au・UQモバイル・povo通信障害 (22年7月) - 補償は?今後は大丈夫?

- 本記事の概要
- 2022年7月におきたKDDI(au・UQモバイル・povo)の概要をやさしく説明
- KDDIによる、au・UQモバイル・povoユーザーへの対応(補償等)を紹介
- 7月の通信障害を受けて、今後ユーザーはどうすればよいのかを検討
2022年7月のau・UQモバイル・povoの通信障害
2022年7月上旬にKDDIで通信障害が発生しました。これにより、au・UQモバイル・povoなどを利用している多数の人が影響を受けました。KDDIの発表によりますと、以下が概要です。
影響時間 | 7月2日(土)1:35-7月4日(月)15:00(61時間25分) |
---|---|
影響エリア | 全国 |
影響数:音声(VoLTE) | 約2,278万人 |
影響数:データ(4G/5G) | 765万人以上 |
この影響規模は、通信障害の1週間前の同時間帯と通信障害時の差分(呼数や位置登録数)をもとに算出されているとのことです。
通信障害の影響
影響数は音声通信で約2,278万人、データ通信は765万人以上とのことですが、この中には個人だけではなく、法人も含まれています。このため、さまざまな業種・生活インフラに影響が出ました。KDDIの資料でも次のように分析されています。
- 物流関連:宅配便の配送状況更新・配達ドライバーへの連絡
- 自動車関連:つながるクルマ向けのサービス利用
- 行政サービス:気象観測点のデータ収集・水道検針
- 銀行関連:店舗以外のATM利用
- 交通関連:空港スタッフ用無線機やバスのICカード使用
このように、生活の基盤となるサービスに幅広く影響が出たため、今回の通信障害の影響は甚大であるといえます。
au・UQモバイル・povoの通信障害はなぜ起きた?原因は?
では、KDDIの通信障害が起きた原因は何なのでしょうか?
KDDIの報告によると、直接の原因は「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる現象が起きたことです。
輻輳とは「さまざまな物が1箇所に集中する状態」を差し、特に通信分野では、「インターネット回線や電話回線にアクセスが集中すること」を言います。(参照:docomo Business Online、「輻輳(ふくそう)とは」)
今回の通信障害では、何にアクセスが集中したかが問題となりますが、携帯電話の通話音声をデータに変換するための交換機(VoLTE交換機)および加入者データベースにアクセスが集中しました。
なぜこのようにアクセスが集中する自体が発生したかというと、モバイルネットワークと全国中継網を接続するルータの取り換え中にルータの経路が誤って設定されてしまったためです。これにより、連作的に加入者データベースのデータ不一致が生じ、通信がしづらい状況になりました。

