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熊本で震度7、携帯電話通信は機能したのか?大手4社の明暗と今すぐできる備え・「デュアルSIM」という答え

Kumiko Kumiko 更新日:
2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生し、大手キャリアから楽天モバイルまで、携帯各社で通信障害が起きました。一部の地域では110番・119番の緊急通報すら一時つながらない状況に。この記事では、①今回の各社の通信状況(結局どこがつながったのか)、②今すぐできる備え、③災害に強いSIMの持ち方(デュアルSIM)まで、順番に解説します。

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このたびの熊本地震により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早い平穏な日常の回復を、心よりお祈り申し上げます。

地震はいつ起こるか分かりません。そして今回のように、地震のたびに「電話がつながらない」「ネットが使えない」というトラブルが繰り返し起きています。大切なのは、通信は「止まる可能性がある」前提で備えておくことです。

本記事では、SIM・スマホを専門に取材してきた立場から、熊本地震での各社の通信状況を整理したうえで、次の災害に向けて個人ができる現実的な対策までまとめました。結論を先にお伝えすると、備えの決め手のひとつが「1つの回線に依存しないこと」=デュアルSIMです。

  • 総務省の集計(7月28日22時45分時点)では、停波した基地局が最も多かったのはau(77局)、最も少なかったのはドコモ(3局)。ソフトバンク(5局)・楽天モバイル(6局)は比較的軽微だった。ただし支障は局所的で、同じ会社でもエリアによって状況は異なる。
  • 「00000JAPAN」の無料開放や、ドコモ⇔au間の「JAPANローミング」など、各社をまたぐ救済策が実際に発動された。
  • 次の災害への最も確実な備えは、異なる回線を2つ持つデュアルSIM/eSIM。

①熊本地震での各キャリアの通信状況|機能した携帯会社はどこ?

2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県を震源とする地震(マグニチュード7.0〜7.1)が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7を観測しました。基地局の停電や、基地局までの伝送路(通信ケーブル)の故障により、携帯各社で通信障害が発生しています。八代市・人吉市など一部の地域では、110番・119番の緊急通報も一時的に利用できない状況となりました。

まずは、各社の通信被害を早見表で確認しましょう。

熊本地震における携帯4社の停波基地局数(総務省「令和8年熊本地震 被害状況 第6報」2026年7月28日22時45分時点)

キャリア 影響の大きさ・状況
NTTドコモ 停波した基地局は3局(八代市の一部)と4社で最も少なく、役場エリアに支障なし。後述のJAPANローミングを他社に提供する側にまわりました。
ソフトバンク 停波は5局(当初4局から増加)。「エリア支障なし」とされ、影響は比較的軽微でした。
楽天モバイル 停波は6局。総務省は「エリア支障なし」とする一方、楽天自身の情報では八代市・人吉市など複数の市町で一時利用しづらい状況も出ました。
au(KDDI) 停波が28局から77局へ拡大し、4社の中で突出して被害が大きく、人吉市・八代市の一部でau・UQ mobile・povo・au回線のMVNOが利用しづらい状況に(役場エリアは支障なし)。

結局、どの携帯会社が「機能した」のか

正直にお伝えすると、今回の地震で「完全に問題なく使えた」キャリアはありません。震源に近い八代市・人吉市などでは、程度の差こそあれ、どの会社も影響を受けました。そのうえで各社を比べると、次のような傾向でした。

  • 停波が最も少なかったのはドコモ(3局)。次いでソフトバンク(5局)、楽天モバイル(6局)と、この3社は比較的軽微でした。
  • auの停波は28局から77局へと拡大し、4社の中で突出して被害が大きく、人吉市・八代市の一部で利用しづらい状況が続きました。
  • ただしドコモ・auも「役場エリアは支障なし」とされるなど、支障は震源に近い一部エリアに限定。同じ会社でも場所によって状況は大きく異なります。

