世界の電気料金-フランスの電気料金事情は?
フランス発のヨーロッパ最大手電気料金比較サイト・セレクトラが電気契約と電気料金などフランスの”エレクトリシテ”事情について解説します!フランスの電力自由化に関心のある方、フランスへの転勤や留学を控えている人にも便利な情報です!
- フランスは電力自由化では日本より先輩。誰(個人でも法人)でも自由に電力会社(電気料金)を選ぶことができます。
- フランスでは社の自由化前は電力会社はEDFの1社しかありませんでした!
- フランス人の中にはいまだにEDF以外の電力会社が選べることを知らない人もいる!
目次:
日本では2016年4月に始まった電力自由化ですが、フランスでは2007年から電力自由化が始まっていました。すでに電力自由化が行われている欧米諸国の中から、フランスの電力事情をご紹介します。
フランスの電力事情
フランスはいつ電力自由化されたの?
フランスで電力自由化がされたのは2007年のこと、日本は2016年に自由化されたことを考えるとフランスは少し先輩と言えますね。フランスの電力自由化も日本と同じように、まずはたくさん電気を使う工場や企業から、そして最終的には一般家庭までと段階順に行われました。
1999年2月 | 「EU電力自由化」指令により実質的にフランスで電力小売の自由化がスタート フランス電力自由化第1弾(年間消費電力量1億kWh以上の需要家約200件、全体の20%が対象) |
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2000年2月 | フランス政府が改めて「電力自由化法」を成立 |
2000年5月 | フランス電力自由化第2弾(年間消費電力量1,600万kWh以上の需要家約1,600件、全体の30%が対象) |
2003年2月 | フランス電力自由化第3弾(年間消費電力量700万kWh以上の需要家約3,300件、全体の37%が対象) |
2004年7月 | フランス電力自由化第4弾(産業用・業務用需要家が対象) |
2007年7月 | フランス電力自由化第5弾(家庭用需要家が対象)、フランスで電力全面自由化へ |
電力会社をスイッチングできることをしらないフランス人もいる?
しかし、フランスと日本の電力事情では少し違いもあります。例えば、日本の場合は独占企業と言えども自由化前には10社の電力会社が日本にはありました。(東京電力、関西電力、中部電力などです。ご存知の通り、電力自由化以前は東京に住んでいれば東京電力、と契約できる電力会社には地域ごとの制限がありました。)一方、フランスの場合はEDF社(Électricité de France)(ウーデーエフと発音します。)の一社しかありませんでした。そのため、当たり前ですが、フランスでのEDF社のシェアはほぼ100%という状態でした。電気イコールEDFという感じで、非常に強いブランドイメージがフランス国民に根付いていいました。
このようにフランスでのEDFの影響力は絶大だったため、未だにフランス人の中にはEDFの電力会社以外の電力会社が選べることを知らない人もたくさんいます。もしEDFの電気以外選べることを知らないフランス人にあったら是非教えてあげてください。
フランスにはどんな電力会社がある?
EDF以外の電力会社が選べることが分かったら、次に気になるのは、「じゃあ、フランスには他にどんな電力会社がある?」という点ではないでしょうか?フランスでは現在、以下のような電力会社が存在してます。
- Total Direct Energie(ダイレクトエナジー)社:フランスの新電力。大手を相手に健闘中のエナジー会社。
- ENGIE(エンジー)社:かつてのガスの独占企業。東京ガスや大阪ガスが電気を販売しているようにガスのENGIEも電気を販売。
- Eni:イタリアの老舗、半国有エネルギー企業。フランスにはまず都市ガス事業からスタート、後に電気の販売を開始。家庭に必要なエネルギープランを提供する。
- Enercoop 社:100%再生可能エネルギープランを提供するサプライヤー。国際環境NGOグリーンピースとのつながりがある。
など。他にもたくさんの電力会社がフランスには存在しています。再生可能エネルギー電気料金プランが選べるのも嬉しいですね。
フランスにはどんな電気料金プランがある?
