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スーパーエルニーニョとは?
そもそも「エルニーニョ現象」とは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温が平年より高くなる現象です。
海面水温が変化すると、海上の大気の状態や風の流れなども変化します。その結果、日本を含む世界各地の気温や降水量などに影響を与えることがあります。
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差を5か月移動平均し、その値が6か月以上にわたって+0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象と定義しています。
「スーパーエルニーニョ」は正式な気象用語?
「スーパーエルニーニョ」という言葉を聞くと、正式な気象現象の名前のように思うかもしれません。
しかし、「スーパーエルニーニョ」は気象庁が定めた正式な現象名ではありません。
非常に強いエルニーニョ現象を指して、報道などで使われている表現です。
今回のエルニーニョについては、気象庁が「スーパーエルニーニョ」と呼ばれるような顕著な高温になると予測しています。
2026年のエルニーニョはどれほど強い?
今回のエルニーニョが注目されている最大の理由は、その強さです。
気象庁によると、2026年8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は、基準値より3.4℃高い状態でした。
これは8月としては1949年以降で最も高い値です。
さらに、過去を含めて最も高かったのは1997年12月の+3.6℃で、2026年の冬の最盛期は、この記録に匹敵する見込みです。
エルニーニョ監視海域の海面水温(基準値との差)
| 時期 | 基準値との差 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2026年8月(実況) | +3.4℃ | 8月としては1949年以降で最も高い値 |
| 1997年12月 | +3.6℃ | 過去を含めて最も高かった値 |
| 2026年冬の最盛期(予測) | +3.6℃に匹敵する見込み | 気象庁「エルニーニョ監視速報」2026年9月9日発表 |
気象庁は、太平洋赤道域の海面水温が冬にかけて基準値より高い値で推移して最盛期を迎え、基準値との差が1997年12月の+3.6℃に匹敵すると予測しています。
つまり、1997年に並ぶ規模のエルニーニョになる可能性があるということです。
また、気象庁は2026年春からエルニーニョ現象が続いているとみており、冬にかけて続く見込みを「100%」としています。
海外でも今回のエルニーニョの強さは注目されています。
CNNは9月14日、今回のエルニーニョが「スーパー」と呼ばれる水準に達し、米海洋大気庁(NOAA)の指数でも非常に強いレベルに達していると報じています。CNNによると、NOAAの指数では直近の値が平年を2.0℃上回り、最高ランクの「非常に強い」レベルとなっています。
スーパーエルニーニョで日本の天気はどうなる?
では、スーパーエルニーニョが発生すると、日本の天候はどうなるのでしょうか。
「エルニーニョ=日本は暖冬」と考える人もいるかもしれません。
実際、エルニーニョ現象が発生すると、日本では冬の気温が平年より高くなる傾向があります。
ただし、エルニーニョが発生したからといって、必ず暖冬になるわけではありません。
エルニーニョ現象は、日本を含む世界の大気の流れに影響を与えますが、日本の天候はエルニーニョ以外のさまざまな要因にも左右されます。
そのため、「スーパーエルニーニョだから今年の冬は必ず暖冬になる」と断定することはできません。
2026年については、今後の季節予報とあわせて判断する必要があります。
暖冬になったら電気代・ガス代は安くなる?
スーパーエルニーニョによって日本の冬が暖冬傾向になった場合、家庭の光熱費にはどのような影響があるのでしょうか。
結論からいうと、暖冬になれば、暖房に使う電気やガスの使用量が減り、光熱費が安くなる可能性があります。
冬の家庭では、エアコンや電気ストーブなどの暖房器具を使うほか、都市ガスを利用している家庭ではガスファンヒーターなどを使うことがあります。
気温が高ければ暖房を使う時間が短くなったり、設定温度を低くしたりできるため、電気やガスの使用量が減る可能性があります。
特に、冬の電気使用量が多い家庭では、気温の変化が電気代に与える影響も大きくなります。
ただし、ここで注意したいのが、「使用量が減る=必ず電気代・ガス代が安くなる」わけではないという点です。
電気代は気温だけで決まらない
電気料金は、家庭で使った電力量だけで決まるわけではありません。
一般的な電気料金は、基本料金、電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金などから構成されます。
さらに、多くの電気料金プランでは、燃料価格の変動を料金に反映する「燃料費調整制度」が採用されています。燃料費調整制度では、原油・LNG・石炭などの燃料価格や為替の変動が電気料金に反映されます。
そのため、
暖冬 → 電気使用量が減る → 電気代が必ず下がる
とは限りません。
たとえば、暖冬によって暖房の使用量が減ったとしても、燃料価格や為替などの影響で電気料金単価が上昇すれば、請求額が思ったほど下がらない可能性があります。
逆に、電気の使用量がそれほど減らなくても、燃料価格が下落すれば燃料費調整によって電気料金が下がる場合もあります。
ガス代も「暖冬だから安い」とは限らない
都市ガスについても同じことがいえます。
暖冬になれば、ガスファンヒーターなど暖房用のガス使用量が減る可能性があります。
一方で、ガス料金には原料価格の変動が影響します。
都市ガスの原料となるLNGなどの価格が変動した場合、その変化を料金に反映する「原料費調整制度」があります。
つまり、ガスについても、
暖冬 → ガス使用量が減る → ガス代が必ず安くなる
とは言えません。
冬の光熱費を考える場合は、気温だけでなく、エネルギー価格や料金プランにも注目する必要があります。
スーパーエルニーニョで電気代が上がる可能性もある?
