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一方で、「都市ガス会社を乗り換えてガス代を安くする」という話は、電気ほど頻繁には聞きません。

都市ガスも2017年4月に小売全面自由化されており、現在では一般家庭でも契約するガス会社を自由に選べます。

それでは、なぜ都市ガスの切り替えは電気ほど話題にならないのでしょうか。

その理由の一つは、一般家庭の光熱費に占めるガス代そのものが、電気代より小さいためです。

ただし、これは「都市ガスは乗り換えても意味がない」ということではありません。

ガスを大量に使う家庭や、特に飲食店などの事業者にとっては、ガス会社の切り替えによって大きなコスト削減につながる可能性があります。

この記事では、都市ガスの切り替えが電気ほど話題にならない理由と、逆に都市ガスの比較を積極的に検討したい人について解説します。

参考資料(一次情報)

まず、都市ガスは「昔から決まった会社と契約するもの」というわけではありません。

2017年4月に都市ガスの小売全面自由化が始まり、一般家庭を含め、都市ガスを利用する人は契約するガス会社を選べるようになりました。

ガス会社によっては、料金プランだけでなく、電気とのセット割引やポイント還元など、さまざまなサービスを提供しています。

つまり、都市ガスにも「乗り換えて安くする」という選択肢はあります。

それでも電気ほど話題にならないのは、そもそも家庭の光熱費に占める電気代の金額が大きいからです。

一般家庭では、電気代のほうがガス代より大きい

総務省の「家計調査」によると、2025年の二人以上世帯における1か月平均の支出は、電気代が13,219円、ガス代が4,882円でした。

二人以上世帯の電気代・ガス代(2025年平均)

項目 1か月あたりの平均
電気代 13,219 円
ガス代 4,882 円

単純に比較すると、電気代はガス代の約2.7倍です。

もちろん、電気とガスでは使用する機器や家庭ごとの使用量が異なるため、すべての家庭に当てはまるわけではありません。

しかし、一般的な家庭では、「料金を下げられる可能性がある金額の母数」が電気のほうが大きいと考えることができます。

例えば、仮に現在の料金から10%安くできた場合でも、料金の元々の金額が大きいほど、節約できる金額も大きくなります。

そのため、「光熱費を節約したい」と考えたとき、まず電気料金の見直しが注目されやすくなります。

「10%安くなる」でも、節約額には差が出る

仮に先ほどの平均額を使って、10%安くなった場合を単純計算してみましょう。

10%安くなった場合の節約額(単純計算)

現在の月額 10%安くなった場合の月間節約額 年間節約額
電気 13,219 円 約1,322 円 約15,863 円
ガス 4,882 円 約488 円 約5,858 円

このように、同じ割引率でも、現在の支払額が大きい電気のほうが節約額は大きくなります。

実際の料金プランでは、基本料金や従量料金、原料費調整額、セット割引などの条件が異なるため、「どの会社に乗り換えても10%安くなる」という意味ではありません。

重要なのは、都市ガスの乗り換えを検討するときは、割引率だけでなく、実際に年間いくら安くなるのかを見ることです。

都市ガスの切り替えは「意味がない」わけではない

ここまで読むと、

「それなら都市ガスは乗り換えなくてもいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、それは少し違います。

都市ガスの使用量が多い家庭であれば、料金プランを変更することで年間のガス代を大きく下げられる可能性があります。

特に、

  • 家族の人数が多い
  • ガス給湯器をよく使う
  • ガス温水床暖房を使っている
  • ガス式の浴室暖房などを使用している
  • 冬場のガス使用量が多い

といった家庭では、ガスの使用量が少ない家庭と比べて、料金プランの違いが家計に与える影響も大きくなります。

また、現在契約しているガス会社の料金プランが自分の使用量に合っていない場合は、乗り換えによるメリットが大きくなる可能性があります。

つまり、都市ガスは「誰でも大幅に安くなる」というものではありません。

自分のガス使用量と現在の料金を確認したうえで、乗り換えによる年間の節約額を見ることが重要です。

実は「ガスを大量に使う人」ほど切り替えを検討する価値がある

ここで注目したいのが、家庭ではなく飲食店などの需要です。

都市ガスは家庭だけで使われているわけではありません。

資源エネルギー庁の都市ガス販売量を見ると、工業用や商業用など、家庭以外にも大量の都市ガスが使われています。2026年3月の販売量でも、工業用が全体の51.6%、家庭用が30.9%、商業用が9.4%を占めています。

