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保険料が安い車種は型式別料率クラスが低い車です。ただし車種選びで動く幅は普通車・小型車で最大約4.3倍、軽自動車で約1.7倍と車格によって違います。そして同じ車のまま保険会社だけを変えても、編集部の見積もり調査では1.32~1.90倍の差が出ました。
「保険料が安い車種はどれか」を調べるとき、車名のランキングだけを見ても答えは出ません。保険料に効いているのは車名ではなく型式であり、その型式ごとに決められた型式別料率クラスだからです。
この記事では、損害保険料率算出機構が公表している仕組みを一次資料から整理したうえで、セレクトラ編集部がネット損保8社に取った実際の見積もりを突き合わせます。仕組みの数字と実測の数字を並べると、「車種を選び直す」ことと「保険会社を選び直す」ことのどちらがどれだけ効くのかが見えてきます。
なぜ車種で保険料が変わるのか|型式別料率クラスの仕組み
自動車保険では、用途・車種や年齢条件、過去の事故歴といった条件ごとに料率区分が設けられています。型式別料率クラスもそのひとつで、自動車ごとのリスクを型式単位で評価してクラスに置き換えたものです。
「型式別料率クラスとは、自動車保険における自動車ごとのリスクを、1、2、3などのクラス別に設定したものです。自動車保険では、自動車ごとの特性(形状・構造・装備・性能)や、その自動車のユーザー層によって、個々の自動車ごとにリスクに差が見られるため、それを型式単位で評価してクラスを適用し、保険料に反映させています。」
ここで重要なのは、クラスが車の性能だけで決まっているわけではないという点です。同機構は、リスクの実態には安全性能の差だけでなく型式ごとのユーザー層の差も含まれると説明しています。そのため、中身がほぼ同じOEM車でも、メーカーが違えば型式が違い、クラスも違うことがあります。
クラスは4つの補償ごとに決まる
料率クラスは車に1つだけ付くものではありません。対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・人身傷害保険・車両保険の4つについて、それぞれ別のクラスが設定されています。
つまり「この車はクラスが高い」と一括りに言えるケースは少なく、たとえば車両保険のクラスだけが高い車もあります。車両保険を付けるかどうかで、車種による有利・不利が変わることがあるのはこのためです。
クラスは毎年1月に見直される
各型式に適用するクラスは、その型式の直近の保険データに照らして毎年1月に見直しが行われます。実態とクラスが見合っていれば移動なし、見合っていなければ移動する仕組みです。
- リスクが低い場合は「−1」または「−2」、高い場合は「+1」または「+2」動く
- 発売後約3年が経過して保険データが蓄積された型式は、リスクが低ければ「−3」「−4」など、より大きく下がることがある
- 新しく発売された型式は保険データがないため、乗用車は排気量・新車価格・発売年月などから決定し、軽四輪乗用車は一律クラス4が適用される
クラスの上下はその型式全体の保険データによるもので、契約者個人の事故歴とは別の話です。無事故を続けていても、乗っている型式のクラスが上がれば保険料は上がり得ます。個人の事故歴はノンフリート等級のほうで反映されます。
普通車は最大4.3倍、軽自動車は1.7倍|車種選びが効く幅は車格で違う
「安い車種を選ぶ」ことでどこまで保険料が動くのかは、公表されている料率較差から見積もることができます。ここが普通車と軽自動車で大きく違います。
型式別料率クラスの区分と料率較差
| 対象 | クラスの区分 | 各クラス間の較差 | 最安クラスと最高クラスの較差 |
|---|---|---|---|
| 自家用乗用車 (自家用普通乗用車・自家用小型乗用車) |
クラス1~17 (17クラス) |
約1.1倍 | 約4.3倍 |
| 自家用軽四輪乗用車 | クラス1~7 (7クラス) |
約1.1倍 | 約1.7倍 |
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」。クラス1が最も安く、最大クラスが最も高くなります。
この数字が意味するのは、車種選びの効き方が車格によって非対称だということです。
- 普通車・小型車は、車種を選び直すだけで料率が最大4.3倍動く余地がある。車種選びの効果が大きい
- 軽自動車は最大でも約1.7倍。軽の中でどの車種を選んでも、動く幅は普通車ほど大きくない
- したがって「軽にすれば安くなる」は常に成り立つ話ではなく、クラスの低い普通車がクラスの高い軽より安くなることもある
