新電力とは？【電気を選ぶ時代の知識】

テレビのCMや節約情報でも話題になる電気料金プランの切り替え。新しい電気料金プランは「新電力」でとお考えの方も多いと思います。ところでこの「新電力」とは一体何か？今までわからなかった方もこの記事を見れば大丈夫。電気の切り替え、電力会社の切り替えに不安がある方は、ここで情報をチェックしましょう。

新電力とは？

新電力はその名のとおり、「新」しい「電力」会社です。何と比べて新しいのかというと、「大手電力会社」です。

大手電力会社は全国に10社あり、近年までそれぞれの地域の電力供給を独占して行ってきた電力会社です。

つまり、新電力とは「大手電力会社10社以外で電気を販売している電力会社」のことを指しています。

大手電力会社10社 北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力

どうして新電力が電気を販売できるようになったの？

大手電力会社だけでなく、新電力も電気を販売できるようになったのは、電力小売市場が自由化されたためです。

電力自由化で「新電力」が誕生

日本は長い間、地域ごとにひとつの電力会社が「発電」「送配電」「小売」を担当し、その地域の電力供給すべてを独占的に行っていました。これは、戦後に安定した電力供給を行うために考えられたしくみでした。しかし、安定的な電力供給が定着して市場が成長するにつれて、独占状態から生まれる弊害（効率化が行われず、コストが高止まり）が問題となりました。

この状態を受けて、市場競争を促して電気料金の値下げや消費者の選択肢拡大のため、電力小売の独占が段階的に解除されていきます（電力自由化）。

電力自由化の各段階で、大手電力会社以外の新しい企業が小売電気事業者として市場に参入しました。これらが「新電力」というわけです。

新電力という言葉は、2016年の一般家庭向けの電力小売の自由化のタイミングで広く知れ渡るようになりました。

新電力の電気の質はこれまでと違う？

「新電力って電気の質は大丈夫なの？」と不安に思う方もいるかもしれません。ですが、電気の質は大手電力会社でも新電力でも変わることはありません。

なぜなら、どの電力会社の電気もすべて同じ送電線を通って送られてくるためです。発電所で作られた電気は、送電線を通る過程で混ざり合い、各契約者へと届けられます。そのため、どの電力会社から電気でを買っても届けられる電気の質は同じ、ということになります。

なお、電気を各契約者に届けるために必要な送電線などの設備は、大手電力会社が分社してできた送配電を専門とする会社が管理を行っています。

電力自由化に伴って起きた大手電力会社の分社化（発送電分離）

先ほど確認したとおり、長い間大手電力会社は「発電」「送配電」「小売」をすべて独占してきましたが、経営の効率化やコスト削減を目指して市場の自由化が少しずつ進められました。

実は、「発電」部門については小売部門よりも前、1995年に自由化されています。そして、2000年から2016年にかけては「小売」部門が自由化されました。つまり、今は誰でも自由に発電・小売ができるということです。

一方で、電気を発電所から契約者まで届ける「送配電」部門については、今までどおり大手電力会社が管理を続けています。これは、新しい企業を参入させてそれぞれが送配電網を設置するよりも、一元的に管理する方が安全で効率が良いためです。

この体制に伴って、大手電力会社は3つの部門をそれぞれ切り離して別会社とすることが義務付けられました（発送電分離）。これは、新電力が送配電網を使う時などに大手電力会社と比べて不当な扱いをされないようにするためです。

東京電力グループの分社化事例

例として、東京電力グループの分社化をご紹介します。大手電力各社は「発電」「送配電」「小売」の完全な分離を2020年までに実行しました。

電力自由化で参入した新電力の数は？どんな新電力がある？

電力小売が自由化されてから、どのくらいの新電力が市場に参入したのか、どのような新電力があるのかを見ていきましょう。

電力自由化の市場規模と新電力

2023年2月現在、新電力（小売電気事業者）の数は728社にのぼります。

2016年の自由化によって、大手電力会社から解放された市場のサイズはなんと約8兆円規模と言われています。

顧客数は一般家庭・商店・オフィスを合わせると8500万件になります。市場が解放されたことによって、これだけの消費者が数ある新電力の中から自由に電気料金プランを選ぶことができるようになったのです。こうして、大規模な切り替え需要を見込んであらゆる業界から電力業界への参入が起きています。

新電力の例

2016年の電力小売自由化以降、どのような新電力が市場に参入しているのでしょうか。いくつか例を見てみましょう。

新電力に切り替えるメリット・デメリットは？

新電力に電気契約を切り替えるとどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか？それぞれ詳しく見ていきましょう。

 新電力のメリット

 電気代が簡単に削減できる

全国の一般家庭でもっとも契約者の多い電気料金プランは、各大手電力会社の「従量電灯」です。従量電灯は、電力自由化前から存在する、国の認可を得て料金が決められた規制料金プランです。

新電力は基本的に、この「従量電灯」よりもなんらかのかたちで電気代が安くなる単価設定のプランを提供しています。したがって、電気使用量はそのままでも、大手電力会社の従量電灯から新電力に電気料金プランを切り替えることで、電気代が簡単に削減できる可能性が高い*と言えます。

