ガス料金を決めるのに使われている「総括原価方式」とはどのようなものでしょうか。
ガス料金を決めるために使われている「総括原価方式」とはどのようなものでしょうか。「総括原価方式」が採用される事になった背景や具体的な内容、問題点などを取り上げます。
- ガス料金を決めるのに使われている「総括原価方式」とは、燃料費、人件費、減価償却費等、すべての費用をコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が、ガスの販売収入に等しくなるようにガス料金を決める方法です。
- 総括原価方式には、公正な報酬が保証されているため、経営効率化へのインセンティヴが働きにくく、競争力が生まれにくいデメリットがあります。
どうやってガス料金は決められているの?
日本のガス料金ですが、どのように決められているのでしょうか。
日本では、LPガスは自由料金ですが、都市ガスのコストはガス事業法という法律に基づき、「総括原価方式」と呼ばれる方法で計算されています。
この方式は、簡単に言うと、燃料費、人件費、減価償却費等、すべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が、ガスの販売収入に等しくなるようにガス料金を決める、というやりかたです。
つまり、都市ガス会社はすべての費用をコストとして計算することができる上に、報酬まで最初から保証されています。このシステムは基幹インフラであるガス会社を保護する目的があり、ガス事業法という法律で保証されています。
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ガス料金の算定に使われる総括原価方式とは?
ガス料金の総括原価方式について、さらに詳しく見ていきましょう。 丁寧に解説していきます。
ガス料金決定の三原則
ガス事業法では、総括原価方式でガス料金を決めるにあたって、以下の3つの原則が反映されています。
- 原価主義の原則 : 能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものでなければならない。
- 構成報酬の原則 : 設備投資等の資金調達コストとして、事業の報酬は公正なものでなければならない。
- ガスの使用者に対する公正の原則 : ガス事業の公益性という特質上、お客さまに対する料金は公平でなければならない。
資源エネルギー庁電力・ガス事業部資料より
この原則自体は、なるほど、とうなずけるものですね。
この原則にのっとって採用されているのが総括原価方式です。総括原価方式とは、ガスを供給するためにかかった原価に基づいて料金が決められる料金算定のプロセスの事をいいます。
それは、以下のような算定方式によって算出されます。
総括原価方式のガス料金の算定プロセス
現在、公共料金として見なされているガス料金は「総括原価方式」によって算定されています。
総括原価方式とはつまり、ガスの安定供給のために必要な費用の総額=総原価によってガス料金が決まる方式で、ガス料金収入が総原価と同等となるようガス料金が設定されることが前提とされています。
この場合の総原価とは何かというと、以下の様な費用で構成されています。
ガス料金の算定方法 総原価 =営業費(※1) + 事業報酬 - 控除収益(※2) =ガス料金収入
※1 原料費、修繕費、減価償却費、公租公課、人件費など。
※2 ガス事業に伴うガス料金以外の収入。
このため、ガス会社にとってはコンスタントな利益が保証され、長期的投資が可能になる一方で、需要家にとっては過度の料金負担が避けられるといったメリットがあります。
総括原価方式の問題点
しかしその一方で、総括原価方式による弊害もみられます。
公正な報酬が保証されているため、経営効率化へのインセンティヴが働きにくく、競争力が生まれにくいデメリットがあります。
ガスの総括原価方式:報酬が保証されているから、競争しなくてもいい
加えて、都市ガス事業者は超大手と小規模事業者との規模の差、シェアの差が非常に大きいため、総原価にも大きな格差が生まれていることが指摘されます。
一般に、原料調達費用は、大規模事業者(LNG輸入事業者)に比べて、パイプラインからガス供給を行っている事業者の原単位(円/㎥)の方が高く、サテライト調達や天然ガス以外の原料を使ってガス供給をしている小規模事業者は、パイプライン使用の事業者よりもさらに高額である傾向があります。
このため、ガス料金の内々価格差が広がり、全国ベースでは料金格差が最大3.7倍 となっています。さらに、小規模事業者の方が赤字を出しやすいという厳しい実態も報告されています。
