【2023年4月~】全国の電気料金の値上げについて徹底解説

【2023年4月~】全国の電気料金の値上げについて徹底解説
【2023年4月~】全国の電気料金の値上げについて徹底解説

2023年4月以降、大手電力会社・規制料金プランの値上げが予定されています。これに伴って多くの新電力も値上げすることが予想されており、2023年上半期は全国各地の電力会社において料金の変動が見られるでしょう。この記事では、各電力会社の値上げに関する情報をまとめてお伝えします。(最終更新日:2023年3月16日)

2023年4月以降の電気料金の値上げについて

全国の大手電力会社は、2023年4月以降に規制料金プランの料金改定(値上げ)を発表しています。また、このうち多くの電力会社は自由料金プランの値上げも同時に予定しています。

当初、以下のスケジュールで規制料金プランの値上げを行うべく、各電力会社は経済産業省に申請を行っていました。

規制料金プランの値上げを発表している大手電力会社
2023年4月~ 東北電力・東京電力(1度目)・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力
2023年6月~ 北海道電力・東京電力(2度目)

しかし、実際に4月から料金改定が行われるのは、託送料金分の値上げ反映のみを行う(=値上げ幅の少ない)中部電力・関西電力・九州電力となります
この3社を除く大手電力会社は、28%~45%あまりの大幅な値上げを申請しているため、値上げ幅を小さくして申請しなおすように、と経済産業省から指示が出されています(2023年3月15日時点の情報)。

つまり、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の料金改定は先送りとなっており、いつのタイミングで値上げとなるかはまだわからない状況です。

規制料金プランと自由料金プランの違いは?
規制料金プラン
電力自由化前からある、大手電力会社の電気料金プラン。現状日本でもっとも契約者数が多い
・国の認可を経て価格が決定される
・例:各大手電力会社の「従量電灯」「低圧電力」など
自由料金プラン
・電力自由化後に発売された電気料金プラン
・国の認可なしで価格を決定できる
・例:東京電力の「スタンダードプラン」、関西電力の「なっトクでんき」など。また、新電力の電気料金プランはすべて該当

電気料金値上げの原因は?

電気料金の値上げは昨年から度々メディアで話題となっています。2022年はたくさんの新電力新規申し込み受付の停止や、料金プランの値上げを行ってきました。中には事業停止を行う新電力もありました。そして2023年4月以降は、ほぼすべての大手電力会社が大規模な料金改定を発表するに至っています。

この電気料金値上げの原因は何でしょうか?

原因①ウクライナ情勢などによる電力調達コストの高騰

大きな原因としては、電気を作るため、もしくは電気を買うためのコストが高騰していることです。

今の日本は電気の7割近くを火力発電でまかなっていますが、火力発電に必要な燃料(石炭・LNG・原油)はほぼ他国からの輸入にたよっています。ウクライナ情勢や円安の影響で、これらの燃料の購入にかかるコストが高くなっています

また、原子力発電所が停止していること、老朽化した火力発電所が相次いで廃止されたことによって、日本の発電量は少なくなっています。そのため、電気の需要が増え、それに伴って電気を買うコストも高くなっています。

原因②託送料金の値上げ

もうひとつ、2023年4月に予定されている託送料金の改定も電気料金の値上げに関わっています。

託送料金とは?

電力会社が電気を発電所から各契約者宅に送るには、一般送配電事業者が管理する送配電網を使う必要があります。この送配電網の利用料を「託送料金」と呼びます。

この託送料金が、2023年4月から導入されるレベニューキャップ制度に伴って改定となり、多くのエリアで値上げされることになっています。

レベニューキャップ制度とは?

「レベニューキャップ」とは、「収入上限」という意味です。2023年4月からの託送料金は、レベニューキャップ制度にもとづいて決まります。

レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者は、国の指針に基づいた事業を行うにあたって、数か年計画で必要なコストと利潤を見積もり、収入上限を計算して国に提出します。この金額を国が審査して承認した場合、一般送配電事業者は、この収入上限の範囲で託送料金を設定します。

これまでの総括原価方式とは異なり、レベニューキャップ制度では一般送配電事業者のコスト削減努力が行われやすいしくみです。事業者がコストを削減することで、ゆくゆくの託送料金の値下げが期待されています。

