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2026年8月25日の開示内容
発表されたのは4つです。株式分割、株主優待制度の導入、それに伴う定款変更、そして株数を基準にしている配当予想と自己株式取得枠の技術的な修正。金額の水準そのものを動かす発表は含まれていません。
*出典:東京海上ホールディングス「株式分割、株主優待制度の導入、株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正および自己株式取得に係る事項の変更に関するお知らせ」(2026年8月25日)
分割前と分割後の早見表
| 項目 | 分割前 | 分割後(2026年10月1日) |
|---|---|---|
| 分割の割合 | 1株 | 15株 |
| 発行済株式総数 | 19億3,400万株 | 290億1,000万株 |
| 発行可能株式総数(定款) | 80億株 | 1,000億株 |
| 2027年3月期の期末配当予想(1株) | 122.5円 | 8.17円(分割前換算122.55円) |
| 自己株式取得の上限株数 | 1億3,000万株 | 19億5,000万株 |
| 自己株式取得の総額(上限) | 2,000億円 | 2,000億円(変更なし) |
| 100株を買うのに必要な金額 | 約74万円 | 約5万円 |
※最低投資金額は8月25日終値をもとにした報道ベースの試算で、開示文書に記載されている数値ではありません。ロイターは「東京海上HDの最低投資単位は25日終値に基づけば約74万円。単純計算では分割後は約5万円になり、大幅な引き下げとなる」と報じています。
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日/株式数・配当・自己株式取得・定款)、ロイター「東京海上HD、9月30日を基準日に株式15分割 株主優待も導入」(2026年8月25日/最低投資単位)
日程は9月30日が節目
- 基準日公告日:2026年9月15日(火)(予定)
- 基準日:2026年9月30日(水)——この日の株主名簿に載っている株式が対象
- 効力発生日:2026年10月1日(木)。定款の発行可能株式総数の変更も同日
開示文書は分割の目的を「当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ること」と説明しています。前回の分割は2022年10月の1対3で、今回はそれを大きく上回る比率です。
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日)「1.株式分割」(1)株式分割の目的・(4)分割の日程、「3.株式分割に伴う定款の一部変更」
配当は実質同額。中間122.5円・期末8.17円と分かれる理由
期末配当の予想が122.5円から8.17円に下がったのは減配ではありません。開示文書も「株式分割による株数増加を考慮した場合、2026年5月20日に公表した予想と実質的に同額となります」と明記しています。
やや分かりにくいのは、中間配当が122.5円のまま据え置かれている点です。これは中間配当の基準日(9月30日)が分割の基準日と同じ日で、分割前の株数に対して支払われるためです。分割後の株数で受け取るのは期末配当だけになります。
中間配当:100株×122.5円=12,250円/期末配当:1,500株×8.17円=12,255円/合計24,505円。修正前の予想(年間245円×100株=24,500円)との差は5円で、1株あたりの金額を小数第2位に丸めたことによるものです。
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日)「4.配当予想の修正」(第2四半期末122.5円・期末8.17円・分割前換算122.55円/年間245.05円)。100株あたりの内訳は開示された1株あたり金額からの計算です。
株式分割は一般的にどういうときに行われる?
