漏電ってどういうこと?漏電について解説

漏電とは何でしょうか。そして漏電が起こるとどのような危険があるのでしょうか。その対策も含めて調べてみました。
- 漏電とは、電気が漏れる、つまり電気が本来通るべきルートをはずれて流れる現象をいいます。
- 漏電は、電力の損失となるばかりでなく、感電や火災といった深刻な事故の原因となることがあるので注意が必要。
漏電とは?
漏電とは、電気が本来通るべきルートをはずれて流れる(漏れる)現象をいいます。漏水ならは、本来水が通るべきルート(水道)に穴などがあいてしまい、水が漏れてしまうことをいいますね。これが電気になると漏電と呼ばれるわけです。イメージできたでしたでしょうか。
もっと詳しく説明します。
電気は電線・ケーブルなどの電気を通しやすい物質の中を通り流れています。そして、これら電線やケーブルは、外に電気が漏れないようにするために、通常、絶縁という電気を通しにくい物質で覆われています。
しかしこの絶縁に傷がついていたり、劣化を起こしていたりすると、正常な電気の通り道(電線やケーブルの内)以外にも電気が流れ出てしまいます。
これが漏電です。漏電すると、感電の危険性がありますし、火災といった深刻な事故の原因となることがあります。
漏電の原因

漏電しないよう絶縁体が使用される。各芯線が異なる色の絶縁体で、全体が保護用被覆で覆れている3芯の送電ケーブル。
電気配線や電気器具類には通常、電気が漏れないように不導体あるいは各種の部品や装置を利用して電流を遮断する絶縁と呼ばれる処理がされています。しかし、これが傷ついたり、また、老朽化して被覆がはがれたりすると、外部に電気が流れ出る「漏電」が起こります。
また、防水性のない電気機器が浸水したり水を浴びたりしても、絶縁機能が衰えて漏電が起こります。
さらにトラッキング現象と言って、コンセントとプラグのすき間に大量のホコリが蓄積されて、それが湿気を帯びた場合に漏電し、発火することもあります。コンセントの部分にすすが付着していた場合は、要注意です。
そのほかにも電気工事が適切に行われていない場合や、ネズミなどが電気コードをかじったりして漏電する場合もあります。また送電機器への塩分付着により絶縁低下あるいは腐食が起こり漏電するケースもあります。
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漏電の危険性
漏電は、電力の損失になるだけでなく、感電や火災といった深刻な事故につながる非常に危険な現象です。
漏電のリスク - 感電

