都市ガス自由化ってなに? - 都市ガス自由化のしくみ、そしてメリットとは?

都市ガス会社は選べる?

都市ガス会社は選べる?

2017年4月の都市ガス自由化で電力会社や通信会社など異業種が新ガス会社として参入しました。価格競争・サービス競争が激化するなかで、都市ガス自由化は私たちの生活に何をもたらすのでしょうか?

  • 都市ガス事業者が増え、事業者間での価格競争が生まれた
  • ガス料金プランが多様化され、利用者の選択肢が増えた
  • 電気とガスのセット割など、これまでにない新サービスが充実した

都市ガスの自由化とは

日本のガス市場は、都市ガスとLPガスとに分かれています。管轄区域に導管を使ってガスを供給しているのが都市ガスで、導管の通っていない地域にガスボンベを設置するかたちで供給しているLPガスです。(都市ガスとLPガスの違いは他にもあります。

2017年4月より実施されたのは都市ガスの全面自由化になります。ちみに都市ガスの需要家は5.5対4.5の割合でLPガスより若干多く、販売量においては全体の80%以上を占めています。

LPガス市場はずっと以前から自由化されており、2万社以上のLPガスが自由な料金、供給地域において競合しています。

しかしながら、2017年4月まで都市ガス会社は、自由化前の電力会社のように管轄地区に独占的にガスを供給しておりました。また、都市ガス事業者数は200以上あるものの、市場の73%以上のシェアは4大ガス会社(東京ガス大阪ガス東邦ガス西部ガス)に占められていました。原料の輸入、都市ガス製造、導管事業もこれらの大手が主導していることも都市ガス市場の特徴でした。

ガスの小売市場全面自由化は、このような地域独占型の都市ガス供給を廃して、市場競争を活発化させ、ガスの需要家が自由にガス会社や料金メニューなどを選べるようにするため行われました。エネルギー市場は世界的にも自由化がすすんでおり、日本でも電力およびガスの自由化が1995年より段階的に行われてきました。ガスの小売自由化のプロセスは以下のように進められてきました。

年月 自由化の対象 自由化率
1995年3月〜
  • 年間契約数量200万㎥以上の大口需要家
  • 大工場、大病院
49%
1999年11月〜
  • 自由化枠を同100万㎥以上の需要家
  • 大工場、大病院、大型商業施設、大型ホテル
53%
2004年4月〜
  • 自由化枠を同50万㎥以上の需要家
  • 大・中工場、大病院、大型商業施設、大・中ホテル
57%
2007年4月〜
  • 自由化枠を同10万㎥以上の需要家
  • 工場、大・中病院、商業施設、ホテル
64%
2017年4月〜
  • 全ての小口需要家に対して自由化
  • 一般家庭や商店
100%

2017年4月からの全面自由化によって、販売量にして残る3分の1の市場の小口需要家も、自由にガス事業者を選ぶことが出来るようになりました。ガス販売量としては全体の3分の1しか占めないとしても、10万㎥未満のガス需要家数(大手都市ガス10社の需要家件数2022万件)は、それ以上の需要家数(同16,400件)の1200倍以上ですから、全面自由化のインパクトは非常に大きいといえます。

この自由化を安全かつ全ての事業者に公平に進めるため、当局では以下のようないくつかのプロセスを推進しています。

託送供給制度の確立 導管分離、適切な託送料金の設定など。
ガス導管事業の創設 ガス導管事業に公益特権を付与し、幹線的ガス導管事業への投資を促進。
保安体制の確立 導管点検や緊急対応などの維持・強化。
需要家保護 ガス事業者の供給力確保、最終保障サービスの提供。
自由化後のガス料金監督 自由化後も一定期間ガス料金の推移を監督

このようにガス需給構造のそれぞれの部門を独立・中立化させて行われるガスの自由化は、電力の自由化とともにエネルギー市場を大きく変えていくことが期待されております。

ガス自由化これまでの実績

2017年にガス自由化開始して、1年以上が経過しました。2018年9月末時点でガスの切り替え申し込み(スイッチング)が全国で約141万件になりました。スイッチング率は全国で7.2%となり、特に近畿地方が多く10.4%となっていますが、需要家の多い関東地方も今後増えていくことが予想されます。 新ガス会社の販売量も2018年7月時点で全体の12.3%となっています。

ガス自由化のメリット

2017年のガス自由化前には、導入に関して消費者が享受するメリットがいくつか期待されていました。

自由化以前に予想されたメリット
  1. 都市ガス事業者が増え、事業者間での価格競争が生まれる
  2. ガス料金プランが多様化され、利用者の選択肢が増える
  3. 電気とガスのセット割など、これまでにない新サービスが充実する

上記のメリットは実際に実現されたのでしょうか?

