「実質無料」「実質0円」って結局無料なの?仕組みと落とし穴を解説

よく見かける「実質0円」「実質無料」といった表記。誰もが一度は目にしたことのあるのではないでしょうか。無料とは言うものの、仕組みは複雑です。
本記事では、ネット回線の情報を日々追っている筆者が実質無料の仕組みをわかりやすく解説します。
「実質0円」「実質無料」とは?
「実質0円」「実質無料」といった用語は、実際には費用が発生しているが何らかの形で補填される仕組みのことを指します。言い換えると、「請求は発生するが、最終的には収支がプラマイゼロになる」ということです。一定の期間、契約を続けることが条件になっているケースがほとんどです。
よく見かける例の1つに、光回線の工事費が挙げられます。
他の、「負担あり」・「(実質ではなく本当に)無料」のパターンと比較するとこのようになります。

補填の仕組みというのは、キャッシュバックであったり、割引であったり、商品券であったり、時と場合によって様々。光回線の工事費の他、スマホの端末購入にも実質0円・実質無料といったプロモーションがされることが多くあります。
新規工事費「無料」の光回線プラン
工事費実質無料ではなく完全無料の光回線プランはこちらの記事で紹介しています。
新規工事費無料の光回線プラン
「実質無料」の仕組み
一体どういう仕組みで「0円」が実現できるのでしょうか。光回線を含むネット回線プランでは、主に以下の3パターンが主流です。
例1:同額を割引して相殺する方式
こちらは、光回線の工事費において近年最も多く採用されている方式です。

まずは、契約時に24か月分割、36ヶ月分割といった長期の分割払いを設定し、毎月1,000円くらいを少しずつ支払います。それと同時に、毎月1,000円の割引をすることで、最後まで払いきればプラマイゼロになるという仕組みです。
「そんなに面倒なことするなら、最初から無料にしてよ」と思いますよね。私もそう思います・・・。ただ、これもとにかく長く契約を続けてもらうための仕組みです。
例2:相当額をポイントで還元
例1の「キャッシュバック」と似ていますが、この場合はお金(現金)ではなく、ポイントで還元されます。そのため、現金で請求はされますし、支払いも現金で行います。後から、払った金額相当分のポイントが付与されます。
ただ、用途や期間が限られているという点で現金より不利だと感じる人もいるようです。有名どころでいうとドコモ光が工事費をdポイント還元で採用しています。
ちなみに、ドコモ光は2025年3月までは完全なる「工事費無料」でしたが、4月以降はdポイント還元の「実質無料」に変更しています。
例えばドコモ光なら、工事費と同額相当のdポイントを還元しています。dポイントでの支払いができるお店でポイントを利用することができますが、あくまでポイントですので現金と比べると使い道に制限があります。
例3:キャッシュバック方式
これは、一旦代金を契約者が支払うが、後から返金されるものです。ただ、キャッシュバックの時期を契約から1年後といったかなり先に設定しているケースもあり、実質契約の縛りのような働きをしています。
会社にとっては、とにかく長く契約して基本料金を沢山払ってもらった方が儲けになります。そのため、こういった仕組みを採用しているんです。
キャッシュバックに条件が付いているプランもありますので、申し込み前に必ず確認しましょう。
(例:〇ヶ月後に申請が必要、継続利用必須など。)
キャッシュバックに申請が必要な場合は、申請期間を1日でも過ぎるとキャッシュバックがもらえません。その点で、結構ハードルが高めです。
注意すべきポイント
「実質無料」をお得に利用するために、注意すべきポイントが2つあります。
途中解約で実質無料が打ち消しになる場合がある
特に工事費のような分割払いと同時に割引で相殺するタイプの実質無料の場合、途中で解約すると解約時点での分割払いの残額を一括請求されます。
例えば、24,000円の工事費を24回払いで設定していたものの、12ヶ月目で解約したとしましょう。その場合、残りの12,000円分は解約時に一括で支払う必要があります。この時点で、もはや無料ではなくなります。
【例】24,000円の工事費を24回払いで契約
→ 12ヶ月目で解約すると......
→ 残り12,000円が一括請求される
払いたくない人はあと1年契約を続けて分割払いの満期になるまで待つ必要があります。
全員が対象になるとは限らない場合がある
公式サイトで「実質無料」と書いてあっても、適用には条件をクリアする必要がある場合があります。
その条件とは、例えばこういったものです。
- 新規契約のみ対象。他社からの乗り換えは対象外。
- プランAに申し込んだ人は対象だが、プランBに申し込むと対象外。
セレクトラではこういった適用条件も記事にしっかり記載するようにしていますが、サービスの公式サイトを参照する場合、適用条件をなかなかハッキリ確認しづらい場合もあります。
気づかずに申し込む利用者が増えたため、是正の動きもあります。ただし、100%すべての会社が良心的に注意書きをしているとは限りません。
申し込む前に、必ず適用条件についての注意書きを慎重に読むようにしましょう。
結局「実質無料」ってお得なの?
結論、仕組みをよく理解していればお得に利用できます。
実質無料とは、言い換えると「請求は発生するが、最終的には収支がプラマイゼロになる」という仕組みです。この条件をしっかり理解している人なら、「実質無料」をお得に活用できます。
ただし、何も考えずに申し込むのは危険です。契約前に、あらかじめ分割払いの回数が何回で、何年契約を続ける必要があるのか、他に条件は無いか、必ず確認してから申し込むのがおすすめです。