高圧および特別高圧の電気施設などに表示される感電危険注意を促す意匠。
感電とは、電線に直接体が触れたり、漏電した電気器具に触れることにより、電気が体内を通って大地まで流れることをいいます。電気は電圧の高いところから低いところに流れます。大地の電圧はほぼゼロのため、電圧の高い電気器具から電気が体内を通してそして大地まで流れてしまうのです。
鳥が電線に止まっていても、感電しないのは、同じ一本の電線に両足で止まっているためです。電圧の差がないため、電圧が体の中を通ることはありません。仮に、鳥の足が一方だけ大地にくっついていれば、電圧の差(電位差)により鳥でも感電します。
ちなみに、感電の被害の程度は、「電流の大きさ」、「電気が流れた時間」と「人体のどの分に流れたか・経路」によって異なります。
日本の電圧は100Vです。皮膚の抵抗値は約4,000オームですので、この条件で通電電流を計算をしてみると、100÷4000 = 0.025A = 50mAとなります。
実際は、足と大地の間の抵抗や衣類による抵抗もあります。一方、水に濡れていると体の電気抵抗は下がります。
電流が流れると、痛みやしびれといった障害を受けたり、電流の大きさによっては死に至ります。特に、10-20mA以上の電流が体内に流れると筋肉が麻痺してしまい、感電箇所から離れられなくなり、長時間電気が流れさらに危険です。
1mA | ビリッと感じる。 |
---|---|
5mA | かなり痛みを感じる。 |
10mA | 耐えられないほどビリビリする。 |
20mA | 筋肉の硬直が激しく、呼吸も困難になる。 麻痺して動けなくなる。 引き続き流れると死に至ることもある。 |
50mA | 非常に危険。短時間でも命に危険を及ぼす。 |
100mA | 致命的。 |
また、直流か交流かでも危険度に差があり、交流による感電は直流に比べてさらに危険度が高くなっています。
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漏電のリスク - 火災
漏電が原因で約1000戸が焼失することになった1955年の新潟大火。
漏電で人体は数十ミリアンペアの感電で死に至りますが、この漏電の規模が数百ミリアンペアから数アンペアのレベルに至ると、漏電している周辺のものが火災となる危険があります。
漏電による代表的な火災としては、1955年10月に新潟県庁舎第三分館の屋根裏で発生した漏電によって起こった新潟大火が有名ですが、日常一般に起こっている火災のなかでも漏電が原因のものは少なくありません。
なかでも外壁や屋根に金属製の建築材を使用している建物や、外壁がモルタル塗でその下地に金網(ラス)が使われている建物などでは、漏電した電気が建物や物干し、雨どい、看板、ガス管、水道管のような金属物品で建物に固定して設けられた附帯設備などの一部を流れて、本来であれば電気の流れないところまで電気が流れ、壁や屋根の金属部分を発熱させ、ほこりや油が発熱し、出火するといった具合に火災がおきます。
使用している電気製品はいつもと変わらないのに電気使用量が異常に増えていたり、建物の金属部分に触れると、ビリビリと痺れる感覚がある場合には、漏電の可能性が高いと言えます。
漏電の予防策
一旦起こると命を落としたり大災害にもなりかねない漏電の予防策としては、以下の様なものがあります。
アース線
アース(接地工事)とは、地中に埋められたアース極と電気機器を、アース線で結ぶことです。アースは配線や電気器具などが万一漏電した時に、漏れた電流を大地に逃がして、感電の危険を少なくします。
ほとんどの電気機器の外箱に、アースを取り付けることが国の法令で決められていますので、日頃から緑色のアース線が付いているか確認しておくことが大切です。
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漏電とは?家庭には漏電遮断器(漏電ブレーカー)がついています。
漏電遮断器
漏電遮断器は、配線や電気機器に絶縁の低下(または破壊)が起こって漏電した場合に、早急に電気を遮断し、災害の発生を防いでくれる安全装置です。一般家庭の電灯盤に設置されている漏電ブレーカーは0.03アンペアの漏電で作動します。これ以上の電流が人体を流れると、生命に危険が及ぶからです。
漏電遮断器の選択は、電気回路の電圧や電流容量(電線の太さ、過電流遮断器の容量など)、電気使用設備の規模に応じて行いましょう。
その他、漏電の予防策
アース線や漏電遮断機を取り付けるほかにも、日常のちょっとした心がけで漏電を防止できます。以下にその例をあげます。
- 電気コードを折ったり曲げたり、あるいは束ねた状態で使ったりしない。
- プラグにホコリをためないように定期的に掃除する。
- タコ足線の利用を避ける。
- 濡れた手で電気機器を扱わない。
- 電気機器は湿気の多い所に置かないようにする。
- コンセントに感電防止用のカバーを取り付ける(とりわけ幼児のいる家庭)。
- 専門的知識や経験が無い限り、電気製品(とりわけ内部で高電圧を発生させるテレビや電子レンジなど)の分解や修理は行わないようにする。
- 定期的に絶縁抵抗測定を行なう。
- 屋内配線や電気器具の設置は、プロの電気工事士資格者に依頼する。
アースと漏電遮断機はペアで設置するのがベストです。漏電を防止するには、漏電遮断器を取り付けると同時に、その電気器具の外箱などの金属部分にアースを付けることをお勧めします。こうしておけば、漏れた電流は接地線を通って大地へ流れ、漏電遮断器が確実に動作して電気をストップしてくれるので安心です。
しかるべき安全対策と正しい電気機器の使用で、漏電リスクのかなりの部分は回避できると言えるでしょう。漏電を防ぐことは節電にもなりますので、日頃から心しておきましょう。
