太陽光発電のメリット・デメリットを考える
世界中で問題となっている地球温暖化。原因となる温室効果ガスを出さない発電方法で温暖化対策に役立つと、太陽光発電への注目が高まっています。最近は屋根にソーラーパネルを取り付けた住宅もよく見かけるようになってきましたね。環境にやさしく、電気代も安くなるなど、良いことづくめのように思えますが、デメリットはないのでしょうか。太陽光発電のメリット、デメリットを考えてみましょう。
なぜ太陽光で発電できるの?
そもそも、なぜ太陽光から発電ができるのでしょうか。
太陽光発電は種類の違うシリコン半導体を2枚合わせたパネルで発電します。私たちがふだんよく見かける黒っぽいパネルで、太陽電池とも言います。パネルに日光が当たると、光のエネルギーを受けて半導体の中でプラス、マイナスの電気を帯びた電子が動き出します。それぞれの電子がプラス、マイナスの電極に引きつけられてエネルギーを放出し、パネルにつながれた導線を電気として流れていくのです。電極にエネルギーを放出した電子はまた元の半導体に戻り、太陽光を浴びてまた動き出すという繰り返しで発電が続いていきます。
一枚一枚のパネルは「セル」と呼ばれ、セルを板状につなげて広げたものを「モジュール」と言います。発電量はセルの数に応じて増減することができます。ソーラーパネルで発電されるのは直流電流で、そのままでは一般の電化製品には使えません。モジュールで発電された電気は、パワーコンディショナーという装置で直流電流を交流電流に変換して、住宅やオフィスなどで使われることになります。
太陽光発電の6つのメリット
日本でも最近、普及が進みつつある太陽光発電ですが、ほかの発電方法と比べてどんなメリットがあるのでしょうか。大きく分けて6つ考えられます。
メリット 電気代が安くなる
まず初めに思いつくのは、電気を自家消費することで電気代が安くなることですね。
昼間に使う電力を太陽光発電だけでまかなえれば、その分の電気代はかかりません。消費する以上に発電量が多い場合は、余った電気を電力会社に買い取ってもらえます。逆に、使われる電気の方が多い場合は、不足分を電力会社から買うことになりますが、手続きは自動制御され、そのつど操作する必要はありません。
メリット 余った電気はFITで売電
余った電気を買い取ってもらう際、固定価格買い取り制度(FIT)の対象になっていることが2つめのメリットといえます。
FITとは、電力会社が一定期間、一定の割高な価格で電気を買い取ることを国が保証する制度です。買い取り価格は国が決め、出力10キロワット未満の住宅用の太陽光発電の場合、2020年度から10年間は1キロワット時当たり21円で買い取ってくれます。買い取り価格が10年間保証されているため、採算がとりやすく、設置を検討する人には資金的な見通しが立てやすくなります。
メリット 災害時の備えにも
3つめは最近各地で相次いでいる災害への対応です。
大規模な災害ともなれば、停電が長期化する恐れもありますね。自宅の屋根などで太陽光発電をしていれば、災害で停電になっても自家製の電力が頼りになります。より現実的な対策としては、発電した電気をためておく蓄電池も必要になりますが、自家製の電気が確保できていれば、緊急時も安心ですね。
メリット メンテナンスが簡単
災害時の備えにも関連しますが、太陽光発電のモジュールは故障しにくいというのが4つめのメリットになります。
ソーラーパネルの故障の多くは、何かが当たった衝撃や汚れなどによるもので、こまめに点検、洗浄をすることで大半のトラブルが防げます。火力や風力など、ほかの発電システムなどと比べても、メンテナンスが非常に簡単です。
メリット 安定したエネルギー源
資源の少ない日本にとって太陽光発電は貴重な国産エネルギーで、枯渇する恐れもないのは大きなメリットです。
2017年の日本のエネルギー自給率は9.6%にすぎません。国内で消費されるエネルギーの大半は海外からの輸入に頼っているのが現状です。電気をつくる燃料は石炭、石油、天然ガスが8割以上を占め、産油国の多い中東地域などで政情が不安定化すると、輸入が止まってしまう恐れもあります。太陽光発電なら長期にわたって安定的に電力を確保でき、国内で使われる電力を国産でまかなうことができます。
メリット 温暖化対策に効果
6つめのメリットはもちろん、温暖化の原因になる温室効果ガスを排出しないことです。
火力発電のように空気を汚すことはなく、モジュール周辺でも騒音も出ません。太陽光発電は設置者に利益をもたらすことはもちろん、持続可能な社会をめざすという地球規模の課題にも貢献できるのです。
太陽光発電のデメリット4点
ここまで見てきたように、設置者に貢献するだけでなく、社会的な意義も大きい太陽光発電ですが、どんなデメリットがあるのでしょうか。主に4点が挙げられます。
デメリット 天候・時間帯が発電量を左右
まず何より、発電量が天候に左右されることです。
日没後はもちろん発電できませんし、曇りや雨の日は発電量がガクッと落ちることもあります。気温が高すぎても発電効率が下がることもあります。年間を通してみれば一定の発電量はありますが、時期によって大きな差が出るのは避けられません。比較的平坦な地形の欧米に比べると、山間部や積雪地域も多い日本では、年間を通して太陽光発電に適した場所は限られてきます。
デメリット 初期費用が高い
2点めは、設置の初期費用がかかる点です。
パネルや架台などの資材や工事費用などで、比較的小規模な住宅用でも、設置費用は100万~200万円かかるといわれます。さらに蓄電池などを取り付けるとトータルで200万~400万円が必要で、設置のハードルがやや高いのが現状です。ただ、パネルや蓄電池の設置には国や都道府県の補助制度もありますので、予想以上に安くできる可能性もあります。
デメリット 思わぬ破損リスク
3点めは、ソーラーパネルが破損する恐れがあることです。
設置されるのが屋外のため、強風で飛ばされたごみなどがぶつかることがあります。パネルの破損やゆがみが原因で発電効率が落ちたり、パネル周辺から漏電や出火したりする可能性もあり、注意が必要です。
デメリット 買い取り拒否されるケースも
4点目は、FITの対象ではあっても、地域によって余剰電力の買い取りを拒否されるケースがあることです。
電気は常に需要と供給のバランスをとる必要があるため、需要が低いのに太陽光などの発電量が大きい時は、電力会社が送電を受け入れない(出力抑制)ことがあります。特に稼働中の原発は出力調整が難しく、原発を抱えた九州電力管内では2018年以降、電力需要の低い春、秋に太陽光などの出力抑制が相次いでいます。
高額な初期費用への対策は?
