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結論から言うと、スポットクーラー・移動式エアコンは、同程度の広さを冷やす壁掛けエアコンより電気代が高くなりやすい傾向があります。本記事では、実際の製品データをもとにその差を数値で確認し、電気代を抑えて使うコツを紹介します。

スポットクーラー・据え置きエアコン・移動式エアコンの違いとは

まずは、混同されやすい名称の関係を整理します。

①据え置きエアコンは総称として使われることが多い

「据え置きエアコン」は床に置いて使うエアコン全般を指す呼び方として使われることが多く、明確な製品規格ではありません。一般的には、スポットクーラーや移動式エアコン(ポータブルエアコン)など、室外機を持たない一体型の冷房機器を指して使われます。

②スポットクーラーと移動式エアコンの違い

「据え置きエアコン」という総称の中でも、実際によく比較されるのが「スポットクーラー」と「移動式エアコン」です。傾向の違いを整理すると、以下のようになります。

スポットクーラーと移動式エアコンの傾向の違い

比較項目 スポットクーラー 移動式エアコン
呼称の由来 業務用途由来の呼称 家庭向けの呼称
使われる場面 工場・倉庫でも使われる 住宅向けに販売されることが多い
モデルの傾向 高出力モデルも多い 家庭向けサイズが中心
現在の傾向 家庭用にも使われる スポットクーラーとほぼ同じ製品も多い

現在では家庭用製品にも「スポットクーラー」という名称が使われることが増えており、両者に明確な境界はありません。購入時は名称よりも、冷房能力や消費電力、排熱ダクトの仕様などを確認することが重要です。

なお、送風だけで涼感を得る「冷風扇」は冷媒を使わず気化熱を利用する仕組みで、冷媒を使って冷房するスポットクーラー・移動式エアコンとは仕組みが異なります。見た目が似ている製品もあるため、購入時は仕様欄で冷房機能の有無もあわせて確認しましょう。

③電気代を比較するなら「壁掛けエアコン」との違いがポイント

一方、一般的な壁掛けタイプのエアコン(ルームエアコン)は、室内機と室外機がセットになっており、熱交換で発生した熱を室外機側で屋外に放出します。室内の空気を排熱に使う必要がないため冷房効率に優れますが、設置には工事が必要で、設置場所は固定されます。電気代を比較するなら、壁掛けエアコンとの違いを知ることが重要です。室外機の有無が、消費電力や冷房効率の差に直結するためです。

電気代を徹底比較|スポットクーラー・移動式エアコン vs 壁掛けエアコン

実際に販売されている製品の消費電力をもとに、電力量料金単価31 円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)で電気代を試算すると、以下のようになります。

スポットクーラー・移動式エアコンと壁掛けエアコンの電気代比較(31円/kWhで試算)

種類(代表機種) 冷房能力 消費電力 1時間あたり 1ヶ月(8時間×30日) 夏の使用期間(8時間×120日の目安)
壁掛けエアコン(ルームエアコン、6畳用) 2.2 kW 425 W 約11.47 円 約2,750 円 約11,010 円
移動式エアコン 2.0〜2.2 kW 490〜600 W 約16.20 円 約3,890 円 約15,550 円
スポットクーラー(低出力機) 2.0〜2.3 kW 670 W 約20.77 円 約4,980 円 約19,940 円
スポットクーラー(高出力機) 1.9〜2.2 kW 980 W(50Hz時) 約30.38 円 約7,290 円 約29,160 円

※消費電力・冷房能力は各メーカー公表値(壁掛けエアコン:ダイキン「S22YTRXS」/移動式エアコン:アイリスオーヤマ「IPP-2221G」/スポットクーラー:アイリスオーヤマ「IPA-2324S」・山善「YEC-K222」〈現行品番YEC-K223〉)をもとに、電力量料金の目安単価31 円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会)で試算した参考値です。据え置き型エアコンも移動式エアコン・スポットクーラーと同じカテゴリの製品のため、消費電力・電気代は同程度の範囲になります。1ヶ月欄は1時間あたり単価×240時間、夏の使用期間欄は同×960時間で算出した目安で、実際の電気代は使用時間や外気温、契約プランによって変動します。

表のとおり、冷房能力はどの製品も2.0kW前後とほぼ同じですが、消費電力には明確な差があります。壁掛けエアコンが最も電気代を抑えやすく、消費電力ベースで比較すると移動式エアコンは約1.2倍、スポットクーラーは機種によって約1.6〜2.3倍程度になる可能性があります。特に高出力タイプのスポットクーラーを長時間使うと、夏のワンシーズンだけで1万円以上の差が出ることもあります。