株式分割とは、すでに発行されている株式を一定の割合で細かく分けることです。1株が15株になれば発行済株式総数は15倍になり、1株あたりの株価と1株あたりの配当は、その分だけ小さくなります。
会社が分割を選ぶ場面は、ほとんどの場合ひとつに集約されます。株価が上がって、1単元(通常100株)を買うのに必要な金額が大きくなりすぎたときです。
東証が示す「望ましい投資単位」は50万円未満
東京証券取引所は、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として「50万円未満」という水準を明示しています。さらに、50万円以上で株式が売買されている上場会社には、50万円未満の水準へ移行するための考え方や方針を、事業年度経過後3か月以内に開示することを義務付けています。
東証によれば、投資単位が50万円以上の会社(高投資単位会社)の割合は近年10%を下回る水準で推移しており、2026年3月末時点では93.4%の会社が50万円未満。東京海上ホールディングスの約74万円は、残った側にありました。
そして東証は2026年7月28日付で、投資単位が50万円以上の会社に対して、株式分割の検討を改めて要請しています。同時に「更なる少額投資の実現に向けた制度・実務ワーキング・グループ」も設置されました。今回の発表はその1か月後です。
*出典:日本取引所グループ「投資単位の引下げ/株式分割の仕組み・効果」(望ましい投資単位50万円未満、開示義務、2026年3月末時点で93.4%の会社が50万円未満)、同「投資単位の引下げに係る検討の要請及び『更なる少額投資の実現に向けた制度・実務ワーキング・グループ』の設置について」(2026年7月28日)
分割しても資産の価値は変わらない
分割は、持っている資産を増やす仕組みではありません。株数が増えるかわりに1株あたりの価値が下がるため、理論上、保有している資産の総額は分割の前後で変わりません。配当も同じで、1株あたりの金額が分割比率に合わせて調整されるため、受け取る総額は実質的に変わりません。
今回の開示がその通りになっています。期末配当予想は1株122.5円から8.17円へ、つまりおおよそ15分の1に調整され、開示文書自身が「実質的に同額」と説明しています。自己株式取得も、上限株数は1億3,000万株から19億5,000万株へと15倍になった一方で、取得価額の総額(上限2,000億円)と取得期間は変更されていません。株数を基準にした数字だけが機械的に15倍・15分の1になり、金額は動いていないということです。
分割によって最低投資金額は下がりますが、会社の価値や1株あたりの利益水準が変わるわけではありません。分割の発表そのものを業績の裏付けと読むことはできません。今回の開示に書かれている目的も「投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ること」であって、業績見通しの変更ではありません。
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日)「1.株式分割」(1)株式分割の目的、「4.配当予想の修正」、「5.自己株式取得に係る事項の変更」
東京海上ホールディングスが株主優待制度を導入
ここから、話を東京海上ホールディングスの開示内容に戻します。8月25日の発表では、株式分割とあわせて株主優待についても明記がありました。制度の骨格は、適時開示の本文と「2.株主優待制度の導入」の項に次のように書かれています。
東京海上ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO小池 昌洋、以下「当社」という。)は、より多くの皆さまに当社の株主となっていただき、当社の成長を支えていただくため、このたび、株式分割(1株につき15株の株式分割)および株主優待制度の導入(当社株式100株以上を3年間にわたり継続して保有いただいた株主の方に初回は7,500円相当、翌年以降は毎年2,500円相当の株主優待を贈呈するもの)を決定いたしましたのでお知らせいたします。
本制度は、2027年3月31日を初回の基準日として開始し、以後、毎年3月31日を基準日といたします。(「2.株主優待制度の導入」(2)基準日)
なお同社の株式基本情報ページは、2026年8月25日時点でも優待情報の欄に「株主優待制度はございません。」と記載されています。8月25日の開示で導入が決定した制度で、ページの記載はまだ更新されていません。
自動車保険の契約者への影響:保険料も補償も等級も変わらない
結論から書きます。株式分割と株主優待の新設によって、契約している自動車保険の保険料・補償内容・等級が変わることはありません。理由は3つです。
- 今回の発表元は東京海上ホールディングス(持株会社)で、自動車保険の契約相手は子会社の東京海上日動火災保険。株主に対する資本政策は保険契約の条件に反映される仕組みになっていない