なお、この較差は参考純率上の料率の話で、実際に支払う保険料そのものの倍率ではありません。保険料には料率クラス以外の区分も等級も乗るため、最終的な金額は見積もりでしか確定しません。
同じ車格の中でクラスがどこまで開くのかを具体的に見たい場合は、ミニバン7車の型式別料率クラスを1型式ずつ確認したミニバンの料率クラス比較をご覧ください。車両クラスが2から15まで開きます。
【実測】同じ車でも保険会社で1.32~1.90倍の差が出る
では、車種を選び直すことと保険会社を選び直すことでは、どちらがどれだけ効くのでしょうか。セレクトラ編集部が2026年9月契約分としてネット損保8社に取得した見積もりから、同じ車・同じ条件のまま保険会社だけを変えたときの開きを計算しました。
同一条件・同一車種での保険会社間の保険料差(車両保険なし・年間一括払い)
| 車種・型式 | 見積もり条件 | 最安 | 最高 | 開き |
|---|---|---|---|---|
| スズキ スペーシア 軽・5AA-MK94S |
38歳/20等級 | 10,220円 チューリッヒ(ネット専用) |
19,400円 アクサダイレクト |
1.90倍 |
| ホンダ N‑BOX 軽・JF5 |
26歳/9等級 | 27,610円 チューリッヒ(ネット専用) |
36,380円 SOMPOダイレクト |
1.32倍 |
| トヨタ ヤリス 小型車・5BA-MXPA10 |
47歳/20等級 | 9,200円 チューリッヒ(ネット専用) |
17,390円 アクサダイレクト |
1.89倍 |
| トヨタ ヴォクシー ミニバン・MZRA90W |
55歳/20等級 運転者限定なし |
26,620円 SOMPOダイレクト |
37,000円 楽天損保 |
1.39倍 |
セレクトラ編集部調べ。2026年8月24~25日取得、2026年9月始期の見積もり。ネット損保8社(ソニー損保・SBI損保・アクサダイレクト・SOMPOダイレクト・東京海上ダイレクト・チューリッヒ(ネット専用)・三井ダイレクト損保・楽天損保)。いずれも車両保険なし・年間一括払い。
この表の読み方(重要)
4行はそれぞれ運転者の年齢・等級が異なるため、行をまたいで金額を比べることはできません。たとえばスペーシアの10,220円とN‑BOXの27,610円の差は車種の差ではなく、38歳20等級と26歳9等級という条件の差です。この表で比べられるのは各行の中での保険会社間の開きだけです。
そのうえで読み取れることがあります。軽自動車で車種を変えて動く幅(料率較差で最大約1.7倍)に対し、同じ車のまま保険会社を変えて実際に動いた幅は1.32~1.90倍でした。
厳密には、前者は参考純率上の料率の較差、後者は実際の年間保険料の差なので、同じ物差しではありません。それでも桁は同じです。そして車種を選び直すには車を買い替える必要があるのに対し、保険会社を選び直すのは見積もりを取るだけで済みます。
車種による差は、車を買い替えなければ手に入りません。一方で保険会社による差は、今の車・今の条件のままで確認できます。先に後者を確かめてから車種の話をするほうが、順序としては合理的です。
自分の車・買う予定の車のクラスを調べる方法
型式別料率クラスは、損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス検索」で確認できます。調べるのは車名ではなく型式で、型式は車検証(自動車検査証)に記載されています。
- 車検証の「型式」欄を確認する(中古車や購入検討中の車なら、販売店の車両情報に記載されている)
- 損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索で、車種区分と型式を入力する
- 対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両の4区分それぞれのクラスを確認する
掲載されているのは保険始期が2026年1月1日~12月31日の契約を想定したクラスです。翌年分は毎年11月頃に掲載が始まります。
検索の対象外になる車もある
次のものは検索できません。買う前に調べたい場合ほど引っかかりやすいので、先に把握しておくと確実です。
- 自家用普通乗用車・自家用小型乗用車・自家用軽四輪乗用車以外の車
- 改造車
- 型式不明車
- 並行輸入車
- 未発売、または発売して間もない型式
とくに最後の項目は、新型車を検討している人には効いてきます。発表されたばかりの型式はクラスが検索できないため、保険料は見積もりを取るまで分かりません。
機構のクラス=各社の保険料ではない
検索結果をそのまま自分の保険料の予測に使うことはできません。機構自身が注意書きを出しています。