フランスの電気料金は、日本ほど複雑ではありません。基本料金は3kVA-36kVAの中から必要な容量を選びます。(フランスではPuissanceと呼ばれます。)選ぶ容量によって料金は異なります。もちろん、容量が大きければ大きいほど値段も上がります。これは日本と一緒です。
電力量料金は、1kWhあたりいくらで設定されています。日本のように電気の使用量に応じて3段階にkWhの料金単価が変わるようなしくみではありません。いつ、何時に、どれだけ電気を使っても電気料金(1kWhあたりの料金単価)は変わらないというわけです。
フランスには1kWhあたりの料金単価は変わらないと説明しました。ただし、電力会社によってはピークタイムの値段とオフピークタイムの値段が違うというものです。電気のたくさん使用される時間帯は1kWhあたりの料金が高めに、逆に電気の使用の少ない時間帯は値段が安く設定されているプランです。夜型生活の人にはおすすめのプランかもしれません。
さらにはインデックス料金フィックスド料金がありますが、インデックス料金ならば規制の電気料金(1kWhあたりの料金単価)より必ず○%お安くしますというプランです。フィクスド料金ならば1年間値段が変わらないというプランです。規制料金が高くなればフィクッスド料金の方がおトクといえますね。一方で、EDFは規制料金で電気料金を提供していますので、EDFよりとにかく安い電気料金なら満足!という方はインデックス料金を選んだ方がいいかもしれませんね。
フランスでの電気料金の選び方
- 契約容量(Puissance)を選ぶ。フランスは、3、6、9、・・・36kVA(キロボルトアンペア)から選ぶ。
- Baseプラン(電力量料金が24時間同じ)かオフピークプランを選ぶ。
- インデックス料金がフィクスド料金を選ぶ。
電気にまつわるフランス語
フランスの電気料金のしくみや種類は分かったけれど、色々な用語があった分かりにくい・・・という方のために、電気契約、電気料金にまつわるフランス語を集めてみました。
- Fournisseurs:サプライヤーの意味。日本でいうところの電力会社にあたります。
- Puissance:パワーの意味。日本のアンペア契約ですが、フランスでは3、6、9、・・・36kVA(キロボルトアンペア)から選びます。ちなみに1kVA=10Aです。
- Prix du kWh:1kWhあたりの料金
- Heures pleines:ピーク時間
- Heures creuses:オフピーク時間
- Sans engagement:違約金なし
- Tarifs réglementés:規制料金
- Electricité verte:グリーン電気。再生可能エネルギー電気のこと。
電力自由化後のフランス電力事情
発電
電力自由化を経て、現在フランスの電力会社にはEDFの他に、CNR(仏GDFスエズ社系)、SNET(ドイツE.ON社系)などが存在します。
しかし、依然としてEDFが国内発電電力量の約80%を占めており、2013年末時点で国内に発電設備9,818万kW(水力2,003万kW、火力1,503万kW、原子力6,313万kW)を所有しています。
水力 | 火力 | 原子力 | 合計 |
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426億kWh | 156億kWh | 4,037億kWh | 4,619億kWh |
出典:一般社団法人海外電力調査会
電力供給
現在、フランスで電力供給事業を行っている事業者には、EDFや地方配電事業者(小売供給部門)など電力自由化以前からの既存事業者が約160社、そして自由化で新たに参入した新規事業者が約20社があります。
フランスでは、電力自由化以前はEDFと地方配電事業者がそれぞれの管轄地域内において独占的に需要家へ電力供給を行っていました。
しかし2000年の「電力自由化法」によってフランスで電力小売が段階的に自由化されると、EDFなど既存事業者から新規事業者にスイッチングして電力供給を受ける需要家が増えてきています。
2013年末時点でのフランスでの新規事業者による電力販売シェアは、産業用・業務用需要家向けで22.2%、家庭用需要家向けで8.9%です。
フランス電力自由化で生まれたエネルギー比較サイト「セレクトラ」電力自由化ですべての人が自由に電力会社を選択できるようになったフランスですが、一方でどのように最適な電力会社や料金プランを選べばよいのか?という新たな問題が発生。セレクトラはそんなニーズに応えるべくフランスで生まれた電力・ガス比較サイトで、2014年だけでもフランス国内で約10万件のよりお得な電気・ガス契約の成立に利用されています。
電気料金
出典:ユーロスタット(Eurostat)
フランスの電気料金は、産業用、家庭用ともに1990年代中頃から値下がりしたのち、2000年頃から横ばいの状態が続いています。
ただし、2002年より「電力公共サービス拠出制度(CSPE)」の課徴金が増加傾向にあることから、若干値上がりの傾向にあります。
一方、フランスでは原子力発電比率が高いので、その他の欧州諸国のような2000年代前半以降の燃料費高騰の影響は受けていません。
欧州委員会統計局ユーロスタット(Eurostat)のデータによると、2013年下半期におけるフランスの平均的な電気料金は以下の通りで、EUで最も安い部類に入ります。
家庭用電気料金 | 税込 | 0.1589ユーロ/kWh |
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税抜 | 0.1099ユーロ/kWh | |
産業用電気料金(年間消費電力量2,400万kWh) | 税込 | 0.0819ユーロ/kWh |
税抜 | 0.056ユーロ/kWh |
By Yumi
インターネット回線担当
光回線を中心にモバイルWiFi・据え置き回線に関する記事を担当。インターネット契約が必要な人の気持ちに寄り添う、分かりやすい記事づくりを心掛けています。2015年からずっと記事を書き続けています。実機を使った体験レポやアンケート調査も担当。一般財団法人インターネット協会会員。ドットコムマスター認定(認定書)取得。ストリーミングサービスや格安SIMにも詳しい。セレクトラ・ジャパン株式会社は、一般財団法人 テレコムサービス協会会員です。