一部アフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
何が起きたのか|ティアフォー上場の概要
ティアフォーは2026年7月22日、東証グロース市場に新規上場しました。公募価格は1,085円でしたが、初値はこれをおよそ7%下回る水準となり、いわゆる「公募割れ」でのスタートとなりました。自動運転という成長テーマへの期待と、赤字が続く足元の業績・大型の需給をどう評価するかで、投資家の見方が分かれた格好です。
*ティアフォー(593A)の上場概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日 | 2026年7月22日(水) |
| 上場市場 | 東証グロース市場 |
| 証券コード | 593A |
| 公募価格 | 1,085円 |
| 初値 | 公募価格を約7%下回る水準(公募割れ) |
| IPO規模 | 約217億円(2026年で2番目の大きさ) |
| 想定時価総額 | 約644.8億円 |
| 主幹事 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 ほか |
*出典:みんかぶ「ティアフォー(593A)新規上場(IPO)情報」、レスポンス「自動運転ソフトのティアフォーが上場…株価の初値は公開価格を7%下回る」、Bloomberg「自動運転ティアフォーが7月22日に上場へ、IPO規模今年2番目の大きさ」、日本取引所グループ「新規上場日の初値決定前の気配運用について」
ティアフォーとは何をしている会社か
ティアフォーは2015年12月に設立された自動運転システムの開発企業で、名古屋大学発のスタートアップとして知られています。代表取締役CEOの加藤真平氏は、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」の開発者であり、その運営母体であるThe Autoware Foundationの共同創設者でもあります。
*ティアフォーの会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 2015年12月 |
| 所在地 | 東京都品川区 |
| 事業内容 | 自動運転システムの開発・提供 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 加藤 真平 |
| 連結従業員数 | 413名(2026年4月時点) |
| 累計資金調達額 | 約390億円 |
*出典:株式会社ティアフォー 開示資料(事業計画及び成長可能性に関する事項ほか)、IPOの基礎知識「ティアフォー(593A)のIPO上場情報」
ビジネスの核は「オープンソース」
同社の最大の特徴は、自動運転ソフトウェアAutowareを誰でも無償で利用できるオープンソースとして公開している点にあります。世界中の企業・研究機関がコードに貢献しており、ソースコードのコントリビューターの約68%がティアフォー以外のエンジニアだといいます。これにより、自前で全てを開発するよりも資本効率高く技術開発を進められる点が強みです。
Autoware自体は無償ですが、社会実装や量産には高度なノウハウが必要になります。ティアフォーはAutowareを基盤に、商用レベルの自動運転レベル4を実現する独自の「リファレンスデザイン」を構築し、これを強みとして事業を展開しています。
自動運転レベル4は、高速道路や特定エリアなど「決められた条件(限定領域)」の中で、システムが運転操作をすべて担い、運転席に人がいなくても走行できる段階を指します(すべての条件・場所で完全自動になるのがレベル5)。「商用レベル」とは、実証実験の段階を超えて、安全性・品質・運用ノウハウを備え、実際のサービスや量産車で使える実用水準に達していることを意味します。
3つのサービスで収益化
同社の事業は、大きく3つのサービスで構成されています。
*ティアフォーの3つのサービス(2025年9月期売上高)
| サービス | 主な顧客 | 売上高 |
|---|---|---|
| モビリティサービス | 地方自治体・交通事業者 | 約22.6億円 |
| デベロップメントサービス | 自動車OEM・特殊用途車両メーカー | 約13.3億円 |
| ソリューションサービス | 研究機関・政府機関など | 約28.1億円 |
協業するOEM・Tier1は18社にのぼり、主なパートナーにはトヨタ、いすゞ、ヤマハ、スズキ、コマツが並びます。2025年12月にはJR東海(東海旅客鉄道)からも第三者割当増資による出資を受けています。日本全国39都道府県・127地域で実証実験・実装の実績を持ち、国内初の自動運転レベル4認可を取得。長野県塩尻市では運転席無人での走行を実現し、創業以来の公道での人身事故は0件とされています。
なぜ上場するのか
ティアフォーが上場に踏み切った理由は、大きく「研究開発の継続」と「量産化への備え」に集約されます。同社は上場調達資金の使途として、総額約204億円を次の3分野に充てる計画を示しています。
*上場調達資金の使途
| 使途 | 予定金額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 研究開発費 | 約88億円 | AI技術・自動運転専用の半導体の設計・開発 |
| 量産・事業拡張費 | 約83億円 | サプライチェーン構築、調達体制の強化、海外展開 |
| 組織拡張費 | 約34億円 | エンジニアなど人材採用、コーポレート機能の拡充 |