メリットの検証

資源エネルギー庁によると、自由化以前の2015年末時点で日本全国には209社の都市ガス会社があり、それぞれの地域で一般家庭向けガスを販売をしていました。さらに、都市ガス全体の売り上げを見ると、大手事業者と呼ばれる東京ガス大阪ガス東邦ガスの3社だけでじつに全体の7割以上のシェアを占めており、まさに独占的な状態が続いてきました。

日本の都市ガス会社売上高 比較
順位 都市ガス会社名 2015年 売上高(百万円) 2017年 売上高(百万円)
1 東京ガス 1,216,536 1,011,990
2 大阪ガス 802,376 614,327
3 東邦ガス 346,637 264,509
4 西部ガス 111,641 93,897
5 静岡ガス 102,129 85,429
6 京葉ガス 70,487 65,584
7 北海道ガス 47,153 46,766
8 広島ガス 53,488 44,940
9 大多喜ガス 53,807 42,470
10 北陸ガス 34,555 29,799

(経済産業省資源エネルギー庁の資料より転載)

2015年と2017年の売上高を比較すると、売上高大手10社は軒並み減収していることがわかります。この理由は原材料費の変化や、オール電化の普及など様々考えられます。しかし、自由化によりこれまでの大手ガス会社から新ガス会社へ移行した人がおり、それが影響していると考えるのが自然でしょう。

2017年にガス自由化がスタートしたことにより、これまでの大手ガス会社の一般契約料金より数%安くなるプランが、新ガス会社から出ています。また、既存の大手ガス会社も含めて、利用スタイルにあわせた新しいガス料金プランやサービスが提供されるようになりました。また1年先行して始まった電力自由化と合わせて、電気とガスのセット割で組み合わせによっては電気とガスの両方がお得になるプランも出てきました。このことから自由化によって期待されたメリットが達成されていることがわかります。

新ガス事業者

ガス自由化でどんな企業が参入しているのでしょうか?

都市ガスの主な原料である液化天然ガス(LNG)の場合は、海外から輸入する、または元売り事業者(アストモスエネルギー、ENEOS、コスモ石油、昭和シェルなど)から購入しなければなりません。

そのため、火力発電の燃料として日本に輸入されている液化天然ガス(LNG)の約7割を所有する電力会社や、石油会社、商社、鉄鋼会社または元売り事業者など、原料をすでに確保している業種からのガス小売参入が多くなります。また、電力自由化で新たに電力の小売に参入した事業者(HTBエナジーイーレックス)が、新ガス会社として新たにガスの販売を始め、セット販売でよりお得なプランを提供しています。

自由化以降に新たに一般家庭へ越境販売をしている小売事業者一覧(2018年11月時点)
電気事業者
東京電力
中部電力
関西電力
九州電力
旧一般ガス事業者
東京ガス
日本ガス
東彩ガス
東日本ガス
新日本ガス
北日本ガス
LPガス事業者
河原実業
レモンガス
サイサン
ガスパル
エネックス
旧ガス導管事業者
JXTGエネルギー
新電力
HTBエナジー
イーレックス
PinT
エフビットコミュニケーションズ
イーエムアイ
その他の事業者
CDエナジーダイレクト
新電力の東急パワーサプライが販売
ファミリーネット・ジャパン
中央電力
関電エネルギーソリューション
アストマックス・トレーディング 

この他にも電力自由化のように原料を持たずに小売に特化する新規事業者も参入しております。例えば電力小売市場でも自由化後に躍進している携帯電話(au)やインターネットプロバイダ(ジェイコム)は、ガスとのセット割プランを出しています。

これら通信業の会社は、すでに日本全国に顧客を持っており販売支店やカスタマーセンターなどの拠点もあることから、電力自由化では全国展開したい電力会社から提携の引く手あまたとなっていました。