「では、JAPANローミングや無料Wi-Fiがあったのだから、結局みんな大丈夫だったの?」という疑問が湧くと思います。ここが今回いちばん大事なポイントです。

各社をまたいで発動された緊急対応

今回の地震では、1社だけでは救いきれない状況を補うため、事業者の枠を越えた緊急対応が実際に発動されました。

熊本地震で発動された主な緊急対応
  • 無料Wi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)」の開放:ソフトバンクやKDDIなどが7月28日夜から被災地を中心に無料開放。契約するキャリアやMVNOに関係なく、Wi-Fi対応端末ならID・パスワード不要で利用可能。
  • 「JAPANローミング」の提供:ドコモとKDDIが、互いのユーザーを一時的に相手の回線でつなぐ災害時ローミングを提供。自社網が停波しても、もう一方の網で通信できる仕組み。
  • モバイルバッテリーの無料開放:シェアリングサービス「CHARGESPOT」が、県内84か所(後に31台追加)でレンタル開始から48時間未満の利用を無料に。
  • 「00000JAPAN」の仕組みやメリット・注意点は、別記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

    ②通信が途絶えたときのリスク対策|今すぐできる備え

    通信障害は「起きてから」では対処が難しいものです。ここでは、災害で電話やネットがつながらなくなったときに慌てないための、今すぐできる備えを整理します。

    まず安否確認:災害用伝言板(web171)・災害用伝言ダイヤル(171)

    電話が混み合ってつながらないときでも、安否情報だけは残せる・確認できる公式サービスが用意されています。家族や大切な人と、使い方を事前に共有しておきましょう。

    1. 災害用伝言ダイヤル(171):電話で「171」にかけ、音声ガイダンスに従って伝言を録音・再生します。自宅などの電話番号をキーにして伝言を残せます。
    2. 災害用伝言板(web171):インターネット上(web171.jp)で、電話番号をキーに安否のテキストを登録・確認できます。
    3. 各社の災害用伝言板:ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルも、それぞれのアプリや専用ページで伝言板を提供しています。

    充電と通信を確保する

    停電が重なると、スマホの充電と通信の両方が課題になります。次の備えが有効です。

    • モバイルバッテリーを満充電で常備しておく(今回はCHARGESPOTの無料開放もありましたが、まずは自分の備えが基本)。
    • 基地局が停波したエリアでは、避難所などに開放される無料Wi-Fi「00000JAPAN」を活用する。
    • 省電力モードをオンにし、画面の明るさを下げてバッテリーを節約する。

    災害に備えた事前設定チェックリスト

    平時のうちに、スマホ側で次の設定・準備をしておくと安心です。

    今すぐ確認したい5項目
  • 緊急速報メール(緊急地震速報)の受信をオンにする。
  • 家族と「171/web171の使い方」と集合場所を共有しておく。
  • モバイルバッテリーを常備し、定期的に充電しておく。
  • 避難所や自宅周辺のオフライン地図をダウンロードしておく。
  • 予備の回線(デュアルSIM)を用意しておく(次章で解説)。
  • ③災害に強いSIMの持ち方|「デュアルSIM」という答え

    今回の熊本地震であらためて浮き彫りになったのは、「契約している1社の回線が止まると、その会社のユーザーはまとめて通信手段を失う」というリスクです。今回auの停波が大きく広がったように、どの会社にも起こりうることです。

    この「1回線依存」のリスクを根本から下げてくれるのが、1台のスマホで2つの回線を使えるデュアルSIMです。

    なぜデュアルSIMが災害に強いのか

    デュアルSIMなら、メイン回線が停波しても、もう一方の回線に切り替えて通信を続けられます。ポイントは、異なる通信網(ネットワーク)を組み合わせることです。

    • ドコモ系とau系、あるいはソフトバンク系と楽天など、回線網が異なる2社を組み合わせる。
    • 同じ回線網を使うMVNO同士(例:ドコモ回線の格安SIM×ドコモ回線の格安SIM)では、その網が止まると両方ダメになるため意味が薄い。
    • 最近のスマホは、物理SIM+eSIMの組み合わせで手軽にデュアルSIMを実現できる。

