アジアで4週間待ち!値上げなしの「iPhone 17」、世界の売上から見る新型iPhoneの勝因とは

iPhone 17の需要は予想を上回るものだった

iPhone 17の発売前、関税問題や物価高によりアップル株の不振が噂されていました。
しかし、220ドル〜230ドルの間で推移していたアップル株は、iPhone 17発売後、2025年9月22日のタイミングで一気に250ドル台まで上昇しました。
2025年10月2日、モルガン・スタンレー証券はアップルの目標株価を240ドルから298ドルに引き上げました。その理由として、iPhone 17の予想を上回るスタートの好調が起因していると述べています。
そんなiPhone 17の好調要因は、アジア諸国での売れ行きが鍵となりました。
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アジア諸国では即売り切れが続出、最大4週間待ちも
2025年9月19日の発売日と同時に、iPhone 17 Proシリーズがアジア諸国で即完売となったことがニュースとなりました。
中国、シンガポール、オーストラリア、そしてニュージーランドでは、Pro Maxが入荷まで最大4週間待ちという状況だったとのことです。香港でも、発売後すぐにProシリーズの3週間待ちが決定し、その場で購入できたのはiPhone Airのみだったそうです。
韓国では、Proは1週間以内に入手できるものの、Pro Maxは10月下旬の入荷予定となりました。
米国でもiPhone 17の2~3週間の入荷待ちが発生し、入荷待ちなくiPhone 17シリーズを入手できた日本は、アジア市場では異例であったと報じられています。
中国向け物理SIM搭載がiPhone 17の勝因だった
iPhone 17がアジアで好調だった一方、iPhone Airは中国で販売を延期という形で見送ることとなりました。
iPhone史上最薄モデルのiPhone AirはeSIM対応のみで、物理SIMカードスロットが搭載されていません。
現在、中国ではeSIMを商用利用する際、各携帯事業者が政府より認可を受ける必要があります。今回、その承認の目途が立たず、iPhone Airの中国での販売は延期となりました。
つまり、他国ではeSIM対応のみのiPhone 17、今回特別に中国向けに物理SIMカードスロットを搭載しました。これがなければ、アジアでの売上を牽引した中国での販売機会を失うこととなり、今回の成功もなし得なかったと言えるでしょう。
中国市場向けの物理SIMカードスロットの搭載が、iPhone 17ヒットの命運を分けたと言っても過言ではありません。
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こんなにも違う世界のiPhone 17販売価格
そして、今回もうひとつポイントとなったのが、価格戦略です。
2025年9月9日のアップル発表会では、「iPhone 17は昨年と価格が変わっていない」とティム・クックが発言するなど、当初の値上げ路線を良い意味で裏切る価格設定となりました。
日本でも、止まらない円安による大幅値上げが懸念されましたが、5,000円の値上げで実質ほぼiPhone 16と同等の価格となりました。
当初、トランプ関税や世界的インフレなど、経済の不透明性から大幅な値上げが予想されていました。しかし、実際はiPhone 17 Proシリーズは値上げとなったものの、標準モデルのiPhone 17はほぼ据え置きの価格での発売となり、世界を驚かせました。
では、他の市場はどうだったのでしょうか。今回のiPhone17は世界で大きく価格が異なりました。

中国・日本は800ドル台で販売され、米国の次に安い販売価格となっている。
iPhoneの価格は各国の税制度や物価に基づいて価格が決定されていますが、今回iPhone 17の成功を牽引した東アジア周辺地域の価格は800ドル後半~900ドル台と、欧州や南アメリカと比較すると安めに設定される傾向にあるようです。
ドイツの調査会社Statistaでは、各国のiPhone17/17Proの販売価格がそれぞれの国の何時間労働に匹敵するのか、というデータを作成しました。