ただし、この4月からの託送料金はこれまでと比べて値上がりする予定です。送電網の増強やデジタル化のための投資等に充てられます。

たとえ・総括原価方式とレベニューキャップ制度の違い
総括原価方式のたとえ
託送料金として入る収入額は「コスト」と「利益」を足した金額。利益は会社の事業資産額と研究開発などの投資額に一定割合(3~5%)をかけて計算される。
ある1年のコストは800円、利益は200円で、収入額は1000円。たとえコストを700円に削減しても収入額が900円となるだけで、電力会社がもらえる利益は200円のまま。
レベニューキャップ制度のたとえ
ある5年間において、一年あたりの収入額の上限は1000円。1年目はコストが900円で、利益は100円だった。それからコスト削減努力をして、2年目はコスト800円で利益200円、3年目はコスト700円で利益300円…となった。5年目終了時点で収入上限が見直され、次の5年間の収入上限は800円となる。

大手電力会社では具体的にどのくらい値上げされる?

実際にどのくらい単価が変わるのか、各大手電力会社の電気料金プランの中身を確認しましょう。

規制料金プラン:値上げの詳細と改定前後の料金比較

規制料金プランについて、これまでの料金と新料金を並べて値上げの幅を確認します。ここでは、一般家庭向けの規制料金プラン「従量電灯」をご紹介します。

※ただし、冒頭で触れたとおり、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力については、以下の申請料金に対して国の認可が降りず、再度算定しなおしが求められているため、金額が変更となることが想定されます。最新情報はそれぞれの公式サイトをご確認ください。

大手電力会社:新旧料金表比較

北海道電力

北海道電力は、2023年6月1日に料金改定の実施を予定しています。規制料金プランだけでなく、「エネとくプラン」などの自由料金プランも改定の対象となっています。

従量電灯Bの使用状況を「契約容量30A、月230kWh使用」と想定した場合の値上げ率はおよそ32%とされています。

北海道電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金
10A 341.00円 374.00円
15A 511.50円 561.00円
20A 682.00円 748.00円
30A 1023.00円 1122.00円
40A 1364.00円 1496.00円
50A 1705.00円 1870.00円
60A 2046.00円 2244.00円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
120kWhまで 23.97円 38.82円
120kWhを超えて280kWhまで 30.26円 46.61円
280kWhを超える 33.98円 50.80円

東北電力

東北電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。規制料金プランだけでなく、「よりそう+ナイト」などの自由料金プランも改定の対象となっています。

従量電灯Bの使用状況を「契約容量30A、月260kWh使用」と想定した場合の値上げ率は31.72%とされています。

東北電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金
10A 330.00円 385.00円
15A 495.00円 577.50円
20A 660.00円 770.00円
30A 990.00円 1155.00円
40A 1320.00円 1540.00円
50A 1650.00円 1925.00円
60A 1980.00円 2310.00円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
120kWhまで 18.58円 31.79円
120kWhを超えて300kWhまで 25.33円 38.68円
300kWhを超える 29.28円 42.89円

東京電力

東京電力は、2023年4月1日と6月1日に二段階での料金改定を予定しています。4月は託送料金の値上げを反映した改定、6月は燃料価格の高騰を反映した改定です。規制料金プランだけでなく、「スタンダードプラン」や「プレミアムプラン」などの自由料金プランも改定の対象となっています。

2023年6月1日からの料金設定に基づくと、規制料金プランは平均29.31%の値上げと想定されています。

4月の新料金は確定ですが、6月の新料金については、国の審査を受けて内容が変更となる場合があります。

東京電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金4月 新料金6月
10A 286.00円 295.24円 286.00円
15A 429.00円 442.86円 429.00円
20A 572.00円 590.48円 572.00円
30A 858.00円 885.72円 858.00円
40A 1144.00円 1180.96円 1144.00円
50A 1430.00円 1476.20円 1430.00円
60A 1716.00円 1771.44円 1716.00円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金4月 新料金6月
120kWhまで 19.88円 19.91円 34.84円
120kWhを超えて300kWhまで 26.48円 26.51円 41.44円
300kWhを超える 30.57円 30.60円 45.53円

中部電力

中部電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。規制料金プランだけでなく、「ポイントプラン」や「おとくプラン」などの自由料金プランも改定の対象となっています。

なお、今回の値上げに伴った料金シミュレーションは近いうちに公式サイトで確認できるようになる予定です。

中部電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金
10A 286.00円 297.00円
15A 429.00円 445.50円
20A 572.00円 594.00円
30A 858.00円 891.00円
40A 1144.00円 1188.00円
50A 1430.00円 1485.00円
60A 1716.00円 1782.00円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
120kWhまで 21.04円 21.33円
120kWhを超えて300kWhまで 25.51円 25.80円
300kWhを超える 28.46円 28.75円

