ファミリーバイク特約とは?
自動車保険に加入していて、125cc以下のバイクに乗る方には便利なファミリーバイク特約。こちらの記事ではファミリーバイク特約で補償できることを解説し、他の保険との違いやメリットデメリットについてお伝えします。
ファミリーバイク特約とは
自動車の任意保険の特約の一つで、原付などで起こった事故をカバーします。ほぼすべての保険会社が自動車保険の特約として用意しています。保険対象となるバイクや、保険の対象となる人の範囲に保険会社間の差はありません。ポイントは「自損型」もしくは「人身傷害型」の補償範囲です。
保険の対象になるバイク
- 125CC以下のバイク
- 借りたバイクでも、複数台でもOK
- バイクの使用目的は制限なし
125㏄以下のバイク
ファミリーバイク特約はの対象となるバイクは、道路運送車両法で定める総排気量125cc以下の二輪車、総排気量50cc以下の三輪以上の車です。
バイク | 排気量 | 免許取得年齢 | 必要な免許 |
---|---|---|---|
原付(原付一種) | 50cc以下 | 16歳 | 原付免許・普通免許(四輪) |
小型自動二輪 (原付二種) | 125cc以下 | 16歳 | 普通自動二輪小型限定免許 |
借りたバイクでも複数台でもOK
125cc以下のバイクであれば、補償の対象となる人が所有しているバイクはもちろん、借りていたバイクでの事故もカバーされます。また家に2台以上ある場合でも保険の対象にすることができます。
バイクの使用目的は制限ない
使用目的とは「日常・レジャー」「通勤通学」など、自動車保険の見積もりで確認する申告事項です。ファミリーバイク特約は、たとえば主契約となる自動車保険が「日常・レジャー」で申告していて、原付を「通勤」に使用していたとしても保険が適用されます。なお、配達使用など「業務中」事故については、ファミリーバイク特約でカバーできる保険会社もありますが、明記していない保険会社もありますので必ず確認してみましょう。
保険の対象になる人
- 記名被保険者(あなた)とその家族
- 運転者限定・年齢条件なし
記名被保険者とその家族
ファミリーバイク特約の対象者は下記の通り定義されます。 被保険者が原動機付自転車を運転される場合、ご契約の自動車の運転者限定や年齢条件にかかわらず、補償の対象となります。
被保険者=保険の対象になる人について、記名被保険者があなただった場合を想定して列挙してみます。
被保険者 | 保険会社の呼び方 | あなたに置き換えた場合 |
---|---|---|
1 | 記名被保険者 | あなた |
2 | 1の配偶者 | あなたの夫or妻 |
3 | 1または2の同居のご親族 | あなたおよび配偶者の父母、子供など |
4 | 1または2の別居の未婚のお子さま者 | まだ結婚していないあなたの息子や娘 |
運転者限定・年齢条件は関係ない
任意保険で運転者を限定している契約であっても、ファミリーバイク特約にはその年齢制限は適用されません。
たとえば自動車保険に運転者本人限定・30歳以上という制限を付けていても、あなた(記名被保険者)の別居の娘18歳はファミリーバイク特約の保険対象となります。
補償内容:事故
自動車保険で補償されるリスクは以下の4つあり、このうちファミリーバイク特約で補償できるリスクをまとめました。
リスク | 保険用語 | 保険金額 |
---|---|---|
相手のケガ・死亡 | 対人賠償責任保険 | 任意保険契約と同様 |
相手の車両・モノへの弁償 | 対物賠償責任保険 | 任意保険契約と同様 |
自分のケガ・死亡への補償 | 自損もしくは人身傷害 | 補償型による |
自分の車両・モノへの補償 | 車両保険 | × |
自分のケガ・死亡への補償については、「自損型」と「人身傷害型」で違いがあります。次の項目で説明します。
ファミリーバイク特約は車両保険は付帯できません。任意バイク保険でも125㏄以下のバイクには車両保険を付帯できません。
補償内容:自損型と人身傷害型
ファミリーバイク特約契約ポイントは自分のケガや死亡をどこまで補償するかです。この自分のケガ・死亡の補償範囲には「自損型」と「人身傷害型」が存在します。それぞれどのような違いがあるのか確認してみましょう。
自分(被保険者)のケガ・死亡の要因 | 自損型 | 人身傷害型 |