- 保険料は認可された料率と契約条件(型式別料率クラス、等級、年齢条件、使用目的など)で決まる。株数や株主構成は変数に入っていない
- 株主優待は電子マネー等の贈呈で、保険料の割引ではない。逆に、契約者であることが優待の条件でもない
開示文書に書かれている優待は、電子マネー等を選択して受け取るものだけです。保険料の割引、自己負担額の減額、事故時の優遇といった記載は一切ありません。契約者としての立場と株主としての立場は別のものとして扱われています。
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日/優待内容は「電子マネー等」の贈呈。保険料の割引に関する記載はなし)、同「2027年3月期 第1四半期決算参考資料」(2026年8月12日/「東京海上日動火災保険㈱ 単体」をグループの国内保険事業として開示)、損害保険料率算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」(保険料が型式別料率クラス等で決まること)
まとめ
- 東京海上ホールディングスは2026年8月25日、1株を15株に分割すると発表。基準日は9月30日、効力発生日は10月1日。発行済株式総数は19億3,400万株から290億1,000万株になる
- 100株の購入に必要な金額は、同日終値ベースで約74万円から約5万円へ(報道ベースの試算。開示文書には記載なし)
- 東証は望ましい投資単位として「50万円未満」を示し、2026年7月28日付で50万円以上の会社に株式分割の検討を改めて要請していた。約74万円だった同社はその対象にあたる
- 分割で資産の価値も配当の総額も実質的には変わらない。期末配当予想は122.5円→8.17円とおよそ15分の1に調整され、自己株式取得も上限株数だけ15倍で総額2,000億円は据え置き
- 株主優待を新設。100株以上を3年以上継続保有した株主に初回7,500円相当、翌年以降毎年2,500円相当の電子マネー等。初回基準日は2027年3月31日
- この発表で自動車保険の保険料・補償・等級は変わらない。株主優待も電子マネー等の贈呈で、保険料の割引ではない
*出典:東京海上ホールディングス 適時開示(2026年8月25日)、日本取引所グループ「投資単位の引下げ/株式分割の仕組み・効果」、ロイター(2026年8月25日/最低投資単位)
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安くなりません。株式分割は株主に対する資本政策で、保険料は認可された料率と契約条件(型式別料率クラス、等級、年齢条件など)で決まります。株主優待も電子マネー等の贈呈で、保険料の割引ではありません。契約者であることが優待の条件でもありません。
出典:東京海上ホールディングス「株式分割、株主優待制度の導入…に関するお知らせ」(2026年8月25日)/損害保険料率算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み」
初回の7,500円相当は2030年3月31日を基準日とする分になります。ただしこの日付は開示文書に書かれておらず、下記の判定ルールから本記事で計算したものです。
開示文書の記載はこうです。「3年以上継続保有とは、毎年3月31日および9月30日時点の株主名簿に、当社普通株式100株以上を保有する株主として、同一株主番号で連続して7回以上記載または記録された場合をいいます」。2026年10月に買うと最初に名簿に載るのが2027年3月31日で、そこから数えて7回目が2030年3月31日にあたります。開示文書の別紙にある「2025年4月から2026年3月までの間に保有を開始した場合は2029年3月31日」というパターンと同じ数え方です。
なお売却などで株主番号の連続性が途切れると、それ以前の保有期間は通算されません。制度のその他の詳細は「決定次第、改めてお知らせ」とされています。
出典:東京海上ホールディングス「株式分割、株主優待制度の導入…に関するお知らせ」(2026年8月25日)「2.株主優待制度の導入」(3)対象株主および優待内容、および別紙
東京証券取引所は望ましい投資単位として「50万円未満」という水準を示し、50万円以上で売買されている会社には引き下げの方針を開示するよう義務付けています。さらに2026年7月28日付で、投資単位が50万円以上の会社に対して株式分割の検討を改めて要請しました。東京海上ホールディングスの投資単位は約74万円で、この要請の対象にあたります。1対15にすると約5万円になり、50万円未満の水準に大きく入ります。
出典:日本取引所グループ「投資単位の引下げ/株式分割の仕組み・効果」/同「投資単位の引下げに係る検討の要請…について」(2026年7月28日)