    今回の教訓を踏まえた「予備回線」の選び方

    「2回線も契約したら料金が高くなるのでは?」と思うかもしれません。予備回線は、目的に合わせて次のように選べます。

    • 料金を抑えて備えるなら:povo2.0のように、使わなければ基本料0円で維持できるプランをeSIMで契約し、普段は0円のまま「保険の回線」として待機させておく。
    • 被害が大きかったau以外の網で備えるなら:今回停波が突出したau網を避け、たとえばソフトバンク網のLINEMOやワイモバイルを予備に持つのも一案。ポイントは、メイン回線と必ず「違う網」になるよう組み合わせることです。

    今回はauの停波が突出しましたが、これはあくまで今回の震源・被害状況での結果にすぎません。次の災害でどの網が強い(弱い)かは誰にも分かりません。だからこそ「1社に賭ける」のではなく、異なる網を2つ持っておくことが、いちばん確実な備えになります。

    今回発動した「JAPANローミング」は心強い仕組みですが、これは事業者の判断で災害時に一時的に発動されるもので、常時・すべての利用者・全エリアで使えるものではありません。自分で確実に2つの回線網を持っておくデュアルSIMのほうが、より確実な備えといえます。両者は「どちらか」ではなく、併用できる備えです。

    予備回線におすすめ:網の違う「LINEMO」と「ahamo」

    予備回線は、月額を抑えやすく、eSIMですぐに開通できるオンライン専用プランが便利です。なかでもソフトバンク網のLINEMOドコモ網のahamoは回線網が異なるため、片方をメイン・もう片方を予備にする「2枚持ち」に向いています。メイン回線とは違う網のほうを選ぶのがポイントです。

    LINEMO(ソフトバンク網)

    ソフトバンクの回線をそのまま使えるオンライン専用プラン。LINEのトークやビデオ通話がデータを消費しない「LINEギガフリー」に対応し、小容量プランも手頃です。eSIMなら申し込み当日に開通できます。

    LINEMOの詳細を見る

    ahamo(ドコモ網)

    ドコモの安定した回線を使えるオンライン専用プラン。大容量のデータと国内通話5分かけ放題が標準で付くため、災害時の連絡でも安心です。こちらもeSIM対応で、予備回線として備えておけます。

    ahamoの詳細を見る

    組み合わせの考え方をもっと詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

    より詳しく比較したい方は、各社の料金や評判をまとめた一覧や、eSIMの基礎知識もあわせてご覧ください。

    大規模災害のたびに注目されるのが、地上の設備が壊れても使える衛星通信(Starlinkなど)です。KDDI(au)は、災害時の復旧手段としてStarlinkの活用を進めてきました。

    • Starlinkを活用した機材を全国に1,600台以上配備。うち車載型・可搬型・船舶型の復旧用基地局は約330台規模まで拡充。
    • あらかじめStarlinkのバックアップ回線を備えた基地局では、光ケーブルが断線しても現地に行かず遠隔でStarlinkに切り替えられる機能を2026年3月までに検証完了。
    • Starlinkをバックホールに使ったauの小型基地局(フェムトセル)も2026年に商用導入されている。

    2024年の能登半島地震では、被災地にStarlinkが実際に活用され、共同会見でもその効果が語られた実績があります。

    総務省の被害状況報告(第6報)によると、7月28日、自治体からの要請を受けて総務省が宇土市と宇城市にスターリンクを各1台貸与しました。これは携帯基地局の復旧そのものではなく、停電などで通信が不安定になった自治体(役場)の行政機能を維持するための配備です。地上のインフラが被災しても、衛星経由で通信を確保できることを示す事例といえます。

    一方で、KDDIが自社の携帯基地局の復旧にStarlink可搬型基地局を投入したかどうかは、本記事執筆時点(2026年7月29日)では明確な公表を確認できていません。あらかじめStarlink回線を備えた基地局は、光ケーブルが切れても遠隔で自動的にStarlinkへ切り替わるため、表立った発表がなくても機能している可能性はあります。いずれにせよ設置や切り替えには時間がかかり、被災地の全域を即座にカバーできるわけではないため、「衛星があるから安心」とはならず、伝言板・充電・デュアルSIMといった個人の備えは引き続き重要です。