---|---|---|
相手がいない・相手に過失のない単独事故 | 〇 | 〇 |
相手がいる・相手に過失のある事故 | × | 〇 |
相手がいない事故は自損型でカバーできますが、相手のある事故は自損型ではカバーできません。人身傷害型はそのどちらも補償できます。一般的な保険金は下記表のとおりです。自損型は定額が支払われ、人身傷害型は治療費など実際にかかったお金が支払われます。支払われる保険金は契約によって異なりますので、この表は参考として詳細は各契約をご確認ください。
保険金 | 自損型 | 人身傷害型 |
---|---|---|
死亡保険金 | 1,500万円 | 任意保険と同様 |
医療保険⾦ | 入院日額︓6,000円 通院日額︓4,000円 | 任意保険と同様 |
ここに注意!1.人身傷害を選択できない保険会社がある。
保険会社によっては「人身傷害型」の選択肢がない場合があります。ファミリーバイク特約=自損傷害となっていることもありますので確認が必要です。
2.保険料だけで比較しない。
ファミリーバイク特約の人身傷害型は補償範囲が広がりますので保険料が高くなります。特に自損型しか選択できない保険会社と、ファミリーバイク特約人身傷害型で見積を出す保険会社の保険料だけを比べると大きな差が出てきます。ファミリーバイク特約が「自損型」なのか「人身傷害型」なのかは申込前にしっかりチェックしてください。
ファミリーバイク特約の疑問
バイクに掛けられる保険には、強制保険の「自賠責保険」、任意保険の「バイク保険」「ファミリーバイク特約」とあります。それぞれの保険と比較しながらファミリーバイク特約の疑問に回答していきます。
補償の違い?:自賠責保険 vs バイク保険 vs ファミリーバイク特約
バイクにかけられる保険がそれぞれ補償範囲を表にしてみました。
保険の種類 | 相手 | 自分 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
ケガ・死亡 | 車両・モノ | ケガ・死亡 | 車両・モノ | |||
強制 | 自賠責保険 | △ | × | × | × | |
任意 | 自動車保険 | 自損型 | 〇 | 〇 | △ | × |
人身傷害型 | 〇 | 〇 | 〇 | × | ||
バイク保険 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
自賠責保険
自賠責保険に加入していれば任意保険不要と考える方がいるかもしれません。しかし自賠責保険では補償できる範囲が狭く保険金額にも上限があります。自賠責保険で自分のケガは一切補償できないため、自賠責保険だけでは不十分といえます。
車両保険
任意バイク保険は車両保険を付帯できますが、125㏄以下の原付は車両保険をつけることができない保険会社がほとんどです。
保険料:ファミリーバイク特約はお得?
- 保険をかける期間がおおよそ1~3年の場合はお得。
- 長期間にわたって契約する場合は割高になることあり。
初回契約で比較する場合
ファミリーバイク特約の自損型は任意バイク保険に比べて保険料相場で2万円ほど保険料が安くなります。
人身傷害を付帯すると、任意バイク保険とあまり差はつかずファミリーバイク特約保険の方が相場で5千円ほど安くなります。
長期間契約で比較する場合
ファミリーバイク特約と任意バイク保険の大きな違いは等級制度のありなしです。
ファミリーバイク特約は年間保険料の比較では割安ですが、等級制度はないので保険料は毎年一定です。一方任意バイク保険はロードサービスなどもあるため年間保険料は割高ですが、等級が上がれば将来の保険料は割引が期待できます。どれくらいの期間バイクを利用するか検討して選択することをおすすめします。
種類 | 年間保険料相場 | 等級制度 |
---|---|---|
ファミリーバイク特約自損型 | 10,000円程度 | なし |
ファミリーバイク特約人身傷害型 | 30,000円程度 | なし |
任意バイク保険(人身傷害型に近い補償) | 35,000円~40,000円 | あり |
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補償:ファミリーバイク特約で補償できないことは?