特に飲食店では、コンロ、オーブン、給湯などでガスを継続的に使用するケースがあります。

家庭では「月数千円のガス代」が、飲食店では「毎月何万円、何十万円」という規模になることもあります。

そうなると、ガス料金のわずかな単価差でも、年間では大きな金額になります。

飲食店などでは「少しの単価差」が大きな節約につながることも

例えば、同じ使用量でもガス料金に差があれば、年間の支払額には次のような違いが生じます。

東京ガスエリアで比べた場合の差額(月の使用量別・単純計算)

月の使用量 東京ガス
(一般料金)
エルピオ都市ガス
(スタンダードプラン)
月間差額 年間差額
300 ㎥ 39,380 円 37,785 円 約1,595 円 約19,136 円
600 ㎥ 75,988 円 72,178 円 約3,810 円 約45,720 円
1,000 ㎥ 120,912 円 117,041 円 約3,871 円 約46,452 円

※東京ガス「一般料金」とエルピオ都市ガス「スタンダードプラン」の基本料金・従量料金(税込、原料費調整額を含まない)で計算しています。出典:エルピオ都市ガス 東京ガスエリア

※実際の料金は、契約する料金メニュー、基本料金、使用量、供給エリアなどによって異なります。

使用量が大きいほど、1㎥あたりの料金差が年間のコストに反映されやすくなります。

そのため、飲食店などで都市ガスを大量に使用している場合は、家庭以上に「現在のガス料金が適正なのか」を確認する意味があります。

都市ガスの乗り換えは、単純に「ガスを使っている人全員」におすすめできるものではありません。

一方、次のような人は比較してみる価値があります。

家族の人数が多い家庭や、給湯・暖房などでガスを多く使う家庭は、料金プランの違いが年間の支払額に反映されやすくなります。

「ガス代が高い」と感じている場合は、まず毎月の使用量と料金を確認してみましょう。

都市ガスの自由化以降、さまざまなガス会社が参入し、料金メニューも増えています。

現在の契約を何年も見直していない場合は、現在の使用量をもとに他社と比較することで、より自分に合った料金プランが見つかる可能性があります。

ガス会社によっては、電気とのセット契約による割引などを提供しています。

そのため、ガス単体の料金だけを見るのではなく、電気とガスをまとめた場合の年間総額で比較することも重要です。

ただし、セット割引があるから必ず安くなるとは限りません。

電気・ガスそれぞれの料金を確認し、セット契約にした場合の合計額で判断しましょう。

今回、特に注目したいのがこのケースです。

家庭と比べてガス使用量が大きい事業者では、料金単価のわずかな違いでも、年間では無視できない金額になる可能性があります。

特に飲食店などでは、厨房設備や給湯設備などでガスを継続的に使用するため、「どこの会社からガスを買うか」を見直すことがコスト削減につながる可能性があります。

エルピオ都市ガスは、飲食店などのお店でも申し込めます。

反対に、ガスの使用量が少ない人は慎重に

一方、ガスの使用量が少ない家庭では、乗り換えによって節約できる金額も小さくなる可能性があります。

例えば、現在のガス代が月数千円程度であれば、料金が数%下がったとしても、年間の節約額はそれほど大きくならないケースがあります。

その場合は、

「乗り換えれば何%安くなるか」

だけを見るのではなく、

「年間で何円安くなるのか」

を確認することが重要です。

また、契約期間や解約条件、セット割引の条件なども確認しましょう。

「都市ガスは乗り換えても意味がない」は間違い

都市ガスの切り替えが電気ほど話題にならないのには理由があります。

一般家庭では、電気代のほうがガス代よりも支払額が大きいため、同じ割合で料金を下げられた場合でも、電気のほうが節約額が大きくなりやすいからです。

しかし、それは都市ガスの乗り換えに意味がないということではありません。

むしろ重要なのは、ガスをどれだけ使っているかです。

ガス使用量が少ない家庭では、乗り換えによる節約額が小さくなる可能性があります。

一方、ガスを大量に使用する家庭や、飲食店などの事業者では、料金単価の違いが年間コストに大きく影響する可能性があります。

都市ガスの料金を見直すときは、「何%安くなるか」だけではなく、現在の使用量をもとに年間でいくら安くなるのかを比較してみましょう。

電気の乗り換えばかりが注目されがちですが、ガスを大量に使っている人にとっては、都市ガスも見直す価値のある光熱費の一つです。