「検索結果は、当機構で算出した参考純率上の料率クラスになります。各保険会社で使用している料率クラスとは異なる場合がございますので、自動車保険をご契約する際は各保険会社へご確認ください。」
参考純率のクラスを使うかどうかは各保険会社の判断です。前章の実測で同じ車に1.32~1.90倍の開きが出たのも、各社が独自の料率と割引を持っているからです。クラスは「車種の傾向」を知るための指標であり、保険料そのものではありません。
クラスが低くなりやすい車の条件
クラスは型式ごとの保険データで決まるため、「この条件なら必ず安い」という法則はありません。ただし仕組み上、クラスが下がりやすい・下がりにくい状況ははっきりしています。
発売から約3年が経過した型式
保険データが蓄積された型式は、リスクが低いと判断されれば「−3」「−4」といった通常より大きな下げ幅が適用されます。発売直後の型式は年に「−1」「−2」しか動きませんが、3年を過ぎると実績次第で一気に下がる余地が生まれます。
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を装着した新しい型式
AEBの装着による保険料の割引は、発売後約3年までの型式を対象に用意されています。発売間もない型式はAEBの事故軽減効果がまだ保険データに表れておらず、クラスで評価しきれないためです。
裏を返すと、発売から3年を過ぎた型式ではAEBの効果はクラスそのものに織り込まれているという整理になります。初度登録後の経過期間も、クラスを補う料率区分として別に設けられています。
新発売の型式は「実績なし」から始まる
保険データがない新型式は、実績ではなく機械的にクラスが決まります。軽四輪乗用車は一律クラス4(1~7の中央)、乗用車は排気量・新車価格・発売年月などから決定されます。
つまり新型の軽は、実際のリスクが低くても高くても、最初はクラス4から始まります。安いクラスの車に乗りたいなら、モデル末期や発売から数年たった型式のほうが、実績に基づいて下がっている可能性があります。
保険料が安い車種|よくある質問
車種と保険料の関係について、よく寄せられる質問をまとめました。
型式別料率クラスが低い車です。クラスは型式ごとの過去の保険データから決まるため、車名ではなく型式単位で確認する必要があります。同じ車名でもグレードやモデルチェンジで型式が変われば、クラスも変わります。
必ずではありません。軽自動車の料率クラスは1~7で、最も安いクラスと最も高いクラスの料率較差は約1.7倍にとどまります。一方で普通車・小型車はクラス1~17で較差が約4.3倍あるため、クラスの低い普通車が、クラスの高い軽自動車より安くなることもあります。
損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス検索」で型式を入力すれば確認できます。ただし改造車・型式不明車・並行輸入車、および未発売や発売して間もない型式は検索の対象外です。
そうとは限りません。損害保険料率算出機構が公表しているのは参考純率上のクラスで、実際に使うかどうかは各保険会社の判断です。セレクトラ編集部の見積もり調査でも、同じ車・同じ条件で保険会社によって1.32~1.90倍の差が出ています。
料率クラスの面では、発売から約3年が経過して保険データが蓄積された型式のほうが、リスクが低い場合に大きくクラスが下がる仕組みになっています。一方、発売後約3年までの型式には衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の装着による割引が用意されています。車両保険の金額は新車のほうが高くなるため、総額は個別に見積もって確認してください。
まとめ|車種で決まる部分と、車種では決まらない部分
- 保険料が安い車種とは、型式別料率クラスが低い型式のこと。車名ではなく型式で決まる
- クラスは対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両の4区分ごとに設定され、毎年1月に見直される
- 車種選びで動く幅は普通車・小型車で最大約4.3倍、軽自動車で約1.7倍。軽の中での車種選びは、思うほど大きくは効かない
- 同じ車・同じ条件でも、保険会社を変えるだけで実測1.32~1.90倍の差が出た
- 機構のクラスは参考純率で、使うかどうかは各社の判断。最終的な金額は見積もりでしか分からない
車種による差は車を買い替えないと手に入りませんが、保険会社による差は今日確認できます。車種の検討と並行して、今の条件のままで保険料がどこまで下がるかを先に把握しておくと、車の買い替え判断そのものが正確になります。
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