一部アフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
日本の電気代にも、当然ながら消費税がかかっています。ただ、「基本料金や電力量料金には課税されていても、再エネ賦課金や燃料費調整額のような“国が決めた上乗せ分”には税金がかかっていないのでは?」と考えている人も少なくないはずです。
この記事では、実際の電気料金請求書のデータを使いながら、①電気料金そのもの、②再エネ賦課金、③燃料費調整額のそれぞれに消費税がかかっているのかを一つずつ確認します。あわせて、日本で議論されている食品の軽減税率と同じように、もし電気代の消費税も10%から1%に引き下げられたとしたら、家計はいくら安くなるのかも試算します。
日本の消費税減税論議と、イギリスの電気代VATゼロ化
日本では現在、超党派の協議のなかで飲食料品の消費税を8%から1%へ引き下げる案が検討されています。2027年4月からの実施を想定したもので、税収減は年間およそ6,000億円にのぼり、その分は低所得世帯への現金給付で補う方向とされています。ただし与野党の意見集約は難航しており、政府の「骨太方針」には2026年8月上旬までに最終判断を下すと明記される見通しです。
ここで見落とされがちなのが、今回の減税案はあくまで「飲食料品」が対象で、電気・ガスといったエネルギー代は含まれていないという点です。電気代の消費税率は、この議論とは関係なく従来どおりの水準が維持されます。
一方、同じ2026年7月21日、イギリスでは就任したばかりのアンディ・バーナム新首相が、家庭用電気代にかかるVAT(付加価値税)を5%から0%に引き下げると発表しました。2026年10月1日から実施され、平均的な家庭で年間およそ45ポンド(1ポンド=180円換算で日本円にして約8,100円)の負担軽減になるとされています。財源はデジタルID制度の凍結(3年間で18億ポンド相当)でまかない、2026〜27年度の実施コストはおよそ8億5,000万ポンドと見積もられています。
日本:食品の消費税を8%→1%に引き下げる案を検討中(電気・ガスは対象外)
イギリス:電気代のVATを5%→0%に引き下げ(2026年10月〜)
つまり、イギリスは「エネルギー代そのもの」の税負担を直接軽くする決断をしたのに対し、日本の減税論議は今のところ食品に限定されています。では、日本の電気代には実際どれくらいの消費税がかかっていて、内訳のどの部分に課税されているのでしょうか。次の章から具体的に見ていきます。
そもそも電気代の消費税は何%?
日本の消費税には、標準税率10%と、飲食料品・新聞などに適用される軽減税率8%の2種類があります。電気・ガス・水道料金は軽減税率の対象ではなく、標準税率10%が適用されます。
そのため、たとえ食品の消費税が1%に引き下げられたとしても、電気代の消費税率がそれに連動して下がることはありません。電気代は今後も10%課税が続く前提で家計を見ておく必要があります。
実際の請求書で検証:消費税はどこにかかっている?
ここからは、実際の電気料金請求書(2026年3月分、東京エリア・30A契約、使用量199 kWh、新電力のグリーンオクトパスプラン)の内訳を使って、消費税がどの項目にかかっているのかを具体的に確認します。
料金内訳(2026/02/15〜2026/03/14・使用量199kWh)
| 項目 | 単価 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 基本料金(30A・28日分) | 29.10円/日 | 814.80 円 |
| 電力量料金1段階目(0〜120kWh) | 18.98円/kWh | 2,277.60 円 |
| 電力量料金2段階目(121〜199kWh) | 24.10円/kWh | 1,903.90 円 |
| 燃料費調整額 | 2.60円/kWh | 517.40 円 |
| 再エネ賦課金 | 3.98円/kWh | 792.00 円 |
| 電気料金合計(税抜) | 5,732 円 | |
| 消費税(10%) | 573 円 | |
| 電気料金合計(税込) | 6,305 円 |
※ 個人が特定される契約者名・住所・契約番号等は本記事では非掲載としています。
このように、請求書では基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金をすべて合計した「税抜合計」に対して、まとめて10%の消費税が加算されています。項目ごとに税率が分かれているわけではありません。この構造をふまえると、冒頭の3つの疑問への答えは次のとおりです。
① 電気料金(基本料金・電力量料金)に消費税はかかっているか → かかっている(10%)
② 再エネ賦課金に消費税はかかっているか → かかっている(10%)
③ 燃料費調整額に消費税はかかっているか → かかっている(10%)
基本料金や電力量料金に課税されるのは想像しやすいところですが、再エネ賦課金や燃料費調整額も例外なく課税対象に含まれている点は、意外と知られていません。
再エネ賦課金・燃料費調整額にも消費税がかかるのは「税に税がかかる」状態?
