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イラン情勢が夏の電気代を押し上げる?いくら上がる?政府の対応は?

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イラン情勢が夏の電気代を押し上げる?いくら上がる?政府の対応は?

毎月ご自宅に届く電気料金の明細書。最近はようやく少し落ち着きを取り戻してきたと感じていた方も多いかもしれません。

しかし、今中東で起きている紛争が、再び私たちの光熱費を押し上げようとしています。イランを巡る情勢の緊迫化が、なぜ日本の電気代を押し上げるのか?いつ頃から値上がりするのか?政府の対策は?など、関連する疑問について調べました。

イラン情勢が日本の電気代に繋がっている理由

なぜ遠い中東の紛争が日本の電気代に影響するのか?その理由は国内で使われる電気がどのように作られているかを振り返ると見えてきます。

私たちの生活を支える電源構成の約7割は、天然ガスや石炭などを燃やして電気を作る火力発電に頼っています。そして、その燃料の大半は海外からの輸入によって賄われているのが実情です。

2024年度の日本の電源構成・内訳
電源 総発電量に占める割合
火力 石炭 28.6%
天然ガス 31.8%
石油など 7.2%
非化石 原子力 9.4%
非化石・再エネ 水力 7.4%
太陽光 9.9%
風力 1.2%
地熱 0.4%
バイオマス 4.2%

・参照:経済産業省「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(速報)」

現在、イラン情勢の緊迫化に伴い、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となっています。ホルムズ海峡は世界の石油供給量の1割から2割が通過する中東の重要な海上交通路。これが原油価格に打撃を与えているのです。

実際に、原油の先物価格は8日、一時1バレル=119ドルを突破して、アメリカ・イスラエルのイランへの攻撃が始まる前の約1.8倍の価格となりました。

上記の表を見るとわかるとおり、日本において、原油を必要とする石油火力発電の割合自体は7.2%とさほど大きくありません。しかし、天然ガスによる火力発電は全体の30%以上を占めています。
そして、天然ガスの調達のために日本の電力会社が結んでいる長期契約の多くは原油価格に連動しているため、原油価格の高騰が続けば天然ガスも値上がりしてしまうのです。
発電の3割強を占める天然ガスの値上がりは、当然電気代の押し上げに直結します。

それだけでなく、原油が高いと、世界中で「石油の代わりに天然ガスや石炭を使おう」という代替需要が大きくなるため、天然ガスや石炭の市場価格もつられて押し上げられます。この動きが起これば、日本の発電のおよそ6割を占める天然ガスと石炭の両方のコストが上昇してしまいます。

このように、発電のために必要な燃料のほとんどを輸入に頼っている日本では、国際的なエネルギー価格の上昇は、発電コストの増加としてダイレクトに跳ね返ってきてしまうのです。

影響が表れるのはこれから?知っておきたいタイムラグ

「でも、今のところ電気代が急に高くなった実感はない」と思った方もいらっしゃるでしょう。それには、電気料金を計算する際の特別な仕組みが関係しています。

一般家庭の電気料金には、燃料の輸入価格の変動を毎月の支払いに反映させる「燃料費調整制度」というルールが組み込まれています。

燃料価格が電気料金に反映されるのは2か月後

この仕組みでは、燃料価格が変動してから実際に私たちの電気代に反映されるまでに、数ヶ月のタイムラグが存在します。具体的には、3月頃の国際市場での価格上昇は、電力需要が高まる夏場の電気料金に上乗せされる形となります。

専門家の試算によれば、仮に原油価格が高値で推移し為替の大きな変動がないと仮定した場合、一般的な家庭における年間の光熱費負担は1万5千円ほど増加する可能性があるとされています。家計支出の中で光熱費が占める割合は小さくなく、何も対策が講じられなければ、私たちの生活に少なくない重圧としてのしかかることになります。

電力会社や契約プランによって差が出る実態

ただし、この影響は全国一律に生じるわけではありません。お住まいの地域や、どの電力会社とどのようなプランを契約しているかによって、負担の増え方には違いが出てきます。

例えば、天然ガスを利用した火力発電の割合が高い東京電力や中部電力では、今回のような中東情勢の影響を受けやすく、料金の上昇幅が大きくなる傾向があります。一方で、天然ガスの割合が少なく原発が稼働している関西電力や九州電力では、影響の出方が異なる可能性があります。

  • 天然火力の比率が高い地域:燃料価格高騰の影響を直接的に受けやすい
  • 石炭火力の比率が高い地域:中東依存度が低く、相対的に影響が緩やかな傾向
市場連動型プランをご契約の方へ

卸電力市場の価格に連動して電気代が決まるプランを契約している場合、燃料価格の高騰が料金の急激な上昇につながるリスクがあります。過去の国際危機時にも市場価格が通常の何倍にも跳ね上がった事例があるため、現在の契約内容がどのようになっているか、改めて確認しておくことをお勧めします。

家計を守るための政府の対策とは

こうした状況下で、政府も事態を静観しているわけではありません。高市首相は国会において、中東情勢の悪化を受けたガソリンや電気・ガス料金の価格高騰に対する追加の対策を、すでに検討し始めていることを明らかにしました。

これまでにも政府は、電気・ガス代に対する一定の補助を行ってきましたが、事態の長期化を見据え、遅滞なく追加支援を実施する構えです。新たな財源としては、次年度の予算案に計上されている予備費の活用が視野に入れられています。また、中東に偏りがちな原油の調達先を広げるため、新たな供給国との交渉など、エネルギーの安定確保に向けた水面下での動きも進められています。

一方で、手厚い財政出動を伴う対策は、巡り巡って国内の物価上昇を助長しかねないという難しい側面も持ち合わせています。政府には、市場の動向を慎重に見極めながら、家計の負担軽減と経済の健全なバランスを取るという、綱渡りのような舵取りが求められています。

長期的なエネルギーの視点

海外からの燃料調達には、今回のように常に地政学的なリスクが伴います。政府が長期的な目標として火力発電への依存度を下げ、再生可能エネルギーの導入拡大などを掲げているように、私たちが日々の生活でどのようにエネルギーを消費していくか、立ち止まって考えるきっかけにもなる出来事と言えそうです。

 

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