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- 契約電力は30分ごとの平均使用電力(デマンド値)の最大値で決まる実量制
- 対象は当月と過去11ヶ月。一度ピークを作ると12ヶ月間ずっと基本料金に効き続ける
- 基本料金は契約電力に比例するため、電気を使わない月でも同じ額が請求される
- ピークを平準化すれば、電力会社を変えなくても基本料金を下げられる
契約電力(デマンド)とは?
契約電力とは、電力会社と契約している電力の上限値(kW)のことです。高圧電力の基本料金は「基本料金単価 × 契約電力 ×(1.85 − 力率)」で計算されるため、契約電力が大きいほど基本料金も大きくなります。
ここで重要なのは、高圧電力の契約電力は申込時に自分で選ぶ数値ではないという点です。一般家庭の契約アンペアのように「30Aにする」と決められるものではなく、実際にどれだけ電気を使ったかという実績から自動的に決まります。この方式を実量制(最大需要電力方式)と呼びます。
30分デマンド値とは
実量制の基準になるのがデマンド値です。デマンド値とは、30分間に使った電力量を平均して、1時間あたりの電力(kW)に換算した値です。
電力会社のメーターは0時00分から30分ごとに区切って、1日48回のデマンド値を記録しています。そのうちその月で最も大きかった値がその月の「最大需要電力」になります。
過去11ヶ月がさかのぼって対象になる
契約電力は、その月の最大需要電力だけでは決まりません。当月と、それ以前の11ヶ月における最大需要電力を並べ、そのなかで最も大きい値が契約電力になります。
つまり1年のうちたった30分でも突出した使い方をすると、その値がその後12ヶ月間の基本料金を決めてしまうということです。真夏に空調をすべて同時に立ち上げた1回のピークが、涼しくなってからの基本料金にもそのまま反映され続けます。
契約電力の決まり方(イメージ)
| 月 | その月の最大需要電力 | 適用される契約電力 |
|---|---|---|
| 8月 | 180kW(空調の同時立ち上げでピーク) | 180kW |
| 9月 | 150kW | 180kW(8月の値が残る) |
| 12月 | 110kW | 180kW(8月の値が残る) |
| 翌年3月 | 120kW | 180kW(8月の値が残る) |
| 翌年8月 | 140kW | 140kW(前年8月の値が外れる) |
この例では、8月の1回のピークによって翌年7月までの12ヶ月間、実際の使用実績より重い基本料金を払い続けることになります。逆に言えば、ピークを一度下げれば削減効果も12ヶ月続くということです。
500kW以上は「協議」で決まる
実量制が適用されるのは、原則として契約電力500kW未満の高圧需要家です。
契約電力が500kW以上になると、実量制ではなく電力会社との協議によって契約電力を決める方式に切り替わります。設備の内容や想定される使用計画をもとに、双方で合意した値が契約電力になります。この規模になると料金の条件そのものも個別性が強くなるため、契約電力の設定と単価の交渉はセットで検討することになります。
契約電力(デマンド)を下げる方法
デマンドを下げる取り組みは、電力会社を変えなくても実行できて、効果が基本料金として毎月続くのが利点です。単価の交渉とは別軸の対策として先に着手する価値があります。
①まずピークの時間帯を特定する
対策の出発点は「いつピークが出ているか」を知ることです。電力会社のWeb明細サービスでは、30分ごとの使用電力データを確認できる場合があります。まずは直近1年の最大デマンドがいつ発生したかを調べましょう。
多くの施設では、夏季の朝、空調をまとめて立ち上げる時間帯にピークが出ます。始業前に全館の空調を一斉にオンにする運用は、デマンド値を押し上げる典型的なパターンです。
②機器の立ち上げ時間をずらす
デマンド値は30分間の平均なので、大きな機器の起動時間をずらすだけで平均値を抑えられます。設備投資を伴わない対策として最初に検討したい方法です。
- 空調をフロアごと・系統ごとに時間差で立ち上げる
- 始業前の一斉起動をやめ、必要な区画から順に動かす
- 生産設備や大型機器の稼働開始を空調のピークと重ねない
- 電気温水器や充電設備を夜間などピーク帯以外に動かす
③デマンド監視装置を導入する