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総括原価方式のメリット
- 以上の事を踏まえると、総括原価方式は、ガス会社にとってはコンスタントな利益が保証され、長期的投資が可能になる一方で、需要家にとっては過度の料金負担が避けられるといったメリットがあります。
ガス料金の認可制度
ガス料金は、法律で定められた認可制度となっています。ただし、平成11年から、値下げのような消費者にメリットがあるものに関しては、認可制ではなく、より簡単に変更できる届出制となりました。
認可の際には必要な、料金査定や公聴会を経ずに変更できるというものです。
一般ガス事業者は、ガス事業法第17条の認可申請に当たって「一般ガス事業供給約款料金算定規則」に従い料金を算定する。経済産業大臣は、これを「一般ガス事業供給約款料金審査要領」に従い審査し、ガス事業法第48条の規定に基づき公聴会を開催した上で、法令に基づく基準に適合している場合には認可を行う。 また、物価担当官会議申合せ(平成23年3月14日)により、一定以上の需要家数を対象とする値上げの場合には、「物価問題に関する関係閣僚会議」に付議すること等となっている。
ガス料金制度について 平成25年7月 資源エネルギー庁 より
日本のガスの歴史
ところで、日本のガス業界はどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。ガスの総括原価方式を詳しくみてきましたので、この機会に日本のガスの歴史も見ていきましょう。
日本のガスの幕開けは、電気と同じく明治時代の文明開化の時代です。
1872年(明治5年)、横浜にガス灯がともりました。横浜に日本初のガス会社が発足したのです。この年は、新橋~横浜間に鉄道が開通した年でもあります。
そう、日本のガスは、まずはガス灯、灯りから始まったのです。 東京の銀座通りに86基のガス灯がともり、流行の錦絵には色鮮やかなガス灯が描かれました。
1894年(明治27年)日清戦争の頃には、灯(あんどん)の代わりとして室内の灯りにも使われるようになり、1900年代に入ると全国に約70のガス会社が設立されました。
1926年(大正15年)頃には、ガスの用途はお風呂や料理などで使われる家庭用が中心となります。
戦後、960年代~1970年代は安く大量に手に入れる石油からガスを作るようになり、石油を中心に使う時代になります。
1980年代~現在は、燃やしたときに発生する二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)が石炭・石油より少ないクリーンな天然ガスが現在まで使われています。
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ガス料金の移り変わり
ガス料金は、どのように推移して来たのでしょうか。総括原価方式を採用している、都市ガスの料金の移り変わりを見てみましょう。
大手都市ガス価格及び原料であるLNG価格の移り替わり
「平成24年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2013)
都市ガスのガス料金は、オイルショック後に急上昇しました。その後、1983年度以降は、低下傾向にありました。
1995年に、いわゆる「大口ガス自由化」と呼ばれる改正ガス事業法が施行され、制度が改正されました。
その後、規制料金である都市ガス小口料金部門においても、大手事業者を中心として数度の料金改定が実施され、価格が引き下げられました。
また、都市ガスの平均販売単価(m3当たりの販売価格)は、1995年から2004年度まで、液化天然ガス(LNG)輸入価格の上昇傾向等を受けて原材料費が上昇しているものの、労務費等のコスト削減努力や大口需要家の増加等を背景に低下傾向をたどりました。
その後、2005年以降、LNG輸入価格大幅の上昇の影響を吸収できず、都市ガス価格が上昇傾向に転じておりました。
2009年には、世界的な景気後退によるLNG輸入価格の下降があり、都市ガス価格も減少傾向に転じましたが、2010年度以降は再びLNG輸入価格が上昇し、都市ガス価格もやや上昇しました。
ガス料金は、原料の液化天然ガス(LNG) の輸入価格に依存する部分が大きいものの、グラフを見てわかるように、LNG輸入価格の変動をそのまま料金に反映させないような努力がなされています。
2017年に、ガスの小売りも全面的に自由化されます。競争により価格がより下がることが期待されますが、注意深く見守っていきたいですね。