官公庁払い下げPC譲渡会は本当にお得?5つの落とし穴

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最近「Windows10のサポート終了」に便乗して、「官公庁払下げパソコン譲渡会」のようなイベントが各地で開催されているようです。「お得そう」と思って足を運ぶ人もいますが、パソコン初心者にはあまりおすすめできないかもしれません。

最近「2025年10月14日にWindows10のサポート終了」に合わせて、「官公庁払下げパソコン譲渡会」のようなイベントが各地で開催されているようです。「お得そう」と思って足を運ぶ人もいますが、パソコン初心者にはあまりおすすめできないかもしれません。

サポートが終了したWindows10のパソコンはもう使えない?

いいえ、Windows10サポートが終わっても、すぐに使えなくなるわけではありません。電源を入れれば、これまで通り動きます。ただしサポートが終了すると、これまで存在しなかったウイルスや不正アクセスから守るためのセキュリティ更新(修正プログラム)が徐々に届かなくなります。すぐに危険にさらされる訳ではないので、「サポートが切れるから今すぐ買い替えないと危険です!」といった説明には要注意。焦る必要はありませんので、自分にあったパソコンをじっくり選びましょう。

官公庁払い下げPC譲渡会 こんな人はやめた方が無難かも

  • パソコンに詳しくない初心者
  • 日常でガンガン使えるパソコンを探している人
  • 長く安心して使えるパソコンが欲しい人
  • パソコンメーカーの保証が欲しい人

 

官公庁払い下げPC譲渡会 こんな人なら大丈夫

  • パソコンの仕組みに詳しく、トラブル時に自力で対応できる人
  • 予備用・検証用・学習用などメイン機ではない使い方をしたい人
  • エコ活動やリユースに共感している人

理由①:かなり古いパソコンが販売されている

どうやら譲渡会のチラシや当日の説明書きには「Core i3」や「Core i5」と書かれているようです。このただ、重要なのは第何世代のCPUかです。

たとえば現在は第12世代以降が主流。譲渡会で並ぶPCは7〜8世代前ということも珍しくありません。「3~6年前のモデルです」と言われても、実際はかなり古いことが多いです。

「Core i3」「Core i5」ってなに?

パソコンにintel core i5のステッカーが貼ってある写真

パソコンの中には「CPU(シーピーユー)」という、部品が入っています。これはいわばパソコンの脳みそ。このCPUが「パソコンの速さ」や「同時にどれくらいの作業ができるか」を決めます。

  • Core i3:小さめの頭脳(ネットや動画、レポート作成くらいならOK)
  • Core i5:中くらいの頭脳(写真加工や軽いゲームもスムーズ)
  • Core i7:大きな頭脳(動画編集や3Dゲームもこなせる)

というイメージです。「Core(コア)」はCPUを作るインテルという会社の商品名で、i3・i5・i7はその性能ランクを表しています。

でも大事なのは「第何世代」か

CPUには世代があります。スマホで言うと「iPhone 8」と「iPhone 15」みたいな感じです。例えば同じ「Core i3」でも、古い世代と新しい世代では性能がまったく違います。

たとえば:

  • 第8世代のCore i5(8年前のパソコン) → かなり古い
  • 第12世代のCore i3(3年前のパソコン) → 今でも快適に使える

このように、4世代ほど間があくと、「Core i5よりもむしろCore i3の方が性能が良い」という現象も起きます。最近に発売されたものの方が、性能が良い傾向があります。

CPUの世代の見分け方(Intel Core)

CPUの世代は、モデル番号の最初の数字で分かります。

  • Core i5-7200U → 「7」が最初 → 第7世代
  • Core i5-1240P → 「12」が最初 → 第12世代

理由②:バッテリーが消耗している

官公庁や企業で使われていたということは、つまり今まで日夜長時間稼働していたパソコンだということをお忘れなく。パソコン本体はかなり使い込まれていることを理解しておく必要があります。本体のバッテリー駆動で使いたい人には向かないということが分かります。

ノートパソコン有償譲渡会を実施しているJEMTCでは以下の注意書きがあります。

・内蔵バッテリーは充電機能を有しません。一台ごとにお渡しする電源ケーブルを必ずお使いください。
・内蔵バッテリーの消耗を理由とした返品はお断りします。 お譲りする機器は、家電量販店に陳列される個人モデルではなく、企業モデルのリース期限が終了した再生パソコンです。
ノートパソコン有償譲渡会について

本体のバッテリーはほとんど消耗していて、電源につながないと使えない状態になっていると考えられます。

理由③:Windows11が「無理やり」入っている可能性

稀なケースではありますが、対応していない古い機種に無理やりインストールされているケースもあります。見た目は最新でも、安定性やアップデートの保証がないことも。

以下のプロセッサがWindows11でサポートされている一番古い世代です(※intelの場合)。これより古いプロセッサ(CPU)の場合、いくらOSがWindows11でも数万円を払って買う価値はあまりなさそうです。

Windows 11でサポートされているIntelプロセッサの最小世代
ブランドサポートされている最も古い世代具体的な最小モデル例
Intel Celeron第6世代Intel Celeron 6305
Intel Celeron G4900 (第8世代の可能性があるモデル)
Intel Core i3第8世代Intel Core i3-8100
Intel Core i5第8世代Intel Core i5-8200Y

Microsoft公式サイト:Windows 11 でサポートされている Intel プロセッサ

理由④:Microsoft Officeは純正ソフトではない

「Office入り」と書かれていても、実際はWPS Officeなどの互換ソフトの場合がほとんどです。家電量販店でパソコンを買う際、純正のMicrosoft wordがインストールされていることが多いですが、こういった中古パソコン販売会でインストールされているものは大体がジェネリック製品で、Microsoft純正のものではありません。

Microsoft純正のソフトと互換性はあるものの、見た目が崩れる、一部使えない機能があるなど使いこなせないと面倒に感じる場合も。絶対に純正じゃなければダメという訳ではありませんが、知らないで買って後からガッカリすることにならないよう、あらかじめ理解しておくことが大切です。

理由⑤:価格が割高

ネットの中古市場では同等スペックが1〜2万円台で手に入ることもあります。それが譲渡会では3〜5万円で売られていることも。イベント形式なので雰囲気はありますが、コスパは高くありません。

安く中古パソコンを手に入れたい場合は、ネット通販がおすすめです。

官公庁払い下げPC譲渡会にはメリットもある

初心者にはあまりおすすめできないこちらの譲渡会ですが、メリットもあります。

不要パソコンのリユースという社会的意義

官公庁や企業で使われたパソコンを再利用することで、電子廃棄物の削減や資源の有効活用につながります。「リサイクル・エコの観点」で見ると、社会的には意義のある取り組みです。

ただ、新品ではないためメーカーの保証はつきません。販売会社が設定する1年~2年の保証のみです。元々古いパソコンの場合、壊れてしまったら修理できず再度買い替えの可能性もあります。パソコンを自分で整備できる、さらにそれを楽しめる人でなければ、いくらエコとは言え本当の意味で良い買い物にはならないかもしれません。

まとめ

「掘り出し物を見つけるのが楽しい」という方以外は、素直に新品PCを買うのが安心です。