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- 電気代の勘定科目は基本的に「水道光熱費」(販売費及び一般管理費)
- 製造業で製造に直接使う電力は、製造原価の「電力費」「動力費」として扱う場合がある
- 自宅兼事務所の場合は家事按分で事業使用分だけを計上する
- 電気代は消費税の課税仕入れ(標準税率10%)に該当する
電気代の勘定科目は「水道光熱費」
事業所や店舗で使った電気代は、「水道光熱費」という勘定科目で処理するのが一般的です。損益計算書上は販売費及び一般管理費に含まれます。
水道光熱費は名前のとおり、電気・ガス・水道をまとめて扱う科目です。灯油や重油といった燃料費も含めることがあります。
水道光熱費に含まれるもの
| 電気料金 | 基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金を含む請求額全体 |
|---|---|
| ガス料金 | 都市ガス・プロパンガスの使用料 |
| 水道料金 | 上下水道の使用料 |
| その他 | 灯油・重油などの燃料費(事業内容により燃料費として別建てにすることもある) |
電気代の請求額には燃料費調整額や再エネ賦課金も含まれますが、これらを分けて記帳する必要はありません。請求額の総額を水道光熱費として計上します。
いったん決めた科目は継続して使う
会計処理では継続性が重視されます。電気代を水道光熱費で処理すると決めたなら、期をまたいでも同じ科目を使い続けてください。年度によって科目を変えると、前年との比較ができなくなります。
逆に言えば、自社の管理上わかりやすい区分であれば必ずしも水道光熱費に限られません。たとえば電気代の管理を重視して「電気料金」という補助科目を設ける処理も考えられます。重要なのは一貫して同じ扱いをすることです。
製造業では製造原価に入れることがある
製造業では、製品の製造に直接使った電力を製造原価に含めることがあります。この場合の科目名は「電力費」「動力費」などです。
工場の生産設備を動かす電力は製品を作るためのコストなので、販売費及び一般管理費ではなく製造原価として扱うほうが、製品ごとの原価が正確になります。一方で本社事務所や営業所の電気代は、同じ会社でも水道光熱費として処理します。
工場と事務所が同じメーターの場合は按分が必要になります。製造原価に入れるかどうかは原価計算の方針に関わるため、税理士に相談して決めるのが確実です。
電気代の仕訳例
電気代の仕訳は、支払いのタイミングと計上のタイミングによって変わります。
口座振替で支払った場合
もっとも単純なパターンです。引き落とし日に費用として計上します。
電気代30,000円が普通預金から引き落とされた場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
期末に未払分を計上する場合
会計は発生主義が原則です。決算期末の時点で「電気は使ったが支払いは翌期」という分があれば、その期の費用として計上します。
使用した月と支払月がずれるため、期末をまたぐ電気代は未払費用(または未払金)として処理します。
期末時点で未払いの電気代30,000円を計上する場合
| ①期末(当期の費用として計上) | |||
|---|---|---|---|
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 水道光熱費 | 30,000円 | 未払費用 | 30,000円 |
| ②翌期(実際に支払ったとき) | |||
| 未払費用 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
なお、金額が毎月ほぼ一定で重要性が乏しい場合には、継続適用を前提に支払時点で計上する処理(現金主義に近い簡便法)が認められることもあります。どちらの方法を採るかは税理士に確認してください。
消費税の扱い
電気代は消費税の課税仕入れに該当し、標準税率10%が適用されます。軽減税率の対象ではありません。
課税事業者であれば仕入税額控除の対象になります。インボイス制度のもとで仕入税額控除を受けるには、電力会社から交付される適格請求書(インボイス)の保存が必要です。多くの電力会社はWeb明細を適格請求書として提供しているため、記載事項と保存方法を確認しておきましょう。
自宅兼事務所の家事按分
自宅の一部を事務所や店舗として使っている個人事業主の場合、電気代の全額を経費にすることはできません。事業で使った分と私生活で使った分を合理的な基準で分ける必要があります。これを家事按分といいます。
按分の基準
按分の基準には決まった正解がありません。事業の実態を説明できる合理的な根拠があることが重要です。よく使われるのは次の基準です。
家事按分でよく使われる基準
| 基準 | 考え方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 床面積 | 事業に使う部屋の面積 ÷ 住居全体の面積 | 専用の作業部屋がある |
| 使用時間 | 事業に使う時間 ÷ 24時間、または稼働日数で調整 | 時間帯を区切って作業場所を兼用している |
| 組み合わせ | 床面積割合 × 事業に使う時間の割合 | 部屋を兼用し、かつ使用時間も限定的 |
どの基準を選ぶ場合でも、算定の根拠を記録して残しておくことが大切です。図面や作業時間の記録があれば、按分割合の説明がしやすくなります。
按分の仕訳例
事業使用割合を30%とし、電気代20,000円を支払った場合の仕訳です。私生活分は事業主貸(個人事業主の場合)で処理します。
電気代20,000円・事業割合30%の場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 6,000円 | 普通預金 | 20,000円 |
| 事業主貸 | 14,000円 | — | — |
いったん全額を水道光熱費で計上し、期末にまとめて私生活分を振り替える方法もあります。いずれの方法でも、按分割合は年度を通じて一貫させてください。
経費処理より前に、金額そのものを見直す
電気代は経費として処理できますが、経費になるからといって金額が戻ってくるわけではありません。課税所得を減らす効果があるだけで、支出そのものは残ります。
とくに店舗や事務所では、電気代は固定費のなかで比重が大きい項目です。経費処理の方法を整えるのと同時に、請求額そのものを下げられないか確認する価値があります。
契約電力50kW未満の店舗や事務所であれば、動力プラン(低圧電力)の見直しや、店舗向け電気料金プランの比較が出発点になります。
契約電力50kW以上の高圧電力の場合は、単価が電力会社との個別交渉で決まるため、公表されている料金表を見比べても実際の金額はわかりません。複数社から見積もりを取って比べる必要があります。
電気代の経費処理に関するよくある質問
基本的に「水道光熱費」です。損益計算書では販売費及び一般管理費に含まれます。電気・ガス・水道をまとめて扱う科目で、電気料金については基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金を分けず、請求額の総額を計上します。
製品の製造に直接使う電力は、製造原価の「電力費」「動力費」として扱うことがあります。一方で本社事務所や営業所の電気代は同じ会社でも水道光熱費です。工場と事務所が同じメーターの場合は按分が必要になります。原価計算の方針に関わるため税理士に相談してください。
できません。事業で使った分と私生活で使った分を合理的な基準で分ける「家事按分」が必要です。床面積の割合、事業に使う時間の割合、またはその組み合わせが基準としてよく使われます。算定の根拠を記録して残しておくことが大切です。
一律の上限はありません。重要なのは割合の数字そのものではなく、その割合を導いた根拠が事業の実態を説明できるかどうかです。図面や作業時間の記録などで裏づけられる範囲で設定し、年度を通じて一貫して適用してください。
発生主義が原則なので、期末時点で使用済み・未払いの分はその期の費用として未払費用(または未払金)で計上します。翌期に支払ったときに未払費用を取り崩します。金額が毎月ほぼ一定で重要性が乏しい場合は、継続適用を前提に支払時点で計上する簡便な処理が認められることもあります。
いいえ。電気代は標準税率10%の課税仕入れです。軽減税率の対象ではありません。課税事業者が仕入税額控除を受けるには、電力会社から交付される適格請求書(インボイス)の保存が必要です。