株数は15倍になり、1株あたりの配当はその分だけ小さく表示されます。2027年3月期の期末配当予想は1株122.5円から8.17円へ修正されました(分割前換算122.55円)。分割前に100株を持っている人で計算すると、中間配当は分割前の100株に122.5円で12,250円、期末配当は分割後の1,500株に8.17円で12,255円、合計24,505円。修正前の予想(年間245円×100株=24,500円)とほぼ同額で、差の5円は1株あたりの金額を小数第2位に丸めたことによるものです。
出典:東京海上ホールディングス「株式分割、株主優待制度の導入…に関するお知らせ」(2026年8月25日)「4.配当予想の修正」(100株の内訳は開示された1株あたり金額からの計算)
出典
- 東京海上ホールディングス「株式分割、株主優待制度の導入、株式分割に伴う定款の一部変更、配当予想の修正および自己株式取得に係る事項の変更に関するお知らせ」(2026年8月25日/適時開示。1株につき15株、基準日2026年9月30日、基準日公告日9月15日(予定)、効力発生日10月1日。発行済株式総数1,934,000,000株→29,010,000,000株、発行可能株式総数100,000,000,000株。定款第6条を80億株→1,000億株に変更。株主優待は100株以上を3年以上継続保有で初回7,500円相当・翌年以降毎年2,500円相当の電子マネー等、初回基準日2027年3月31日、継続保有は3月31日・9月30日の株主名簿に同一株主番号で連続7回以上。期末配当予想122.5円→8.17円(分割前換算122.55円、年間245.05円)、中間配当122.5円は据え置き。自己株式取得の上限株数130,000,000株→1,950,000,000株、総額2,000億円・期間2026年5月21日〜12月23日は変更なし。分割の目的は「当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ること」、優待の目的は「当社株式への投資魅力を高め、より多くの株主の皆さまに中長期的に当社株式を保有いただくこと」と記載)
- 東京海上ホールディングス「株式基本情報」(IR情報/「優待情報」の欄に「株主優待制度はございません。」と記載。2026年8月25日時点の表示で、同日の株主優待制度の導入決定は未反映)
- 東京海上ホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算参考資料」(2026年8月12日/「2.国内保険事業の概況」に「東京海上日動火災保険㈱ 単体」の数値をグループの国内損害保険事業として開示)
- 日本取引所グループ「投資単位の引下げ/株式分割の仕組み・効果」(東証は個人投資家が投資しやすい環境を整備するために望ましい投資単位として50万円未満という水準を明示。50万円以上で売買されている場合は50万円未満へ移行するための考え方・方針等を事業年度経過後3か月以内に開示することを義務付け。投資単位が50万円以上の会社の割合は近年10%を下回る水準で、2026年3月末時点で93.4%の会社が50万円未満。2022年10月27日付および2026年7月28日付で投資単位の引下げに係る検討を要請)
- 日本取引所グループ「投資単位の引下げに係る検討の要請及び『更なる少額投資の実現に向けた制度・実務ワーキング・グループ』の設置について」(2026年7月28日/「投資単位が50万円以上の上場会社代表者あてに、改めて、投資単位の引下げに向けた株式分割の検討について要請を行いました」と記載)
- 損害保険料率算出機構「自動車保険 型式別料率クラスの仕組み(2025年1月1日以降に保険期間の始期を有する保険契約の場合)」(対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険の4区分。自家用乗用車はクラス1〜17、自家用軽四輪乗用車はクラス1〜7。クラス見直しは毎年1月)
- ロイター「東京海上HD、9月30日を基準日に株式15分割 株主優待も導入」(2026年8月25日/「東京海上HDの最低投資単位は25日終値に基づけば約74万円。単純計算では分割後は約5万円になり、大幅な引き下げとなる」と報道)
株式分割・株主優待・配当予想・自己株式取得の数値は東京海上ホールディングスの2026年8月25日付適時開示に記載されたものです。最低投資金額(約74万円→約5万円)は同日終値をもとにした報道ベースの試算で、開示文書に記載されている数値ではありません。株主優待制度の詳細は「決定次第、改めてお知らせ」とされており、今後変更・追加される可能性があります。FAQに記載した「2030年3月31日」は開示文書の判定ルールから本記事で計算した日付で、開示文書に明記されているものではありません。本記事は特定の保険商品や株式の売買を推奨するものではありません。保険の契約時は各社の約款・重要事項説明書を必ずご確認ください。