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AI需要でガス発電が復権?トランプ政権と日本企業が動く「電力の現実」

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AI需要でガス発電が復権?トランプ政権と日本企業が動く「電力の現実」

生成AIの普及により、私たちの生活はかつてないスピードで便利になっています。しかし、その背後では深刻な「電力不足」という課題が浮上しています。

再生可能エネルギーへの移行が叫ばれる一方で、AIの膨大なエネルギー需要を支える現実的な解として、天然ガス発電への回帰が進んでいます。

米国におけるトランプ政権のエネルギー政策や、そこへ向けた日本企業の投資動向も交え、エネルギー市場の現在地を解説します。

AI需要が引き起こす、電力消費の構造変化

AI、特に大規模言語モデル(LLM)の開発と運用には、膨大な計算能力が必要です。これに伴い、データセンターの電力消費量は急増しています。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の電力需要は2026年にかけて大きく増加すると見込まれており、その一部は明らかにAIやデータセンターによるものです。

これまで、電力需要の増加は経済成長と緩やかに連動していましたが、データセンターの特異性は「24時間365日、高負荷が続く」という点にあります。一般家庭や通常のオフィスとは異なり、彼らは一瞬の停電も許容しません。この「質」と「量」の両面における高い要求が、電力供給網にこれまでにない負荷をかけています。

再生可能エネルギーの課題とガス発電の再評価

脱炭素社会を目指す上で、太陽光や風力といった再生可能エネルギーが主役であることに変わりはありません。しかし、これらには天候に左右されるという弱点があります。

「ダンケルフラウテ」への備え

太陽も照らず風も吹かない気象条件が数日間続く状態を、ドイツでは「ダンケルフラウテ(暗い無風)」という用語で表現しています。この期間、再エネによる発電は期待できません。蓄電池技術も進化していますが、都市規模の電力を数日間支えるにはコストと規模の面でまだ課題が残ります。

こうした背景から、現実的な解決策として「天然ガス火力発電(ガスタービン)」が再評価されています。ガス発電には以下の利点があり、AI時代の電力需要に適しているからです。

  • 調整力: 再生可能エネルギーの出力が落ちた際、短時間で発電を開始し、不足分を補うことができます。
  • 建設スピード: 原子力発電所の建設には10年以上かかりますが、ガス発電所は比較的短期間で建設可能です。
  • 信頼性: 天候に左右されず、安定した電力を供給し続けられます。

米国トランプ政権の政策と日本企業の動き

このガス発電回帰の流れを後押ししているのが、米国の政治動向です。トランプ政権は、エネルギー価格の抑制と安定供給を最優先課題として掲げており、化石燃料の生産・利用に対する規制緩和を進めています。

具体的には、12日に発表した温室効果ガスの危険性認定の撤回による環境規制の見直しや、LNG(液化天然ガス)の輸出許可プロセスの迅速化などが挙げられます。

日本による米国ガス発電への投資

こうした米国の「ガス火力復権」の動きに、日本企業も貢献していく流れです。

昨年から進められている日本による総額86兆円の対米投資計画の第一弾として、ガス火力発電建設プロジェクトを承認したと、トランプ大統領は17日に自身のSNSで発表を行いました。

オハイオ州で予定されているこのプロジェクトは、日本の重電・電子部品メーカーの技術を投入して、米国のデータセンター敷地内や近接地に専用の発電所を建設するというものです。ソフトバンクグループや日立などが関心を寄せています。

日本によるこの投資プロジェクトは、トランプ政権から課せられていた25%の高関税回避のほか、大規模な案件受注による国内産業の活性化といった狙いがあります。

環境への懸念と「現実的な脱炭素」への道

もちろん、ガス発電の増加はCO2排出量の増加に直結するため、環境面での懸念は拭えません。一度建設された発電所が数十年にわたって稼働し続けることで、排出が固定化される「カーボン・ロックイン」のリスクも指摘されています。

しかし、AIの進化を止めずに電力を安定供給するためには、理想と現実のバランスを取る必要があります。現在は、以下のような技術的アプローチによって、ガス発電の環境負荷を低減する努力が進められています。

  • 水素対応タービンの導入: 将来的に水素燃料への切り替えが可能な「Hydrogen-Ready」な設備を導入する。
  • CCS(炭素回収・貯留)技術: 排出されたCO2を回収し、地中に埋める技術との組み合わせ。
  • 効率的な運用: あくまで再生可能エネルギーのバックアップとして機能させ、稼働時間を最適化する。

結論:エネルギー転換期の現実的な選択

AIという新しいテクノロジーを支えるために、天然ガスという既存のエネルギーが再び重要な役割を担うことになりました。トランプ政権下の米国における政策変更や、そこに参加する日本企業の動きは、エネルギー転換が一足飛びには進まない現実を示しています。

重要なのは、これを単なる「化石燃料への逆戻り」にするのではなく、水素社会や次世代のエネルギーシステムへ移行するための「橋渡し」として利用できるかどうかにあります。AIの進化と地球環境の保護、その両立に向けた知恵が今、試されています。

 

 

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