、逆にコストが下がれば単価が下がるということです。コストが安いときは単価がマイナスになることもあります。
燃料費調整額の推移
上記で説明したとおり、近年は電気の調達コストが上昇の一途をたどったため、燃料費調整額単価も高くなっています。例として、東京電力が設定している燃料費調整額単価の推移を見てみましょう。
なお、大手電力会社である東京電力では、国の認可を得て決定される「規制料金」のプラン(従量電灯など)と、新電力と同様、電力会社が自由に価格を設定することのできる「自由料金」のプラン(スタンダードSなど)があります。規制料金のプランは、消費者保護の観点から燃料費調整額の単価に上限が設けられています。一方、自由料金には必ずしもこの上限はありません。
規制料金のプランは2022年8月に上限に達しており、自由料金のプランはそれ以降も単価が上昇していることがわかります。2022年の1月~12月で、1kWhの使用につき単価が12.45円値上がりしています。
つまり、同じ300kWhを消費していても、1月と12月では燃料費調整額だけで3,735円の値上がりということになるでしょう。
2023年2月からは多くの電力会社で一時的に値下げ適用
前例のないエネルギー価格の高騰を受け、国は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施しています。申請のあった電力会社に対して補助金を出し、電力会社はこの補助金の分を契約者の電気料金から値引きする、というものです。
この事業に採択された電力会社では、2023年2月検針分(1月使用分)~2023年9月検針分(8月使用分)まで、1kWhあたりの電気使用につき7円が値引きされます。
電気の契約者が行う手続きはなく、契約中の電力会社が当事業に採択されていれば、自動的に電気代から値引きが行われます。
契約中の電力会社が採択されているかどうかは経済産業省の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」のWebサイトで確認可能です。

料金改定をする電力会社も増えている
ここまでで見てきたとおり、ここ最近の電気料金の値上がりの主な原因は燃料費調整額の値上げで、これはすべての電力会社において共通する傾向です。
ですが、中には燃料費調整額の値上げだけでなく、電気料金プラン自体を改定する電力会社も出てきています。
楽天でんきの例を見てみましょう。楽天でんきは全国で電気を販売する新電力です(一部離島除く)。
楽天でんきは2022年6月に以下のような料金改定(値上げ)を行いました。
供給エリア | 旧料金 | 新料金 | 値上げ率 |
---|---|---|---|
北海道電力エリア | 30.00円 | 34.20円 | +14.0% |
東北電力エリア | 26.50円 | 28.80円 | +8.7% |
東京電力エリア | 26.50円 | 29.45円 | +11.1% |
中部電力エリア | 26.50円 | 29.30円 | +10.6% |
北陸電力エリア | 22.00円 | 24.80円 | +12.7% |
関西電力エリア | 22.50円 | 25.50円 | +13.3% |
中国電力エリア | 24.50円 | 26.60円 | +8.6% |
四国電力エリア | 24.50円 | 26.90円 | +9.8% |
九州電力エリア | 23.50円 | 26.37円 | +12.2% |
沖縄電力エリア | 27.00円 | 28.20円 | +4.4% |
このような料金表の改定があるときは、必ず事前に電力会社から契約者への通知が行われますが、なんらかの理由で見逃していた場合は急な電気料金の値上がりに驚く、ということもあるでしょう。
2023年、大手電力会社も規制料金プランの値上げを予定
さらに、大手電力会社の多くは2023年4月以降の規制料金プランの値上げを予定しています。大手電力会社の規制料金プラン(従量電灯など)は全国でもっとも契約者の多いプランですから、多くの家庭で今以上に電気代が上がることが予想されます。
値上げ予定月 | 電力会社 |
---|---|
2023年4月 | 東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力 |
2023年6月 | 北海道電力・東京電力 |
※2023年2月時点の情報
電力会社によりますが、およそ30~40%の値上げが予定されています。それぞれの電力会社が値上げに関する詳しい情報をホームページで公開していますので、契約中の方は事前に確認しておきましょう。

どうすれば電気代を抑えられる?
電気代を安くするためには、より安い電気料金プランに切り替えるか、電気の使用量を減らすか、どちらかの方法を取る必要があります。
より安い電気料金プランに切り替える
電気使用量を減らさなくても、今使っている電気料金プランより単価の安い電気料金プランに切り替えれば電気代を削減することができますね。
電力自由化以降、私たちは自分の好きな電力会社を選んで自由に契約を切り替えることができます。切り替えの手続きは簡単で、新しく契約したい電力会社に契約申し込みをするだけ。今の電力会社への連絡は不要です。
全国各地で、たくさんの電力会社が多様な電気料金プランを提供しています。お住まいのエリアにある電力会社・電気料金プランを確認してみましょう。

電気の使用量を減らす
電気の使用量を減らしたいと思ったら、使用量が特に多い電化製品の使い方を工夫するのが効果的です。
資源エネルギー庁の調べによると、一般的に家庭で使用している電化製品のうち、特に「電気冷蔵庫」、「照明器具」、「テレビ」、「エアコン」などによる電気の使用量が多いことがわかります。
家庭部門機器別電気使用量の内訳
出典:資源エネルギー庁(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/pdf/h22_bunsekityosa.pdf)
それぞれの電化製品に対して、以下のような対策をとることができるでしょう。またこの他にも、待機電力を消費しますから、使わない電化製品は忘れずにコンセントを抜いておくことも大切です。
- 冷蔵庫:食品を詰め込みすぎない。熱いものは冷ましてから入れる。可能であれば冷蔵庫の周囲に隙間をあける
- 照明やテレビ:使っていない時間はこまめに消す。人数が多いご家庭なら、なるべく一つの部屋に集まってみんなで利用する
- エアコン:フィルターのほこりを取り除く。カーテンを厚いものにする、ドアの隙間をふさぐなどして断熱性を上げる