電気料金を決める「総括原価方式」とは?電気料金を解説!
電気料金を決めるのに使われている「総括原価方式」とはどのようなものでしょうか。「総括原価方式」が採用される事になった背景や具体的な内容、問題点などを取り上げ、日本の電気料金の仕組みをひもときます。
- 総括原価方式は、すべての費用を「総括原価」とし、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が電気の販売収入に等しくなるような方法です。
- 総括原価方式の問題点は、無駄な設備投資が増えてしまうということや、利益が保証されているためにコストカットの努力を行いにくくなる事です。
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どうやって電気料金は決められているの?
世界でも高いと言われる日本の電気料金ですが、どのように決められているのでしょうか。
日本では、電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」と呼ばれる方法で計算されています。
この方式は、簡単に言うと、発電・送電・電力販売費、人件費等、すべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決める、というやりかたです。
つまり、電力会社はすべての費用をコストとして計算することができる上に、報酬まで最初から保証されています。
このシステムは基幹産業である電力会社を保護する目的があり、電気事業法という法律で保証されています。
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総括原価方式とは?
総括原価方式について、もう少し詳しく見ていきましょう。
電気料金決定の三原則
電気事業法では、総括原価方式で電気料金を決めるにあたって、以下の3つの原則が反映されています。
- 原価主義の原則 : 能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものでなければならない。
- 構成報酬の原則 : 設備投資等の資金調達コストとして、事業の報酬は公正なものでなければならない。
- 電気の使用者に対する公正の原則 : 電気事業の公益性という特質上、お客さまに対する料金は公平でなければならない。
資源エネルギー庁電力・ガス事業部資料より
この原則自体は、なるほど、とうなずけるものですね。
この原則にのっとって採用されているのが総括原価方式です。総括原価方式とは、電気を供給するためにかかった原価に基づいて料金が決められる料金算定のプロセス、の事をいいます。
それは、以下のような算定方式によって算出されます。
電気料金の算定プロセス
電気料金は、電気事業法第19条に基づき、「総括原価方式」により算定されています。
簡単に書くと、総括原価方式というのは図のように、
電気料金 = 原価+ 事業報酬
になります。
原価とは 燃料費、修繕費、購入電力料金、減価償却費、人件費など、文字通り電気を作り送電し管理するすべてのコストが含まれます。
事業報酬は、電所などの事業資産額と研究開発などの投資額に一定割合(3~5%前後。会社およびその年によって異なる)の事業報酬率をかけて出します。
電気料金とはこのように、電気を安定的に供給するために必要な費用、つまり、原価に、事業報酬という報酬部分が上乗せされたものが、電気料金収入と同等となるように設定されています。
ここで、原価ともう一つ並んで出てくる、事業報酬とはなんでしょうか。次項目で説明します。
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事業報酬
事業報酬とは、経済産業省の資料によりますと
総括原価方式における事業報酬 総括原価方式における事業報酬とは電気事業が合理的な発展を遂げるのに必要な資金調達コストとして、支払利息及び株主への配当金等に充てるための費用であり、この報酬は公正でなければならないということで公正報酬の原則と呼ばれている。
具体的な算定方法については、一般電気事業供給約款料金算定規則第4条に規定されており、事業に投下された電気事業の能率的な経営のために必要かつ有効であると認められる事業資産の価値(レートベース)に対して、一定の報酬率を乗じて算定される。
経済産業省 平成24年3月 第6回電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議報告書より
とあります。事業の発展のためのコストで支払利息及び株主への配当金等に充てるための費用だという説明です。
ただ、実際には、普通の企業の儲け(利益)に近い、という報道がたびたびなされています。普通の企業も儲けが出れば、それは支払利息及び株主への配当金等に使われます。
いずれにしても、電力会社は人件費や燃料費などの費用にこの報酬を上乗せし、家庭向け電気料金を決めるための「総括原価」を出しています。
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総括原価方式の問題点
このように、総括原価方式は、電力会社にとってとても有利なシステムになっています。元々は基幹産業である電力会社を保護する目的で作られたからです。
なので自然と問題点としては、 無駄な設備投資が増えてしまうということや、利益が保証されているためにコストカットの努力を行いにくくなり、高コスト体質になるという事が考えられます。
そしてそれらは全て、電気料金として私達利用者が支払います。設備投資にかかるコストをすべて総括原価として料金に反映できるため総括原価方式の問題点は、結果として電気料金が高止まりしたままになるという事です。
日本の電気料金が海外諸国と比べて圧倒的に高いのは、この総括原価方式の影響だと言われています。
2011年の3月11日に起こった福島第一原子力発電所事故の後、この総括原価方式によって事故処理費用を電気料金に転嫁できるため、批判が起こりました。
電気料金の値上げが発表されたときに、この総括原価方式の問題点を見直すべきだという論調が強くなりました。