*ただし、燃料価格が高騰している間は、新電力の燃料費調整額が大手電力会社・従量電灯のそれよりも高くなり、電気代がお得にならない場合があります。新電力への切り替えを検討する際は、燃料費調整額の単価をご確認ください。

 ライフスタイルに合わせたプランが豊富

新電力は、電気料金がお得なプランだけでなく、ライフスタイルに合わせた多様なプランがあります。

✅他のサービスと一緒に契約してお得

新電力の中にはもともとガスを販売している企業が少なくありません。これらの新電力の中には、電気とガスをまとめて契約した場合にセット割を提供しているところがあります。

他にも、Amazonプライムがついている電気料金プランでは、Amazonプライムの月額固定費をそのまま払うよりも電気代の節約額の方が大きくなり、結果としてお得になります。

✅環境にやさしい電気を使えるプラン

新電力の中には、オクトパスエナジーのように、非化石証書の利用などを通じて、実質再生可能エネルギー100%の電気を供給している電力会社があります。環境負担の少ない暮らしをしたいと考えている方にぴったりです。

✅ポイントが貯まるプラン

また、Pontaでんきのように電気使用量に応じてポイントが貯まるプランも注目を集めています。

 新電力のデメリット

 支払い方法が限られることがある

大手電力会社と新電力では、電気料金の支払い方法に違いがあります。大手電力会社では基本的に、①振り込み用紙による支払い、②銀行口座振替による支払い、そして③クレジットカードによる支払いの3通りを受け付けています。

一方、新電力のほとんどは①振込用紙による支払いを受け付けていません。そのため現在、振り込み用紙で電気料金を支払っている方は支払い方法を変更しなければならない可能性が高いでしょう。

オクトパスエナジーならコンビニ払いも可能！ 実質再エネ100%の電気が使えるオクトパスエナジーでは、電気料金の支払いをコンビニで行うことができます。
 オクトパスエナジー 公式サイト

 燃料費高騰の影響を受けやすい

日本の電気の7割は火力発電で作られています。そのため、燃料となるLNGや石炭の輸入価格が電気料金にも影響します。大手をはじめとする電力会社は、電気料金に「燃料費調整額」という項目を設けてこの燃料価格の変動を毎月の電気代に反映しています。

ほとんどの新電力は、燃料費調整額の単価を大手電力会社の従量電灯と同じ方法で計算しています。そのため、通常時の新電力と大手電力会社の燃料費調整額は変わりません。しかし、大手電力会社の従量電灯は、規制料金プランであるため、消費者保護の観点から、単価に上限が設けられています。一方、新電力は燃料費調整額単価に上限を設けていません。

したがって、燃料価格が一定を超えると、大手電力会社よりも新電力の燃料費調整単価の方が高くなってしまいます。つまり、燃料価格が高騰している間は、新電力の電気代が安くならない場合があります。

自分にぴったりな新電力を見つける方法は？

新電力の中で自分のライフスタイルにぴったりな電気料金プランを見つけたいと思ったら、セレクトラの地域別・電気料金プラン比較を参考にご覧ください。タイプ別におすすめな電気料金プランを詳しくご紹介しています。

また、セレクトラのらくらく窓口までご連絡いただければ、エネルギーのエキスパートが最適な電気料金プラン探しを無料でお手伝いします。お気軽に「 03-4520-9550」までお電話ください（営業時間：年末年始除く9時～19時）。

新電力の切り替えに関するQ＆A

新電力の切り替えに関してよく寄せられる質問を以下にまとめます。

Q1 新電力にすると電気の質が変わる？停電が起きやすくなる？

「新電力の電気の質はこれまでと違う？」でも説明したとおり、新電力の電気の質は、大手電力会社のそれと変わりません。したがって、新電力に切り替えても停電しやすくなるなどの不便はありません。今までどおりに電気を使うことができます。

Q2 新電力は信頼できるの？

新電力会社として「小売電気事業者」になるには、国の審査を受ける必要があります。どんな会社でもできるというわけではなく、電気を販売する会社としての能力がなければ「小売り電気事業者」にはなれません。

登録事業者は経済産業省のHPで確認することができます。また、経産省ではそれぞれの事業者がどれだけ電気を販売しているかという数値も公表しています。すでに多くの人が利用しているというのも、安心材料の一つになるでしょう。

Q3 新電力が倒産したらどうなるの？

現在利用している新電力が倒産などで電気小売事業を停止・廃止する場合、契約者への事前通知義務があります。ですので、「いきなり倒産して電気がすぐ止まる」ということはまずありません。電気の供給停止までの間に必ず他社への契約移行期間があります。

また、新電力が倒産した後でも電気は続けて供給されます。この場合、それまで利用していた電力会社のプランから地域の送配電事業者（＝大手電力会社の送配電部門）の「経過措置プラン」に自動的に移行され、電気の供給が継続されます。

Q4 新電力で本当に電気代は安くなるの？

新電力に切り替えると本当に安くなるかどうかは、現在の電気の利用状況に合った電気料金プランを選べるかどうかにかかっています。

以下から自分に合った電気料金プランをお探しください。