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの買い取り費用を電力利用者が広く負担するための「賦課金」であり、性質としては税金に近い上乗せ分です。それにもかかわらず、電気料金の一部として合算され、さらにそこへ10%の消費税が課される仕組みになっています。「賦課金という名の負担にまで税金がかかるのはおかしいのでは」という指摘が出てくるのも無理はありません。
同様に、燃料費調整額も原油・LNG・石炭といった輸入燃料価格の変動を反映するための調整分ですが、これも税抜合計に含まれたうえで消費税の課税対象になります。イギリスが今回VATを0%にしたのは「電気料金の総額」に対してであり、仮に同じ考え方を日本に当てはめるなら、基本料金だけでなく再エネ賦課金・燃料費調整額も含めた総額がまるごと非課税扱いになる、というイメージに近いといえます。
もし電気代の消費税が10%から1%になったら、いくら安くなる?
先ほどの請求書(税込6,305円)をもとに、日本で議論されている食品の軽減税率と同じ考え方で、電気代の消費税も10%から1%に引き下げられたと仮定して計算してみましょう。
税抜価格5,732円に対する消費税は、10%なら573円ですが、1%になると57円まで下がります。請求額は5,732円+57円=5,789円となり、この1か月分だけで516円安くなる計算です。199 kWhという使用量は1〜2人暮らし程度の目安なので、年間に換算するとおよそ6,000円前後の節約になります。
もちろん、電気代は世帯や季節によって金額が変わるため、月々の電気料金(税込)ごとに節約額を一覧にしました。消費税が10%から1%に下がった場合の節約額は「税込価格×0.082」で概算できます。
電気代の消費税が10%→1%になった場合の節約額(試算)
| 月々の電気代(税込・現行10%) | 節約額(1か月) | 節約額(年間) |
|---|---|---|
| 5,000 円 | 約409 円 | 約4,908 円 |
| 6,305 円(今回の請求書例) | 516 円 | 約6,192 円 |
| 10,000 円 | 約818 円 | 約9,818 円 |
| 15,000 円 | 約1,227 円 | 約14,727 円 |
| 20,000 円 | 約1,636 円 | 約19,636 円 |
※ 節約額=税込10%の価格から、同じ税抜価格に1%の消費税をかけ直した金額を差し引いた概算値。端数処理により、実際の請求額とは数円程度の誤差が生じる場合があります。
4人家族で電気代が月2万円前後になる世帯であれば、年間で2万円弱の負担軽減になる計算です。ただし、これはイギリスが実施した「0%への引き下げ」(平均家庭で年間45ポンド=約8,100円相当)と比べると小さめの効果にとどまります。同じ「引き下げ」でも、どこまで税率を下げるかによって家計へのインパクト差が大きくなっています。
なお、これはあくまで日本で議論されている食品の軽減税率(8%→1%)の考え方を電気代に当てはめた試算であり、2026年7月時点で政府が電気代の消費税率そのものを引き下げる具体的な方針を示しているわけではありません。現在の減税論議の対象は食品のみで、電気・ガス代への適用は今のところ検討課題として挙がっていない点には注意してください。
よくある質問
標準税率の10%です。飲食料品に適用される軽減税率8%(今後1%への引き下げが検討中)は電気・ガス・水道には適用されないため、電気代は今後も10%課税が続く見込みです。
かかります。請求書上では基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金をすべて合計した税抜金額に対して、まとめて10%の消費税が加算される仕組みになっています。
2026年7月時点で、政府が電気代の消費税率を引き下げる具体的な方針を示した事実はありません。現在議論されているのは飲食料品の軽減税率(8%→1%)のみで、電気・ガス代は対象外です。記事内で紹介した「1%になったら」の試算は、この食品向けの案を電気代に当てはめた場合のシミュレーションです。
まとめ
電気代の消費税は基本料金・電力量料金だけでなく、再エネ賦課金や燃料費調整額にも例外なくかかっており、税抜合計に対して一律10%が加算される仕組みです。仮に日本で議論されている食品の軽減税率と同じ考え方で電気代の消費税が10%から1%に下がれば、家庭にとって年間数千〜2万円規模の負担軽減になり得ますが、イギリスが実施した0%への引き下げほどの効果はありません。日本では今のところ、電気・ガス代の消費税は議論の対象になっていない点には注意が必要です。
消費税の仕組み自体を変えることはできませんが、電力会社やプランを見直すことで電気代そのものを下げることは可能です。
💡 新電力に切り替えることで、年間で数千円〜1万円以上節約できるケースもあります。
電気料金プランを比較する