KDDI、「7月2日に発生した通信障害について」より
以上のことから、今回のKDDIの通信障害には3つの要素があるとKDDIは分析しており、それぞれの原因を次のように報告しています。
項目 | 原因 |
---|---|
ルータの経路誤設定 | 作業事前準備の不十分さ 管理ルール、確認項目、承認方法が不十分だった |
大規模化 | 輻輳制御の考慮不足 特殊なネットワーク状態での輻輳制御が十分に考慮されておらず、全国的に輻輳状態を発生させた |
長期化 | 輻輳状態における復旧作業手順 複雑な輻輳状態を復旧させる手順が確立されていなかった |
KDDIによる通信障害への今後の対策は?
今回の通信障害はいったん収まりましたが、今後は大丈夫なのでしょうか?今au・UQモバイル・povoを使っている人や、これらのプランへの乗り換えを考えていたという人にとっては、気になる論点です。
KDDIは、上で見たように今回の通信障害にはメンテナンス作業中のルータ経路誤設定・大規模化・長期化という3つの側面があり、さらに顧客への通知が十全ではなかったことを踏まえて、次のような防止策を打ち出し、すでに一部実施済みです。
項目 | 実施内容 | 実施時期 |
---|---|---|
メンテナンス作業 | (1) 作業手順書管理ルール・作業承認手法の見直し (2) 作業リスク評価と作業抑制基準・期間の見直し |
(1) 2022年7月14日実施済 (2) 2022年7月22日実施済 |
大規模化 | (1) VoLTE交換機のより詳細な輻輳検知ツール開発 (2) 輻輳制御の設計見直し (点検、計画策定) |
(1) 2022年7月28日実施済 (2) 2022年8月末迄に点検完了予定 その後計画策定 |
長期化 | (1) 輻輳発生時の復旧手順の見直し (2) VoLTE交換機の輻輳解消ツールの開発 |
(1) 2022年7月11日実施済 (2) 2022年8月末迄に実施予定 |
お客さま周知 | お客さま目線の情報開示・適時適切な情報提供手法拡充 | 2022年7月14日一部実施済 2022年9月末迄に実施予定 |
このように、原因分析に応じて、3つの項目それぞれに対してすでにKDDIは対策をとっており、合わせてユーザーへの周知方法も見直しをしています。このように通信障害に対してはしっかりとした対策が行われているため、ひとまずは同じような通信障害がまた起きるという可能性は低いと考えてよいのではないでしょうか。
補償を含めた、au・UQモバイル・povoユーザーへの対応は?
KDDIは影響を受けたau・UQモバイル・povoユーザーに対して次のような対応を発表しました。
約款返金 | |
---|---|
対象者 | 271万人 (KDDI)・7万人 (沖縄セルラー)
|
対応内容 | 契約の料金プランの基本使用料等の2日分相当額を請求額から減算 |
お詫び返金 | |
対象者 | 3,589万人 (KDDI)・66万人 (沖縄セルラー)
|
対応内容 | 請求額から200円 (税抜) の減算 povo2.0は基本使用料が0円であるため、返金に替えてデータトッピング (1GB/3日間) の進呈 |
KDDIの対応はどう評価することができる?
200円という額はわずかに見えるかもしれませんが、返金の対象になる人の数を考えると、お詫び金の額は70億円を超える額になります。
実は、KDDIは2013年に起きた通信障害の際には、700円の補償金を支払っているため、今回のお詫び金は少ないように見えるかもしれません。しかし、2013年に影響を受けたプランは高額プランであったことを考慮すると単純に比較はできません。実際、総額を考慮すると、今回のお詫び金の総額は2013年のお詫び金の総額の約7倍です。
一人ひとりの額は小さいように見えても、総額を考えるとKDDIの対応が決していいかげんなものではないことがわかります。また、後述するように、最近2021年10月にドコモで30時間近くの通信障害が起こった際には特にお詫び金のようなものはなかったことにも留意が必要です。
au・UQモバイル・povoの通信障害を受けて、ユーザーは今後どうするべきか?
au・UQモバイル・povoの通信障害を受けて、今後ユーザーやこれらのスマホプランに乗り換えを検討している人はどうすればよいのでしょうか?au・UQモバイル・povoから乗り換えを検討したり、契約するか迷っている人もいるようですが、何がベストな選択なのでしょうか?
セレクトラのアドバイスは次の通りです。
- 今回の通信障害のみを理由に、au・UQモバイル・povoの解約を考えたり、他のキャリアや格安SIMを契約するというのは、おすすめしない
- 通信障害はどこのキャリアでも起こる可能性があるため、au・UQモバイル・povoのSIMカードと他の格安プラン・格安SIMとの併用により、通信障害に備えることがおすすめ
以下では、なぜこのようなアドバイスになるのかを説明します。
ドコモやソフトバンク、楽天モバイルでも通信障害は起こりうる
まず留意すべきなのは、今回のような通信障害はKDDI以外のキャリアでも起こりうるということです。このため、au・UQモバイル・povoから他の会社に乗り換えれば、通信障害には合わないということにはなりません。
実際、実は数か月前にはドコモでも通信障害が発生しています。
ドコモの通信障害が発生したのは、KDDIの通信障害の7か月ほど前にあたる2021年10月14日(木曜日)午後5時ごろから翌日15日(金曜日)の午後10時ごろまでです。KDDIの通信障害が61時間程度であったのに対して、ドコモの通信障害は29時間程度で約半分の時間ですが、平日であることもあり、影響の大きさは小さいとは言えません。
ドコモの通信障害の原因は、KDDIと類似しており、あるサーバーの切り替えにより輻輳が生じてしまったことによります。
このような設備の切り替えによるエラーの可能性は、完全に取り除くことはできません。このため、au・UQモバイル・povoから、ドコモ・ソフトバンク・楽天モバイルに乗り換えれば安心というわけにはいかないのです。
7月の通信障害のみをもってau・UQモバイル・povoを避けるのはもったいない
7月の通信障害のみをもって、au・UQモバイル・povoを避けるのはもったいないといえます。特に、UQモバイルとpovo 2.0は現在スマホ・格安SIMのプランで最もよいプランの部類に入ります。今回通信障害は起こってしまいましたが、これら2つは通信速度や品質はauと同等なのに、料金は格安でサービスも充実している、オススメの格安SIMです。

最大1万3千円相当
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ギガ活実施中
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KDDIが通信障害を重く受け止め、対策措置を早急に実行していることもあるので、7月の通信障害を理由に、解約を行ったり、他の会社を選ぶのは、必ずしも良い選択ではないでしょう。こうした例外的なトラブルのことは念頭に置きつつも、料金プランを吟味して選ぶことが重要です。
利用者ができること:デュアルSIMやサブの端末を利用して、通信障害が起きた時に備える
以上のことを踏まえると、通信障害はどこのキャリアでも起こりうるものだという認識をもつ必要があり、今回の通信障害をもって、UQモバイルやpovo 2.0が優れた料金プランであることを忘れるのはもったいないといえます。
それではどうすればよいかが問題になりますが、通信障害に備えてユーザーが自発的できることとしては、デュアルSIM端末やサブの端末を利用して、複数のキャリアと契約を行っておき、まさかの自体に備えるということしかありません。
たとえば、UQモバイルとHISモバイル(ドコモ回線)を組み合わせれば、990円+290円で月額基本料金1,280円から使うことができます。年間でも3,480円で運用することができるので、まさかの事態を考えると悪い対策方法ではないでしょう。

最大1万3千円相当
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最大約8千円還元
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参考情報
本記事の執筆にあたっては次の資料を参考にしています。
- docomo、「通信障害の対応状況に関する説明会(2021年11月10日)」
- docomo business、「意外と知らない?ITトレンド用語 輻輳(ふくそう)とは」
- KDDI株式会社、「7月2日に発生した通信障害について」
- KDDI株式会社、「一連のLTE通信障害の原因と対策について」
- KDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋 誠、「7月2日に発生した通信障害について」
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