再エネ賦課金をわかりやすく説明!これまでの単価の推移は?

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、日本の再エネ事業普及を支える目的で我々が電気料金を通じて支払っている税金です。2025年度の再エネ賦課金の単価は1kWhあたり3.98円となっています。
再エネ賦課金の制度が作られた背景やこれまでの単価の推移について、本記事で詳しく解説します。
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、日本における再生可能エネルギー発電の普及を支えるために、電気を利用する私たち消費者が毎月の電気料金を通じて支払っている税金です。
主に下記の自然由来エネルギーのこと。利用しても資源が枯渇せず繰り返し利用が可能なエネルギー源を指す。
「太陽光発電」「風力発電」「水力発電」「地熱発電」「バイオマス発電」
再エネ賦課金の徴収が始まったのは、2012年に「固定価格買取制度(FIT制度)」が導入されたことがきっかけです。次で解説します。
固定価格買取制度(FIT制度)
固定価格買取制度(FIT制度)は、発電事業者が作った再生可能エネルギーを、小売電気事業者が一定期間固定価格で買い取ることを国が約束する制度です。
FIT制度によって、再エネの固定価格での買い取りが保証されるため、発電事業者は採算の見通しが立てやすく、再エネ事業の普及を行いやすくなります。
一方、再エネは、火力発電で作られた電気などと比べて高いのが現状なので、再エネを買い取る小売電気事業者の負担は大きくなります。これでは、わざわざ再エネを購入しようと思う小売電気事業者は多くありませんね。
そこで、小売電気事業者の負担を軽減するために導入されたのが再エネ賦課金です。再エネの買い取り費用の一部を消費者に負担してもらうことで、小売電気事業者は再エネを購入しやすくなり、再エネの供給割合を増やすことができます。