北陸電力

北陸電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。

従量電灯Bの使用状況を「契約容量30A、月230kWh使用」と想定した場合の値上げ率はおよそ30%とされています。

北陸電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金
10A 242.00円 302.50円
15A 363.00円 453.75円
20A 484.00円 605.00円
30A 726.00円 907.50円
40A 968.00円 1210.00円
50A 1210.00円 1512.50円
60A 1452.00円 1815.00円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
120kWhまで 17.84円 30.20円
120kWhを超えて300kWhまで 21.73円 36.75円
300kWhを超える 23.44円 39.65円

関西電力

関西電力は、他の電力会社と比べて電源構成に占める原発の割合が高いため、燃料費の高騰が電気料金に与えるインパクトは限定的です。そのため、2023年4月1日に予定されている値上げは託送料金の値上げの反映のみにとどまり、他エリアと比べて値上げ幅は小さくなっています。

従量電灯Aの使用状況を「月260kWh使用」と想定した場合の値上げ率は1.55%とされています。

規制料金プランだけなく、「なっトクでんき」といった自由料金プランも値上げが予定されています。

関西電力・従量電灯A(税込)
最低料金(円/月) 現料金 新料金
1契約につき
(最初の15kWhまでを含む)
341.01円 433.41円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
15kWhを超えて120kWhまで 20.31円 20.31円
120kWhを超えて300kWhまで 25.71円 25.71円
300kWhを超える 28.70円 28.70円

中国電力

中国電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。

規制料金プランだけなく、「スマートコース」といった自由料金プランも値上げが予定されています。

中国電力・従量電灯A(税込)
最低料金(円/月) 現料金 新料金
1契約につき
(最初の15kWhまでを含む)
336.87円 496.91円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
15kWhを超えて120kWhまで 20.76円 31.39円
120kWhを超えて300kWhまで 27.44円 40.95円
300kWhを超える 29.56円 44.08円

四国電力

四国電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。

料金改定が予定されているのは規制料金プランのみで、平均28.08%の値上げとなる見込みです。

四国電力・従量電灯A(税込)
最低料金(円/月) 現料金 新料金
1契約につき
(最初の11kWhまでを含む)
411.40円 532.68円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
11kWhを超えて120kWhまで 20.37円 31.40円
120kWhを超えて300kWhまで 26.99円 38.02円
300kWhを超える 30.50円 41.53円

九州電力

九州電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。

九州電力は、関西電力と同様に、他の電力会社と比べて電源構成に占める原発の割合が高いため、燃料費の高騰が電気料金に与えるインパクトは限定的です。そのため、2023年4月1日に予定されている値上げは託送料金の値上げの反映のみにとどまり、他エリアと比べて値上げ幅は小さくなっています。

九州電力・従量電灯B(税込)
基本料金(円/月) 現料金 新料金
10A 297.00円 316.24円
15A 445.50円 474.36円
20A 594.00円 632.48円
30A 891.00円 948.72円
40A 1188.00円 1264.96円
50A 1485.00円 1581.20円
60A 1782.00円 1897.44円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
120kWhまで 17.46円 18.28円
120kWhを超えて300kWhまで 23.06円 23.88円
300kWhを超える 26.06円 26.88円

沖縄電力

沖縄電力は、2023年4月1日に料金改定の実施を予定しています。規制料金プランだけでなく、自由料金プランも料金改定の対象です。

従量電灯の使用状況を「月260kWh使用」と想定した場合の値上げ率は39%とされています。

沖縄電力・従量電灯(税込)
最低料金(円/月) 現料金 新料金
1契約につき
(最初の10kWhまでを含む)
402.40円 575.82円
電力量料金(円/kWh) 現料金 新料金
10kWhを超えて120kWhまで 22.95円 40.29円
120kWhを超えて300kWhまで 28.49円 45.83円
300kWhを超える 30.47円 47.81円

燃料費調整額は下がる見込み

上記に掲載した電気料金表には記載されていない要素ですが、多くの大手電力会社において、燃料費調整額の算定基準が見直され、燃料費調整額の単価が下がることが予想されます。だからといって電気料金がぐっと下がるわけではありませんが、燃料価格が今くらいの価格で推移するならば、実際の電気料金は上記の料金表で見るよりもじゃっかん安くなると想定できます。

以下で具体的に説明します。

燃料費調整額とは?