    なお、スマホと衛星が直接通信する技術(スマホダイレクト)も各社で進んでおり、将来的には「圏外」という概念そのものが変わっていく可能性があります。

    セレクトラ編集部より

    今回、筆者が一番気になったのが、各キャリア提供のスターリンクが使えたのかどうかという点です。Xなどもチェックしてみたのですが、ユーザーからの報告も見つかりませんでした。是非、大手各社には、どこかのタイミングで報告を期待したいです。

    まとめ|通信は「止まる前提」で備える

    熊本地震では、大手から楽天モバイルまで各社で通信障害が発生し、一部では緊急通報も一時利用できませんでした。総務省の集計では停波した基地局はドコモ3局・ソフトバンク5局・楽天6局に対し、auは77局へと拡大。auの被害が突出しましたが、これはあくまで今回の震源・被害状況にすぎません。

    本当に大切なのは、「どの会社が強いか」を探すことよりも、どの回線が止まっても連絡手段を失わないように備えておくことです。安否確認の手段(171・web171)を家族と共有し、充電を確保し、そして異なる回線網を2つ持つデュアルSIMを用意しておく。これが、次の災害に向けた最も現実的で確実な備えです。

    熊本地震と携帯電話の備えに関するよくある質問

    総務省の集計(7月28日22時45分時点)では、停波した基地局が最も少なかったのはドコモ(3局)、次いでソフトバンク(5局)、楽天モバイル(6局)でした。auは28局から77局へと拡大し、4社の中で被害が突出しました。ただし停波は震源近くで局所的に起こるため、同じ会社でも場所や時間によって状況は大きく異なり、「この会社なら災害時も安心」とは言い切れません。

    電話が混み合ってつながらない場合でも、災害用伝言ダイヤル「171」や災害用伝言板「web171(web171.jp)」なら安否情報を残す・確認することができます。基地局が停波したエリアでは、避難所などで開放される無料Wi-Fi「00000JAPAN」も活用できます。

    はい。「00000JAPAN」は、開放したキャリア以外の他社ユーザーやMVNO(格安SIM)ユーザーでも、Wi-Fi対応端末であればID・パスワード不要で利用できます。ただし通信内容は暗号化されないため、重要な個人情報の送受信は避け、安否確認や情報収集など緊急の用途にとどめるのが安心です。

    異なる通信網の2社を、1台のスマホで使う「デュアルSIM」がおすすめです。片方の回線が停波しても、もう一方に切り替えて通信を続けられます。povo2.0のような基本料0円で維持できるプランをeSIMで契約し、「保険の回線」として待機させておく方法が特に手軽です。

    JAPANローミングは、ドコモとKDDIが災害時に一時的に相互提供する仕組みで、常時・すべての利用者・全エリアで使えるものではありません。自分で確実に2つの回線網を持っておくデュアルSIMのほうが、より確実な備えです。両者は併用できます。

    今回の熊本地震では、総務省が宇土市・宇城市にスターリンクを各1台貸与し、自治体の行政機能維持に活用されました。ただし携帯基地局の復旧には設置や切り替えの時間がかかり、被災地の全域をすぐにカバーできるわけではありません。衛星通信は心強い備えですが、伝言板・充電・デュアルSIMといった個人の備えは引き続き大切です。

    目次

    Kumiko スマホ・SIM担当

    スマホ・SIM関連の記事を担当、楽天モバイル関連記事の執筆量はセレクトラで1番。前職のコンサルティング業界では大手通信会社のプロジェクト等に参画。長年情報に携わる仕事でごはんを食べてきたため、その情報収集能力を活かし、現在はSIM・スマホの専門家として活動しています。「移り変わりの激しいスマホ業界のタイムリーなお得情報を、どのメディアよりも分かり易く伝えること」がモットー。現在、6か国目移住国にてサバイブ中。