【世界の電気】スペインの電力事情とは?

すでに電力自由化が行われて長いスペインの電力事情を調べてみました。電力自由化では先輩のスペイン、電力市場はどのようになっているのでしょうか?
- スペインで電力自由化が行われたのは2003年。
- 再エネ率の高いスペイン。
目次:
世界有数の再エネ発電国スペイン
スペインはもともと化石燃料資源が乏しく、石油、天然ガスなどのエネルギーは輸入に依存せざるを得ませんでした。
そこでスペイン政府は、1970年代のオイルショックを機に原子力開発・省エネ・国内炭の開発などの推進をスタート。
しかし、1979年の米国スリーマイル島事故、1986年ウクライナのチェルノブイリ事故による影響で、原子力の新規開発はストップしました。
その後、スペインでは地球温暖化対策とエネルギーセキュリティの観点から、以下の電力にまつわる取り組みが進められてきました。
- 石油・国内炭からガスへの燃料転換
- 再生可能エネルギー(再エネ)の開発
今より安い電気料金プラン・ガス料金プランをお探しですか?らくらく窓口なら電気代平均6%削減、最短5分で最適プランが見つかります。
電話で相談する(03-4520-9550)
らくらく窓口の営業時間・ご利用方法についてはこちら
結果、2013年度のスペインの発電設備容量はガス火力25%、石炭11%、石油3%とガスが主力に。
また、再エネ電源の合計が45%(従来からの水力18%に加え、風力21%、太陽光4%、太陽熱2%)にまで拡大され、ガス火力と並ぶ重要な電源となっています。
世界有数の再エネ発電国スペイン2008年にはスペインにおける太陽光の導入量がドイツに次いで世界第2位へ。また、2013年度のスペインにおける再エネ発電量のうち、風力2,290万kWが世界第4位、太陽光460万kWが世界第6位となっています。
ただし、スペインではこの再エネ電源の急増によって電力会社が巨額の赤字(2013年5月までの累積赤字額260億ユーロ=約3.4兆円)を抱える事態に陥っています。
この電力会社の危機的赤字を改善するべく、スペインにおける再エネ発電の成長を支えていた固定価格買取制度(FIT)も2012年に一旦停止。
2014年6月に再エネ買取が再開されたものの、買取価格が引下げられ、買取期間の短縮や再エネ電源の導入制限など買取条件が大幅に変更されたものとなり、スペインにおける再エネ電源の新設は徐々に減少しています。
スペインの再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)スペインでは1994年に導入され、電力会社に対して再エネによる発電電力を高い価格で買い取ることを法律で義務付けました。再エネ開発促進のために買取価格は2007年まで段階的に引上げられ、スペインにおける再エネ導入量の増加につながりました。
今より安い電気料金プラン・ガス料金プランをお探しですか?らくらく窓口なら電気代平均6%削減、最短5分で最適プランが見つかります。
電話で相談する(03-4520-9550)
らくらく窓口の営業時間・ご利用方法についてはこちら
スペインの電力全面自由化は2003年
1990年代にEUにおいて電力自由化の動きが始まると、EU加盟国の中でも電気料金が比較的高かったスペインは競争力の改善を迫られました。
EUの第一次電力自由化指令(1997年制定)で義務付けられた自由化開始よりも1年早い1998年、スペインで1996年に誕生した国民党政府が電力自由化を開始。
その後、スペインの電力自由化は対象範囲を段階的に拡大しながら進められ、2003年1月に一般家庭向け電力を含めた全面自由化が実施されました。
自由化後のスペイン電力事情
電気料金
じつは、スペインの電力小売市場には、電力自由化後も、自由料金市場と並行して引き続き規制料金市場が存在しています。
電力自由化後、電力の供給者を選択する権利を行使する「自由化料金需要家」は、電力小売会社や卸市場、電力輸入会社などから、卸市場価格や相対取引価格で電力を調達しています。
一方で、電力自由化後も自由料金市場への参加を望まない「規制料金需要家」は、スペイン政府が規制料金で電力を供給するよう義務付けた電力供給会社から、規制料金で電力供給を受けています。
2013年時点で、スペインにおける規制料金需要家の割合は全体の56.4%を占めています。
スペインが電力自由化後も規制料金を維持する狙いは、自由化による料金面での負担が需要家に過度に及ぶことを防止するためです。
スペインの電気料金は、輸入ガスに依存する火力発電、高い買取価格による大量な再エネ電源導入のコストなどにより、EU加盟国の中でも高い部類に属しています。
また、前述のように、スペイン政府は電気料金の高騰を抑制するために再エネコストの料金への全面的な転嫁も認めておらず、これが電力会社の収支悪化に繋がっています。
今より安い電気料金プラン・ガス料金プランをお探しですか?らくらく窓口なら電気代平均6%削減、最短5分で最適プランが見つかります。
電話で相談する(03-4520-9550)
らくらく窓口の営業時間・ご利用方法についてはこちら
電力供給
スペインでは電力自由化後に外国企業によるスペイン企業の買収などによる電力再編が進んでいます。
また、自由化後に卸電力取引所なるものが新設され、電力の売り手(発電会社、電力輸入会社、外資系会社)と電力の買い手(規制料金需要家向け電力供給会社、自由料金需要家向け電力供給会社、電力輸出会社、自由料金需要家)が参加してスペインにおける電力の取引を行っています。