つまり、全国で発電される再エネの買い取り費用を消費者が負担することで、電気事業者が赤字にならないような仕組みになっているのです。逆にいえば、消費者が薄く広く負担し合うことで、お金を電気事業者に回し、再エネ発電の普及拡大を支えていく仕組みといえます。
現に、日本における再エネ発電の割合は、FIT制度導入前の2011年度には10.4%*だったのが、2022年度には21.9%**にまで増加しました。
*「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」2023年10月 資源エネルギー庁
**「日本のエネルギー」2024年版 資源エネルギー庁
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再エネ賦課金の単価の推移
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の単価は、年間でどのくらいの再生可能エネルギーが導入されるかを推算したうえで、毎年度、経済産業大臣が決定します。新しい単価は毎年5月検針分から適用となります。
再エネ賦課金の単価は、契約している電力会社にかかわらず、全国で一律の料金です。
これまでの再エネ賦課金の単価の推移は以下のとおりです。2025年度は1kWhあたり3.98円に設定され、制度導入当初から見て最高値となっています。
上記のグラフを見るとわかるとおり、2012年度のFIT制度導入当初、再エネ賦課金の単価は1kWhあたり0.22円で始まり、標準家庭*のひと月あたりの負担は66円に過ぎませんでした。
その後、再エネ発電の普及が急速に進んだことなどから、毎年右肩上がりで増加していきます。 2023年度には一時大幅に減少したものの、2024年度には1kWhあたり3.49円と再び増加。
2025年度の標準家庭のひと月当たりの負担は1,194円にも上ります。
*1ヶ月あたりの電力使用量が300kWhの家庭
わずか13年で約18倍の値上がりとなっており、消費者の負担が増え続けることを問題視する声も上がっています。そこで、消費者負担を軽減することをひとつの目的とした「非化石証書」のような制度も作られています。
今後の再エネ賦課金単価の見通し
この再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は将来も上がり続けていくのでしょうか。
FIT制度を導入したことにより、再エネの中でも参入しやすく開発期間も短い太陽光発電が急速に拡大しました。太陽光発電は、今ではFITの認定容量のほぼ8割を占めています。特に制度のスタート初期の2012~2014年度には、発電容量10kW以上の事業用太陽光発電が爆発的に増加、賦課金も大きく値上がりしました。2019年度も事業用太陽光発電の買取価格が全体の6割に上り、消費者に重い負担がのしかかる要因になっています。
一方、FIT制度による固定価格での買取期間は限られています。そのため、固定価格での買取期間を終える「卒FIT電気」も2022年以降増えていくことが想定されています。買取期間が10年間の住宅用太陽光発電は2022年に約34万件、139万kWが卒FITを迎えます。買取期間20年の事業用太陽光発電は2032年から卒FITが本格化していきます。
2030年以降は値下がり?
環境省が2013年にまとめた推計*では、こうした要因から2030年までは賦課金単価は値上がりが続くものの、再エネ電気導入量の減少や卒FITの増加で、2030年以降は値下がりが続くとみられています。家計への負担も2048年にはほぼなくなるという見通しです。ただし推計が古く、2020年の見通しも実際とは違っているなど、この推計の通りになるのかどうかはわかりません。
なお、電力中央研究所は2020年3月、より厳しい見通しを研究結果**で発表しています。今後は太陽光に加えて、買取価格が高い風力が大幅に増えるとみて、賦課金の単価も2030年度は2019年度より4~6割以上高い3.5~4.1円まで上がると予想しています。その後の見通しは明らかにしていませんが、国の掲げる再エネ最大限導入と国民負担抑制の両立は困難といい、「費用対効果の検証と改善が不可欠」と指摘しています。
* 環境省「平成25年度2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討報告書」
** 一般財団法人 電力中央研究所「2030年における再生可能エネルギー導入量と買取総額の推計」
再エネ賦課金の計算方法
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、電気の使用1kWhにつき単価が決められており、使用量に応じて負担額が決定するしくみとなっています。
たとえば、ひと月の電気使用量が300kWhのご家庭で支払う再エネ賦課金の総額は、以下のように計算されます。
再エネ賦課金の計算例:300kWh/月使用の場合 |
---|
300kWh × 3.98円 = 1,194円 |
再エネ賦課金を減らす方法は?
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、電気の使用量が増えるほど高くなるしくみになっています。
したがって、金額を抑えるには電気使用量を減らすしかありません。無駄な電気は使わない、家電のスイッチをこまめに切る、省エネ効率の高い家電に買い換えるなど、省エネを心がけましょう。
また、自宅に太陽光発電システムを導入すれば、自分で作った電気を利用できますから、電力会社から購入する電気の量を減らすことができ、再エネ賦課金の減額にもつながります。さらに、余剰電力を売ることによって、再エネ賦課金以上の売電収入を得られるかもしれません。
再エネ賦課金とは?単価の推移は?まとめ
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、電気事業者が再生可能エネルギーの買い取りにかかった費用を、消費者全体で負担し、再エネ電気の普及拡大を後押しする仕組みです。国が年間にどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを推測し、経済産業大臣が毎年度、全国一律で単価を決めています。この単価にそれぞれの電気使用量を掛けた金額が再エネ賦課金になり、電気料金に上乗せして請求されています。
2012年度のFIT制度導入当初、単価は1kWhあたり0.22円、標準家庭あたりでの月額は66円にすぎませんでした。その後、再エネ発電が急速に普及して電気事業者の買取費用も増え、毎年値上がりが続いてきました。2025年度には3.98円、標準家庭で月額1,194円にもなり、再エネ普及と消費者の負担増とのバランスが問われています。

監修:グザビエ・ピノン
世界17か国で電気・ガス料金比較サイトを展開するセレクトラの共同創設者。パリ政治学院にてファイナンスおよび企業戦略の修士号を取得。米国コロンビア大学にて国際エネルギー政策学の修士号を取得。東京大学で1年間の留学経験を持つ。電力市場に関する書籍を出版しており、仏メディアへの出演も多数。