太陽光発電のデメリットの中でも最も気になるのが、2点目に挙げた高額な初期費用ではないでしょうか。ただし、以下のような対策で、費用を抑えて太陽光発電を導入できる場合もあります。
国や自治体の補助制度
対策のひとつとして、自治体の補助制度の活用があります。
太陽光発電の設置費用の一部を補助することを通して再生可能エネルギーの普及を支援している自治体を見てみましょう。
たとえば東京都台東区は、住宅用の太陽光発電について出力1キロワット当たり5万円(上限20万円)、住宅用の蓄電池も容量に応じて1キロワット時当たり1万円(上限10万円)を助成しています(2020年度は予算が終わりしだい終了)。大阪府豊中市も今年度、太陽光発電の設置に出力1キロワット当たり1万5千円(上限6万円)を助成しています。補助対象や金額などは市町村によって異なるため、設置を検討している人は地元の自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
太陽光発電単体への補助が中心の自治体に対し、国は電力を自給できる住宅の普及に力を入れています。1軒の住宅で発電する電力と消費する電力の差(エネルギー収支)がゼロになる住宅を、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)と言います。ZEH住宅へのリフォーム、ZEH住宅を新築・購入すれば一戸当たり60万円の補助金、蓄電池も設置すればさらに最大20万円が支給される制度があります。
日本では太陽光パネル、モジュールの価格が海外の約1.5倍、設置するための工事費も1.5~2倍高いという調査もあります。メーカーから発電事業者までの流通構造や取引慣習などが見直されれば、初期費用は今よりも下がる可能性があります。世界では太陽光発電の普及が進むことで資材などが値下がりし、発電コストが下がることでさらに普及が進むという好循環が生まれています。ヨーロッパなどでは、火力発電所などで発電された電力と競い合うほど太陽光発電のコストが下がった国もあります。日本でも普及が進むことで初期費用が下がり、ますます設置が進む傾向にあるといっていいでしょう。
設置費用がゼロ円の太陽光発電
初期費用の高さへのもうひとつの対策として、「設置費用が0円の太陽光発電を選ぶ」ことが挙げられます。「0円ソーラー」などと呼ばれる、太陽光発電の導入を無料で行う電気料金プランです。
この「0円ソーラー」は、太陽光発電システムを無料で設置する代わり、契約期間中に発電する電気は電力会社のものとなり、契約者は使った分の電気代を支払う、というしくみです。契約期間が終わると太陽光発電システムは無償譲渡となり、自宅で発電した電気を自分で使ったり売ったりできるようになります。
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太陽光発電のメリット・デメリットを考える-まとめ
温室効果ガスを排出せず、温暖化防止に効果がある太陽光発電ですが、メリット、デメリットの両面があることがわかりました。
自宅に取り付けた太陽光パネルで発電して自家消費できれば、電気代も安く済みますし、災害時の備えにもなります。強風などで破損しない限り故障しにくく、メンテナンスが比較的簡単というメリットもあります。より大きな視点でみると、資源の乏しい日本のエネルギー自給率の向上につながること、世界的に問題の地球温暖化防止に貢献できるというメリットもありました。
一方、発電量が天候などに左右されるデメリットがあります。日本ではまだパネルなどの資材や工事費用などが割高で、初期費用に100万~200万円もかかることもデメリットの一つと言えるでしょう。ただ、設置にかかる費用は国や自治体によって一部を助成してくれる制度もありますから、お住まいの自治体に問い合わせてみるといいでしょう。また、Looop未来発電のような初期費用が0円の太陽光発電システムを選ぶという方法もありますね。
先行する欧米では太陽光発電の普及が進み、火力発電などにも負けないくらい発電コストが下がってきました。長期的にみれば、日本も太陽光発電の設置費用などは下がっていくことが予想されます。太陽光発電の普及が進んで発電量が需要を超えると、電力会社が一時的に受け入れを拒否する出力抑制といった事態も今後は増えていくかもしれません。太陽光発電を設置してみたいという方は、導入のメリット・デメリットをよく理解したうえで検討してみてはいかがでしょうか。