労働賃金の高いスイスのiPhone 17価格は1,000ドル台だが、900ドル台の韓国の約3分の1の労働時間で購入できる計算になる。
まず、物価の高い欧州では、一律1,000ドル以上の価格で販売される傾向にありました。
賃金の安いポルトガルやハンガリーなどでは、iPhoneはやはりかなり高価なスマホになってきます。その一方で、同じ欧州でも賃金の高い北欧やスイス、ドイツ、フランスなどは、比較的手に入り易い価格帯ということになります。恐らく、購買力のある賃金の高い国を基準に、欧州全体で価格を合わせにいったと分析できます。
さらに、日本や韓国はiPhone17の価格そのものは他国より安く設定されています。しかし、賃金水準の低さを考慮すると、一部の賃金の高い先進国などと比較すると、iPhone 17購入に必要な労働時間が長くなっており、日本・韓国でも決して買いやすい値段設定ではないということが分かります。
つまり、アジアのiPhone 17の販売価格は世界的には安価であっても、対賃金水準で見るとやはり高級品であることは間違いありません。
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なぜこんなにもiPhoneがアジアで人気なのか
では、そんな高級品のiPhone、なぜこんなにもiPhoneはアジアで人気なのでしょうか?考察していきます。
日本での歴史的に根強い人気
日本では、昨今の景気悪化により、少しずつ安価なAndroidの出荷が伸びているものの、依然としてOSシェアはiOSが一番高い結果となっています。
2000年台から「スマホと言えばiPhone」という地位を確立したiPhoneの牙城はなかなか崩れることはありません。
今回、中国ほどの活気はなかったものの、昨今の芳しくない経済状況下でも、日本市場には一定のiPhone需要が確立されています。
iPhoneならではの高性能カメラ
東アジアに共通して言えるのは、カメラへのこだわりと言えるでしょう。
アジア諸国では、観光地や思い出の場所で小さな記録でもしっかり写真に収め、後に振り返る文化があります。
iPhoneはカメラの性能に定評があり、東アジアでの人気を博しています。
今回のiPhone 17Proシリーズは、メイン、超広角、望遠のすべてに48MPのカメラを搭載しているのが特徴です。よって、遠くのものを撮影する際も、きれいに撮ることができます。
Proシリーズが中国で即完売となった理由の一つは、カメラの大きな進化への期待だったことは間違いありません。
社会的ステイタスとしてのiPhone
東アジアでもiPhoneは高級品とされています。
著しい経済発展を遂げた中国の一部の富裕層にとって、iPhoneのPro Maxを持つことは社会的ステイタスを意味します。
さらに、そうした富裕層やインフルエンサーへの憧れも、中国でのiPhone市場の拡大に寄与しているということです。
総論:iPhone 17は本当に値上げしなかったのか

昨今の日本市場において、今回のiPhone 17の価格据え置きというのは、実質値上げともいえるかと思います。
他国のような賃金上昇もなかなか進まず、世界的物価高の影響を受けている日本市場にとって、iPhoneのような娯楽に使える費用を捻出するのは、年々難しくなってきています。
本来、日本人は新しい技術が好きな国民性です。今回、中国やオーストラリアのような爆発的な需要が発生しなかったのも、景気の影響と言えるのではないでしょうか。
ただし、日本ではiPhoneを破格で販売することで、顧客獲得を狙う携帯キャリアの戦略が定着しており、未だに実質数十円程度でiPhoneを入手できる状況です。
よって、iPhoneの日本での「値上げ感」こそあるものの、しっかり市況に合わせた価格で携帯各社が値付けをしてくるだろうと筆者は予想しています。
モルガンスタンレー証券は、今回のiPhone 17の初期売上の好調を理由に、2026年のiPhone 18は更なるヒットが期待できると予想しています。
トランプ関税や物価高などにより、不透明な経済状況は続きますが、アジアでのiPhone需要は加速を続けています。
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引用記事
- "iPhone 17 launch sparks overwhelming demand,long waits across Asia"(The Nation Thialand, 2025年9月19日)
- "Apple target lifted at Morgan Stanley on stronger-than-expected iPhone 17 cycle"(Investing.com,2025年10月2日)
- "How Many Hours of Work Pay for an iPhone 17?"(Statista,2025年9月16日)
- "Cost of a iPhone 17 around the world"(Wise Facebook公式アカウント,2025年9月10日)