もっとも、総括原価方式は2015年現在も公共料金を決める方法として法律で定められています。
電力自由化で日本の電気は新たな局面を迎えます。
一般企業の利益にあたる事業報酬の計算方法にも問題があります。
事業報酬は上記で述べたように発電所などの事業資産額と研究開発などの投資額に一定割合(3~5%前後。会社およびその年によって異なる)の事業報酬率をかけて出します。
問題点になりやすい箇所として、事業資産×報酬率のうち、事業資産にかなり多くのものが含まれる事です。
例えば、具体的には、固定資産、建設中資産、核燃料資産、運転費、特定投資(研究開発費や資源探査など)が含まれます。
資産を増やせば報酬が多くなる仕組みです。
「原子力発電所を造れば造るほど、電力会社が儲かる仕組み」と言われるゆえんは、こちらにあります。
電力は、私たちの生活にはなくてはならない非常に公益性の高い基幹産業ですのでこのように手厚い保護が必要とされ、それは戦後の経済復興、産業が発展した高度成長期の時期には必要で重要なものでした。
総括原価方式は、発電所の建設をどんどん進めることが重要であった高度成長期の1960年に決められた古い制度ですが、その後50年以上、一度も見直されていません。
正確に言うと、総括原価方式の問題点と見直しは度々議論には上がりますが、様々な要因により見送られています。
総括原価方式の問題点を挙げましたが、総括原価方式のメリットも付け加えておきます。
- 料金を決定する際の根拠が明確である
- 新しい設備投資を行いやすい
- 電力を調達する資金は電気料金でほぼ確実にまかなえることとなり、電力会社の経営基盤は安定する
日本の電力業界の歴史
日本の電力業界はどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。
日本で最初の電力会社が設立されたのは、明治19年(1886年)です。東京電燈という会社で、後の東京電力になる会社です。
明治20年代から30年代にかけて全国各地に相次いで電力会社が設立され、当時電力会社は完全な自由競争でした。
文明開化と同時に日本で最初の電力会社も設立されました。
第二次世界大戦前、日中戦争さなかの昭和13年(1938年)に、電力国家統制法案が賛成多数で成立し、国営会社である日本発送電という会社が昭和13年(1938年)に設立され、に国家による一元的な電力管理体制が始まりました。
そしてそのまま太平洋戦争に突入していきます。
戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による独占資本の解体の対象の一つとして日本発送電は解体されました。
この時に、一部国営のまま残すか完全民営化にするのかで大激論がかわされましたが、結局GHQも支持した完全民営化案に決まりました。最も、完全民営化といっても、国営企業がないというだけで、日本全国を9つの地域に分割し、地域独占は認める内容でした。
その後の沖縄返還に伴って沖縄電力が新たに加わり、現在の全国10社体制になりました。その後、電力会社10社による地域独占体制のまま、戦後復興期、高度成長期を支えていきました。
そして今年2016年に、日本の電力業界は、電力の自由化という新しい門出を迎えます。
電気料金の移り変わり
電気料金の計算方法がわかったところで、さて、日本の電気料金はどのように移り変わってきたのでしょうか。
最近の電気料金の値上がりは目を張るものがありますが、長い目で見るとどうなのでしょうか。
数十年前の古い資料ですと、対象kwh(キロワットアワー)数の違いにより一概に比較できないデータがありますので、経済産業省が平成26年11月に発表した、「エネルギー価格の動向について」という資料を見てみましょう。
こちらを見ますと、東日本大震災以降、燃料価格の高騰等を背景に、家庭等向けの電気料金(電灯料金)は約2割上昇、工場等の産業用の電気料金(電力料金)は約3割上しています。これは、実感としてもわきますね。
しかし、20年前からさかのぼって見ますと、ゆるやかに下降しており、全体でみるとあまり変わっていない事がわかります。
直近10年間の電気料金推移
次に、過去10年間の値上がりについて、東京電力で公表されているデータを見てみましょう。
料金の改定や、再生可能エネルギー発電促進賦課金および太陽光発電促進付加金、燃料費調整制度など、様々な制度が導入され、電気代に影響を及ぼしているのがわかります。
一番大きいところでは、現在の電気料金は燃料費の変動に合わせて単価が毎月変わります。現在は、燃料費の増加によって調整額が上乗せされているためです。
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ヤードスティック方式とは?
現在の日本では、電気料金を決めるのに「総括原価方式」以外に「ヤードスティック方式」という方法が使われています。
ヤードスティックとは「物差し」、「尺度」という意味で比較基準のことです。
ヤードスティック方式とは、複数の事業者のコストを比較し、基準となる標準コストを算定し、標準コストを元に料金を定める方式です。
日本では、電気事業の他に鉄道事業でも採用されている料金査定制度です。
原型は80年代に発展した経済学理論に基づく考え方で、実際には比較企業数をある程度確保しなくてはならないなどの課題もあります。日本では、1995年の電気事業法改正時、公正報酬率規制と混合した形で導入されました。
そして、この「ヤードスティック方式」の導入と同時に、「経営効率化の成果を明確にするためには、事業者の努力とは無関係な要因により変動する燃料費を外部化する必要がある。」との考え方から、「燃料費調整制度」という制度も同時に導入されました。(Japan Power News HPより 2005年)
この燃料費調整制度は、私たちが電力料金を支払う時に、「燃料費調整額」という名目で支払っている料金のことで、使用電力量に対して一定の割合で加算されていて、3ヶ月ごとに見直されています。石油価格の変動や、為替レートの変動により燃料調達費が大きく変動した場合のリスクを、私達使用者が負担する仕組みです。
このように、電気料金を決めるシステムは、複雑というよりはわかりにくいシステムになっています。