燃料費調整額とは、電気を作るために必要な燃料の調達コストの変動を、コンスタントに電気料金に反映させるための料金です。LNGや石炭などの燃料は、大半を外国から仕入れているため、輸入価格や為替レートに影響されて絶えずコストが変化します。

燃料費調整額は1kWhいくら、という風に単価が決まっています。調達コストが上がれば単価も上がり、逆に下がれば単価も下がります。コストが安いときは単価がマイナスになることもあります。

電気料金の構成
参考:電気料金の構成

基本料金(最低料金)、電力量料金、燃料費調整額の単価はそれぞれの電力会社が決定しています。

基本料金、電力量料金は電気料金表に記載される要素で、基本的に単価が変更されることはありません(もちろん、今回のように料金改定されることはあります)。燃料費調整額の単価は、調達コストに応じて毎月変動し、その単価は電力会社のホームページなどで通知が行われています。燃料費調整単価は、燃料価格の高騰に伴って2022年から上昇の一途をたどっていました。

なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価は国が毎年決定しており、全国で一律料金です。

燃料費調整額・改定前後の料金例

大手電力会社は今回の料金改定で、基本料金と電力量料金の単価を上げた一方で、燃料費調整額単価はこれまでより安くなるように基準燃料価格や係数などの算定基準を見直しています。東京電力の規制料金プランを例にとって見てみましょう。

まず前提として、大手電力会社の燃料費調整額単価は、以下のように計算されます。

  1. 過去3ヶ月間の燃料(原油・LNG・石炭)の貿易統計価格に基づき、平均燃料価格を算定
  2. 平均燃料価格と、予め定めている基準燃料価格を比較
  3. その差分に基づいて燃料費調整額単価を決定。平均燃料価格が基準燃料価格よりも高いと単価はプラスに、平均燃料価格が基準燃料価格よりも安い場合はマイナスになる
    ▷基準燃料価格を上回る場合(プラス調整)= 平均燃料価格 - 基準燃料価格 × 基準単価/1000
    ▷基準燃料価格を下回る場合(マイナス調整)= 基準燃料価格 - 平均燃料価格 × 基準単価/1000

※なお、規制料金プランにおいては、平均燃料価格の上限額は基準燃料価格の1.5倍と定められています。つまり、平均燃料価格が基準燃料価格の1.5倍以上になった場合、1.5倍を上回る部分は調整しない、ということです。

東京電力・規制料金プランの算定基準は以下の改訂が予定されています。

東京電力:燃料費調整額の算定基準見直し
項目 見直し前 見直し後
基準燃料価格 44,200円/kl 94,200円/kl
換算係数 原油 0.1970 0.0047
LNG 0.4435 0.3829
石炭 0.2512 0.6581
基準単価 低圧(従量制) 23.2銭 18.3銭

※平均燃料価格は、原油・LNG・石炭それぞれの貿易統計価格の平均に上記の換算係数をかけて算出する

2022年10月~12月の貿易統計価格の平均を例にとって、それぞれの算定基準で燃料費調整単価を計算してみます。

  • 貿易統計価格平均(2022年10~12月)
  • 平均原油価格:90,114円/kl
  • 平均LNG価格:141,672円/t
  • 平均石炭価格:55,946円/t
東京電力:算定基準見直し前後の燃料費調整額比較
見直し前
平均燃料価格 94,638円
=基準燃料価格を上回るのでプラス調整。ただし、平均燃料価格の上限額である基準燃料価格の1.5倍(66,300円)を上回るため、計算には66,300円を用いる
燃料費調整単価 5.13円/kWh
見直し後
平均燃料価格 91,488円
=基準燃料価格を下回るのでマイナス調整
燃料費調整単価 -0.49円/kWh

この東京電力の見直し後の計算例を見るとわかるとおり、基準燃料価格が高くなると、燃料費はマイナス調整となりやすくなります。

今回の燃料費調整額の算定基準の改定では、各社で基準燃料価格が大幅に引きあげられるます。今年の平均燃料価格が昨年と同程度であれば、燃料費調整額単価はマイナスとなり、電気料金を引き下げるケースが多くなるでしょう。

燃料費調整額の算定基準改定を予定している大手電力会社

なお、燃料費調整額の算定基準を改定すると発表している大手電力会社は以下のとおりです(2023年3月15日時点)。

燃料費調整額の算定基準改定を行う大手電力会社 北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中国電力・四国電力

中部電力・関西電力・九州電力では、料金(基本料金・電力量料金)の値上げはするものの、燃料費調整額の計算方法は今まで通りを予定しています。

新電力は値上げを行う?