大手ガス会社よりも安くなるプラン

新ガス会社 特徴 地域
東京電力
東京電力ホールディングス
  • 東京ガス(一般契約料金)よりガス料金が約3%安くなる
  • 特定の電気料金プランとのセットプラン加入が条件
東京ガスの
供給エリア
東急パワーサプライ
東急パワーサプライ
  • 東京ガス(一般契約料金)よりガス料金が安くなる
東京ガスの
供給エリア
HTBエナジー
HTBエナジー
  • 東京ガス(一般契約料金)よりガス料金が約3%安くなる
  • 特定の電気料金プランとのセットプラン加入が条件
東京ガスの
供給エリア
中部電力
中部電力
  • 特定の電気料金プランとのセットプラン加入が条件
東邦ガスの
供給エリア
J:COM
ジェイコム
  • 電気・ガス・インターネットのセットプランがある
大阪ガスの
供給エリア

大手ガス会社の変化

ガス自由化によって大手ガス会社は、新ガス会社と価格競争・サービス競争をしなければなりません。大手ガス会社もこれまでの規制料金(例えば東京ガスでは一般契約料金と呼ばれるもの)だけではなく自由料金プランを提案しながら、サービスを強化することで新ガス会社に対抗しています。また、大手電力会社が新ガス会社としてガスの小売を始めたように、大手ガス会社も新電力会社として電気の小売を始めました。

例えば、東京ガスのずっとも電気東京電力の一般的な電気料金プランの従量電灯よりも電力量料金が安いだけでなく、ガスとセット割にすることで基本料金がさらにお得になります。

基本料金 ずっともっと1S vs ずっともっと1 vs 従量電灯B
契約アンペア数 東京電力
従量電灯 B
東京ガス
ずっとも電気1S
東京ガス
ずっとも電気1
10A     提供なし
15A     提供なし
20A     提供なし
30A      
40A      
50A      
60A      
電力量料金 ずっともっと1S vs ずっともっと1 vs 従量電灯B
電力消費量(kWh) 東京電力 従量電灯B
(1kWhあたりの値段)
東京ガス ずっとも電気1S
(1kWhあたりの値段)
最初の120kWh    
120 - 300kWh    
300kWh以上    
 
電力消費量(kWh) 東京ガス ずっとも電気1
(1kWhあたりの値段)
最初の140kWh  
140 - 350kWh  
350kWh以上  

従量電灯Bずっとも電気1Sずっとも電気1の基本料金を比較すると、アンペアがごとに差がないことがわかります。ただし、ずっとも電気1では30A以下のアンペア契約ができません。

電力量料金を比較すると、電力をより多く使う方はずっとも電気1Sずっとも電気1の方が安くなっているのがわかります。

  • ガス自由化による影響
  • 都市ガス事業者が増え、事業者間での価格競争が生まれた
  • ガス料金プランが多様化され、利用者の選択肢が増えた
  • 電気とガスのセット割など、これまでにない新サービスが充実した

ガス自由化時代にガス会社を選ぶポイント

ガスの小売全面自由化でガス会社が選べるようになったといっても、給湯器や調理器などをガスに頼っている家庭ではとりわけ、ガスの供給先を変えるというのはそう簡単な選択ではありません。

長らく契約を結んできた都市ガス事業者以外の新規参入ガス事業者とあえてガス供給の契約を結ぶからには、変えるだけのメリットがなくては意味がないでしょう。

検討中の事業者のガス供給力や小売販売実績などが信頼に足るレベルかどうか、自分の住んでいるエリアに供給しているか、切り替えによってどれくらいのコストカットが望めそうかなど、多角的に吟味する必要があるでしょう。

  • ガス会社を選ぶポイント
  • 自分の住んでいるエリアにその会社の都市ガスが供給されているのか?
  • 本当にガス代のコストカットができるのか?
  • ガスと電気のセット商品だと安くなるのか?

いずれにせよ、新規料金メニューに関する情報収集と分析は、より良い事業者選びには欠かせません。そのためにもまずは現在のガス消費を把握し、自分のニーズを把握した上で、情報サイトなどを参照し、検討を進めることが重要です。

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