ここまで読むと、「暖冬なら光熱費が安くなるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、スーパーエルニーニョが電気代を直接下げたり、逆に上げたりするわけではありません。
エルニーニョ現象によって日本の気温がどうなるかに加え、電力需要、発電に使われる燃料価格、為替、電力市場など、さまざまな要因が関係します。
特に日本は、発電に使用する燃料の多くを海外から輸入しています。
そのため、海外の燃料価格や為替の変動は、日本の電気料金にも影響します。資源エネルギー庁も、日本の電気料金について、火力発電の割合が高く、燃料の大部分を海外からの輸入に依存していることを供給面の課題として挙げています。
スーパーエルニーニョそのものよりも、「エルニーニョによって日本の気温がどう変化するのか」→「家庭のエネルギー使用量がどう変わるのか」という順番で考えることが重要です。
上がるのは光熱費だけ?食料品など物価への影響
エルニーニョ現象の影響は、電気代やガス代だけにとどまりません。
世界各地の天候が変われば、農作物の出来にも影響します。エルニーニョ現象のときに供給不安が指摘されやすいのが、コメ、小麦、パーム油、果物、野菜などです。
日本総研は2026年5月のレポートで、海面水温が平常時から+2℃上昇する場合、食料価格の前年比は+13%ポイント押し上げられると試算しています。
ここで押さえておきたいのが、影響が出るまでの時間差です。
同じレポートによると、エルニーニョ監視指数は約1年半のラグをもって食料価格指数と連動する傾向があります。
つまり、スーパーエルニーニョのニュースを見た冬にすぐ食品が値上がりするわけではなく、影響が出るのは1年以上あとになりやすいということです。
ゴールドマン・サックスも、世界の食料一次産品の価格が15.8%上昇し、その影響が完全に表れるのは2028年後半になるとの見方を示しています。
そして日本は、食料の多くを海外からの輸入に頼っています。
農林水産省が2026年8月7日に公表した令和7年度の食料自給率は、カロリーベースで37%でした。
海外の作柄が悪化すれば、輸入価格の上昇が為替の動きと重なって店頭価格に反映される可能性があります。
ただし、電気代と同じで、物価もエルニーニョだけで決まるわけではありません。
為替や原油価格、人件費、各国の輸出規制など、複数の要因が重なって初めて店頭の値札が動きます。
「スーパーエルニーニョだから食品も値上がりする」と身構えるよりも、影響には時間差があること、そして他の要因も同時に効いていることを覚えておくとよいでしょう。
スーパーエルニーニョに備えて、冬の電気代を節約するには?
今後、暖冬になるのか、それとも寒波がやってくるのかはまだ確定していません。
ただし、冬の光熱費を抑えるために、今からできることはあります。
暖房の使い方を見直す
暖房費を抑える基本は、必要以上に暖房を使わないことです。
エアコンの場合は、設定温度を見直したり、フィルターを掃除したりするだけでも節電につながります。
また、窓から熱が逃げるのを防ぐため、厚手のカーテンや断熱シートなどを活用する方法もあります。
電気・ガスの料金プランを確認する
光熱費を抑えたい場合、使用量だけでなく、契約している電気・ガス料金プランを確認することも重要です。
同じ量の電気やガスを使っていても、料金プランによって支払額が異なる場合があります。
特に冬は暖房によって電気使用量が増える家庭も多いため、現在の料金プランが自分の使い方に合っているか確認してみるとよいでしょう。
まとめ:スーパーエルニーニョで光熱費はどうなる?
2026年のエルニーニョ現象は、記録的な強さになる可能性があります。
気象庁によると、2026年8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より3.4℃高く、8月としては1949年以降で過去最高でした。
さらに、冬の最盛期には、1997年12月に記録した+3.6℃に匹敵する見込みです。
一方で、スーパーエルニーニョだからといって、日本が必ず暖冬になるとは限りません。
仮に暖冬になれば、暖房に使う電気やガスの使用量が減り、冬の光熱費が安くなる可能性があります。
ただし、電気代やガス代は気温だけでなく、燃料・原料価格や為替、料金プランなどにも左右されます。
「スーパーエルニーニョ=電気代が安くなる」と単純に考えるのではなく、今後の日本の気温とエネルギー価格の両方をチェックすることが重要です。
この冬の光熱費がどうなるのか、今後発表される気象庁の季節予報や電気・ガス料金の動向にも注目しておきましょう。
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参考サイト一覧 :
- 気象庁|エルニーニョ監視速報(No.408、2026年9月9日発表。8月の基準値との差+3.4℃、8月として1949年以降で最高、冬にかけて続く見込み100%、最盛期は1997年12月の+3.6℃に匹敵する見込み)
- 気象庁|エルニーニョ監視速報 本文PDF(エルニーニョ現象の定義、5か月移動平均値が6か月以上+0.5℃以上、図11の海面水温予測)
- CNN|El Niño just leveled up to super status(2026年9月14日、NOAAの指数が平年比2.0℃に達し「非常に強い」区分へ)
- 資源エネルギー庁|日本が抱えているエネルギー問題(火力発電の割合と、燃料の海外輸入依存)
- 日本総研|エルニーニョ現象でインフレ圧力がさらに強まるアジア経済(2026年5月20日。+2℃で食料価格の前年比+13%ポイント、監視指数は約1年半のラグで食料価格指数と連動)
- ニューズウィーク日本版|「食料価格2倍」の警告、スーパーエルニーニョは日本にも影響するか(2026年7月15日。ゴールドマン・サックスの試算15.8%、影響が完全に表れるのは2028年後半、コメ・小麦・パーム油・果物・野菜)
- 農林水産省|令和7年度食料自給率を公表します(2026年8月7日公表。カロリーベース37%、生産額ベース66%)