- ロードサービス
- 搭乗者傷害保険
ロードサービス
ファミリーバイク特約では自動車保険のロードサービスを使用することができません。よくバイクで遠出をする方の場合は、出先での故障に備えてロードサービスが付帯していた方が安心といえます。その場合はバイク保険を選ぶ必要があります。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは 人身傷害保険はケガの治療費などの実費が支払われます。一方「搭乗者傷害保険」はお見舞金として入院・通院・後遺障害・死亡などに起因して定額の保険金が支払われるものです。
ファミリーバイク特約では「搭乗者傷害保険」は付帯できませんので、自分や同乗者のケガや死亡の際に支払われる保険金を手厚くしたい方は、任意バイク保険で搭乗者傷害保険を付帯することをおすすめします。
補償:二人乗りの事故はどうなる?
50cc以下の原付バイクはそもそも二人乗りが認められていません。バイクの運転免許取得後1年以上の通算期間(高速道路走行は3年以上)がないと二人乗りはできません。まずは二人乗りの条件を満たす必要があります。その上で、二人乗り可能なバイクかつ相手のある事故の場合、ファミリーバイク特約人身傷害型の補償は下記のとおりです。
- 友達のケガは「他人」のケガです。ファミリーバイク特約の対人賠償で補償します。
- 配偶者のケガは「家族」のケガです。家族は対人賠償の対象外なので人身傷害で補償することになります。
自分の運転するバイクで友人にケガをさせてしまった場合に治療費だけでなく、お見舞金も出したい場合は「搭乗者傷害保険」でカバーすることになりますので、その場合は任意バイク保険での保険加入が必要になります。自分の保険で同乗者がきちんとカバーできるか否かは大切なことです。保険契約のチェックもしくは問い合わせなどでカバー範囲を確認してから二人乗りをしましょう。
ファミリーバイク特約のメリットとデメリット
ここまで確認してきた内容をファミリーバイク特約のメリットとデメリットに分けてまとめていきます。
メリット | デメリット |
---|---|
他人のバイクでも・何台でも補償される | ロードサービスが使えない |
年齢・使用用途が制限されない | 搭乗者傷害保険が付帯できない |
保険金を受け取ってもノーカウント | 等級による保険料割引がない |
短期的な保険料は割安 |
他人のバイクでも・何台でも補償される。
保険の対象となる人が運転している限り、何台でも借り物でも保険の対象になるところは魅力的です。
年齢・使用用途が制限されない。
年齢制限がありませんので、16歳と任意バイク保険では保険料が高くなる傾向のある年代でも一定の金額で付帯することができます。
保険金を受け取ってもノーカウント(等級に影響しない。)
保険料で割高になる可能性をお伝えしましたが、逆に等級制度ではないため保険金支払いが起こっても、等級ノーカウントですので、翌年の保険料に変更はありません。
短期的な保険料は割安。
任意バイク保険比べてファミリーバイク特約自損型は保険料が安くなりますし、人身傷害型でも任意バイク保険よりやや割安となります。
ロードサービスが使えない。
原付で遠出することはあまりないと思いますが、助けがすぐに呼べない場所などロードサービスが利用できないことはデメリットになることがあります。
搭乗者傷害保険が付帯できない
自分や同乗者のケガ等の治療費実費の他に、お見舞金などの定額の保険金はファミリーバイク特約では補償できません。(※任意バイク保険となります。)
等級による保険料割引がない。
等級で保険料計算をしないため、保険料は毎年一定です。つまり等級制度を利用して割引をすることができないため、長期的に保険料を計算した場合等級カウントとなる任意バイク保険より高くなる可能性があります。
まとめ:ファミリーバイク特約おすすめの方
ファミリーバイク特約を任意バイク保険と比較した場合の一番のメリットは何台でも、借りたバイクでも、年齢関係なく補償ができる点です。下記に当てはまる場合はファミリーバイク特約がおすすめです。
ファミリーバイク特約がおすすめのパターン
あなた50歳(任意自動車保険の記名被保険者):
別居娘18歳:大学寮。構内通学移動で毎日原付を利用している。
同居父親75歳:二世帯同居。趣味の撮影活動で週に数回ミニバイクを利用する
このような場合、あなたの任意保険に付帯するファミリーバイク特約で娘と父親の2台が補償されます。
保険料が高くなりがちな20歳以下未婚の子がいる。
原付を家族それぞれ使う可能性がある。
他人から原付を借りることがある。
原付の使用期間は限定的(在学中のみの利用など)。
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