デマンド監視装置(デマンドコントローラー)は、30分の計測時間内に電力の使用ペースが目標値を超えそうになると警報を出す装置です。そのままだとピークを更新してしまう場面で、事前に気づけるのが導入の意味です。
警報に連動して空調の一部を自動で制御する仕組みもあります。人の判断に依存せずにピークを抑えられるため、運用が定着しやすくなります。
④削減効果を試算して優先順位を決める
デマンドを下げるとどれだけ基本料金が減るのかは、契約電力と基本料金単価の掛け算で概算できます。
・力率:90%
・基本料金単価:1,800円/kW(試算用に仮定した金額)
※高圧電力の基本料金単価は電力会社や契約条件によって個別に決まります。ここでの1,800円/kWは計算方法を示すための仮の数値であり、実際に適用される単価ではありません。
基本料金は「基本料金単価 × 契約電力 ×(1.85 − 力率)」で計算します。
契約電力を30kW下げた場合の基本料金(試算)
| 契約電力 | 月間の基本料金 | 年間の基本料金 |
|---|---|---|
| 180kW | 1,800円 × 180kW × 0.95 = 307,800円 | 3,693,600円 |
| 150kW | 1,800円 × 150kW × 0.95 = 256,500円 | 3,078,000円 |
| 差額 | −51,300円 | −615,600円 |
単価が仮の数値であっても、契約電力の削減幅がそのまま基本料金の削減率になるという関係は変わりません。30kW(約17%)下げれば基本料金も約17%下がります。自社の請求書に記載された基本料金と契約電力から、同じ計算で概算できます。
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デマンド対策と単価の見直しは「別軸」の対策
ここまで見てきたデマンド対策は、基本料金の「量」を減らす取り組みです。一方で電気代にはもうひとつ、単価そのものという軸があります。
契約電力を下げても、1kWあたりの基本料金単価や1kWhあたりの電力量料金単価は変わりません。単価を下げるには電力会社の見直しが必要です。そして高圧電力の単価は公表されている標準料金がそのまま適用されるわけではなく、契約電力の規模や使用パターンをもとに個別に提示されます。
つまりデマンド対策で契約電力が下がると、提示される単価の前提条件そのものも変わります。両方をあわせて見直すのが効果的です。単価の考え方については高圧電力の基礎解説で詳しく触れています。
もうひとつ基本料金に直接効く要素として力率があります。計算式の「(1.85 − 力率)」の部分で、こちらも自社で改善できます。
契約電力・デマンドに関するよくある質問
高圧電力では実量制が採用されており、30分ごとの平均使用電力(デマンド値)のうち、当月と過去11ヶ月で最も大きかった値が契約電力になります。申込時に自分で選ぶ数値ではありません。ただし契約電力500kW以上の場合は、実量制ではなく電力会社との協議で決まります。
30分間に使った電力量を1時間あたりの電力(kW)に換算した平均値です。電力会社のメーターは30分ごとに区切って1日48回のデマンド値を記録しており、その月の最大値が最大需要電力になります。瞬間的な電流値ではなく30分の平均なので、機器の起動時間をずらすだけでも抑えられます。
そのピークが発生した月から12ヶ月間です。契約電力は当月と過去11ヶ月の最大値で決まるため、13ヶ月目になって初めてその値が対象から外れます。夏季の1回のピークが翌年の同じ月まで基本料金を押し上げ続けることになります。
かかります。基本料金は契約電力に比例して決まるため、使用量が少ない月でも同額が請求されます。だからこそ契約電力そのものを下げる対策が、年間を通じた削減につながります。
ピークの発生が特定の時間帯に集中していて、人の運用だけでは抑えきれない場合には有効です。30分の計測時間内に目標値を超えそうになると警報を出すため、ピークを更新する前に対処できます。まずは機器の立ち上げ時間をずらすといった設備投資のいらない対策を試し、それでも抑えきれない場合に検討するとよいでしょう。
単価は変わりません。契約電力の削減は基本料金の「量」を減らす対策です。1kWあたりの基本料金単価や1kWhあたりの電力量料金単価を下げるには、電力会社の見直しが必要になります。ただし契約電力が変われば見積もりの前提条件も変わるため、両方をあわせて検討するのが効果的です。