なぜスポットクーラー・移動式エアコンは電気代が高くなりやすいのか

同じくらいの冷房能力を持つ機種同士で比べても、室外機を持たないタイプの方が電気代がかさみやすい理由は、主に構造の違いにあります。

  • 室外機がなく熱交換効率が低い:室外機を持つ壁掛けエアコンは、屋外の広いスペースで効率よく熱交換できますが、室外機のないタイプは本体内の限られたスペースで熱交換を行うため、同じ冷房能力でもより多くの電力を必要とします。
  • 室内の空気を取り込み、排熱ダクトから屋外へ排出する構造:室外機がないため、本体内で発生した熱は、室内の空気を取り込んで排熱ダクトから屋外へ排出します。この際、部屋の中の空気を一緒に排出してしまう分、外の暖かい空気を吸い込んでしまい、冷房効率が下がります。
  • 部屋の気密性が保たれにくい:排熱ダクトを通す窓パネルにすき間ができやすく、そこから熱気が入り込むと、余計に電力を使って室温を下げようとします。
  • 出力を絞りにくい機種が多い:壁掛けエアコンの多くはインバーター制御で室温が下がると出力を自動で絞りますが、スポットクーラー・移動式エアコンには単純なオン・オフ制御の機種もあり、稼働中の消費電力があまり下がらない場合があります。

つまり、同じ「涼しさ」を得るためにより多くの電力を必要とする構造であることが、電気代の差につながっています。

電気代を抑えて使うコツ

構造上の効率の差は変えられませんが、使い方を工夫すれば電気代を抑えられます。

すでに壁掛けエアコンをお使いの場合は、フィルター掃除や遮光対策も電気代の節約に効果的です。詳しくはエアコンの電気代の計算方法・節約術まとめもあわせてご覧ください。

電力会社の切替でさらに電気代を節約

使い方の工夫で節電をしても、電気代の単価そのものが高ければ効果は限定的です。使用量を減らせるだけ減らしたら、次は電力会社やプランの見直しも検討しましょう。

セレクトラの調査結果によれば、一人暮らしでも電力会社を切り替えるだけで月に300 円程度、電気の使用量が多い家庭なら1,000 円以上の節約が期待できます。特に夏場はエアコンやスポットクーラーの使用量が増えるため、切替の効果を実感しやすい時期です。

よくある質問(FAQ)

機種によって差がありますが、消費電力670Wの機種で約20.77 円、980W(50Hz時)の機種で約30.38 円が目安です(単価31 円/kWhで試算)。同程度の冷房能力を持つ壁掛けエアコンの1時間あたり電気代(約11〜16 円程度)と比べると、高くなりやすい傾向があります。

この3つは、室外機を持たず本体だけで排熱ダクトから熱を排出する仕組みが共通しており、実質的にほぼ同じ製品カテゴリを指す言葉として使われています。呼び方が分かれているのは、メーカーや販売時期、想定用途による表記の違いによるものです。「スポットクーラー」はもともと工場や倉庫向けの業務用製品の呼び名でしたが、現在は家庭向け製品にも使われています。なお、冷媒を使わず送風だけで涼感を得る「冷風扇」はこれらとは仕組みが異なるため、購入時は冷房機能の有無を仕様欄で確認しましょう。

使用時間を在室中や就寝前後に絞ること、排気ダクトや窓パネルのすき間を塞いで外の熱気の侵入を防ぐこと、サーキュレーターを併用して冷気を部屋全体に行き渡らせることが有効です。設定温度を下げすぎず、必要な時間だけ使うことが電気代の節約につながります。

併用できます。リビングなど広い空間は室外機のある壁掛けエアコンで冷やし、テレワーク中の自室や子供部屋だけスポットクーラー・移動式エアコンで局所的に冷やすといった使い分けをすれば、部屋ごとに工事や追加のエアコン購入をせずに済み、無駄な電気代を抑えやすくなります。

まとめ

スポットクーラー・移動式エアコンは、呼び方こそ違ってもほぼ同じ「室外機なし・移動可能」な製品カテゴリであり、室外機を持つ壁掛けエアコンより電気代が高くなりやすいことが分かりました。使用時間を絞る、すき間対策をする、壁掛けエアコンと使い分けるといった工夫で電気代を抑えつつ、単価そのものを見直したい場合は電力会社の切替もあわせて検討してみましょう。