ここまでで大手電力会社・規制料金プランの料金改定(値上げ)情報をご紹介してきましたが、今回の大手電力会社の料金改定に合わせて、値上げを行う新電力もあると予想されます。

新電力の電気料金プランは、国の認可を必要としない自由料金プランなので、大手電力会社の規制料金プランのように数か月前から情報が公開されることはありません。ただし、料金改定を行う場合は当然、契約者への通知が必要になります。したがって、仮に料金改定がある場合は、1か月前頃までを目安に通知があるでしょう。新電力と契約中の方は、電力会社からのお知らせをしっかりチェックしておきましょう。

今の段階で値上げが分かっている電力会社

現時点で値上げがわかっている電力会社は以下のとおりです。(2023年3月15日時点、セレクトラで確認できている限りの情報)

2023年、料金改定を予定している新電力
・東急でんき(2023年4月分~)
・ENEOSでんき(2023年5月分~)
・auでんき(大手と同じタイミングで)
・シンエナジー(2023年4月分~)
・小田急でんき(2023年4月分~)
・大阪ガス(2023年4月分~)
・Pontaでんき(大手と同じタイミングで)
・TOKAI(2023年4月分~)
・エネワンでんき(2023年5月分~)
・Looopでんき(2023年4月分~)
・PinTでんき(2023年4月分~)
・J:COMでんき(2023年4月分~)
・eo電気(2023年4月分~)
・まちエネ(2023年6・7月分~)
・イデックスでんき(2023年3月分~)
・エバーグリーンリテイリング(2023年4月分~)
・スマ電(2023年4月分~)
・ネクストでんき(2023年4月分~)
・ONEでんき(2023年4月分~)

複雑になる電力市場。お得な料金プランを見つけるにはこれからどうすべき?

今回の料金改定で、各社の電気料金プランが今まで以上に多様化し、電気料金の比較はこれまで以上に大変になることが予想されます。

「基本料金」+「電力量料金」の比較だけでは不十分?

2022年上旬頃までは、電気料金プランの比較をするときは、電気料金表に記載されている「基本料金」と「電力量料金」だけ確認すれば、どちらのプランが安いかをすぐに知ることができました。

電気料金の構成
参考:電気料金の構成(※再エネ賦課金は全国どの電力会社でも一律)

というのも、同じ電力エリア内であれば、ほぼすべての電力会社において燃料費調整額の単価が同じだったからです。基本的に、新電力は大手電力会社・規制料金プランと同じ方法で燃料費調整額単価を計算していました(例えば、関東にある新電力の燃料費調整額単価は東京電力の従量電灯と同じ、という具合)。

ですが、電気の調達コストが高くなるにつれて、新電力が大手電力会社の規制料金プランと同じ燃料費調整単価を維持するのが難しくなり、単価が異なるケースが増えてきました。

例えば、「電力調達調整費」といった名称で独自の燃料費調整額を設けたり、「追加調整費」といって燃料費調整額に加えて費用を徴収するパターンがあります。

また、たとえ大手電力会社の規制料金プランと同じ計算方法にしている場合でも、大手の規制料金プランでは単価に上限を設けているのに対してほとんどの新電力では上限設定がないため、燃料費が一定を超えてしまうと、新電力の単価の方が高くなってしまいます。

この「電力会社によって燃料費調整単価が違う」という傾向は、今回の料金改定に伴ってさらに顕著になるでしょう。上記で見た通り、複数の大手電力会社が燃料費調整額の算定基準の変更を予定しています。新電力がこれに合わせて改定しない限り、燃料費調整単価の差は今まで以上に大きくなると予想されます。

したがって、これから電力会社を比較・選択するにあたっては、電気料金表に掲載されている「基本料金」と「電力量料金」に加えて、「燃料費調整額」の単価を確認することが重要となります。

セレクトラの電気料金比較

現状では、大手電力会社の新料金はまだ確定しておらず、料金改定する新電力の情報も出そろっておりません。そのため、4月以降の各社の電気料金の比較を現時点で行うのは困難な状況です。
(新電力の料金改定の発表は3月以降に増えると予想されます。新電力を契約中の方は電力会社からのお知らせを欠かさずチェックすることをおすすめします。)

セレクトラでは、電力市場が複雑化する中でも、皆様に正確でわかりやすい情報をお届けできるよう、引き続き各電力会社の動向を注視し、頻繁に情報更新を行うよう努めてまいります。

更新日