*出典:株式会社ティアフォー 開示資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」P.39「新規上場の目的、上場調達資金使途」
背景には、自動運転を取り巻く政策の追い風があります。2023年までに自動運転レベル4を可能にする法整備が完了し、2026年1月に閣議決定された第3次交通政策基本計画では、2030年度までに自動運転サービス車両を1万台へ普及させる目標が掲げられました。ドライバー不足の深刻化(2030年には需給ギャップが3.6万人に達する見通し)も、社会実装を後押しする要因です。
ただし、業績は先行投資の段階にあります。2025年9月期の連結売上高は64.1億円(前期比+66%)と伸びているものの、大規模な研究開発費により営業損失は105億円。2026年9月期も営業損失112.4億円、経常損失65.9億円、純損失67.4億円と、赤字が続く見通しです。OEMとの量産プロジェクトが本格化するのを見据え、開発と供給体制を一気に強化するための資金を市場から調達する、というのが今回の上場の狙いです。
*出典:株式会社ティアフォー「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」、Bloomberg「自動運転ティアフォーが7月22日に上場へ」
自動車業界と自動車保険に与えるインパクト
自動車業界への影響|「協調」で市場をつくる
ティアフォーが掲げるのは、既存の業界構造を破壊するのではなく、OEMやTier1と協調しながら市場を形成するというアプローチです。特殊用途車両やバス・シャトルでは先行者優位を活かす「先行逃げ切り型」、トラック・タクシー・乗用車では技術のコモディティ化後に追い上げる「後方追い上げ型」と、ドメインごとに戦略を使い分けています。
自社一社で車両を造るのではなく、数百〜数千台規模の量産をOEMとの協業で実現する構図であり、日本の基幹産業である自動車業界にとっては、ソフトウェア主導の変革(SDV化)を国内エコシステムで取り込む受け皿となりえます。人手不足で維持が難しくなる地方のバス・物流網の再構築という社会課題に対しても、現実的な選択肢を提供します。なお、上場に先立つ2026年6月には、トヨタ自動車が子会社を通じて同社に出資したとも報じられています。
*出典:株式会社ティアフォー 開示資料(事業計画及び成長可能性に関する事項)、IPOの基礎知識「ティアフォー(593A)のIPO上場情報」
自動車保険への影響|SOMPOホールディングス・損保ジャパンとの深い関係
ティアフォーと保険の関わりは深く、今回の上場に伴ってSOMPOホールディングスは同社の「その他の関係会社」から外れたものの、依然として筆頭株主にとどまっています。
*SOMPOホールディングスの持株比率の変化
| 時点 | 議決権所有割合 |
|---|---|
| 上場前(2026年6月29日時点) | 24.12% |
| 上場後(2026年7月22日時点) | 17.49% |
両社は資本関係だけでなく、自動運転に係る保険の加入や開発でも取引関係にあります。ティアフォー自身の開示資料によれば、同社が所有する公道走行車両は損害保険ジャパン株式会社の自動運転専用保険に加入しており、物損事故・人身事故が発生した場合の損害賠償リスクに備えています。当該保険は損保ジャパンが開発した自動運転向けの任意自動車保険で、通常の任意自動車保険ではカバーできない自動運転特有のリスクまでカバーされています。両社の協業はこれが初めてではなく、2022年2月には損保ジャパンがティアフォー・アイサンテクノロジーと共同で(東京大学の研究成果も活用し)、国内初となる「自動運転システム提供者専用保険」を開発した実績があります。この保険は、自動運転システムを提供するティアフォーを記名被保険者として、対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなどを組み込んだもので、まずはヤマハ発動機とティアフォーの合弁会社「eve autonomy」が展開する自動搬送サービス「eve auto」に適用されています。
*出典:株式会社ティアフォー 開示資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」P.42「事故の発生に関するリスク」、損害保険ジャパン・ティアフォー・アイサンテクノロジー「【国内初】レベル4自動運転サービス向け「自動運転システム提供者専用保険」の開発」(2022年2月4日、2022年7月22日更新)
自動運転の普及は、自動車保険の設計思想そのものを揺さぶります。ポイントは責任の所在の変化にあります。
- 従来の任意保険は、「人が運転する」ことを前提に、運転者の過失リスクを中心に組み立てられてきました
- しかし自動運転レベル4(運転者不在)では、道路交通法上の「運転」に該当しないため、従来型の運転者責任は事実上問題にならなくなります
- 一方で、車両保有者などの「運行供用者責任」や、システムに欠陥があった場合の「製造物責任(メーカー責任)」は引き続き残ります。事故が起きた場合は、まず保険会社が被害者を救済し、システム起因の事故であれば、その後にメーカーへ求償する、という流れが想定されます
自動運転の責任関係は、警察の捜査結果や保険会社・裁判所の判断、今後の法整備によって確定していくものです。本記事の記述は、ティアフォーの開示資料をもとにした一般的な整理にとどまります。
つまり自動運転が広がるほど、リスクの重心は「人の運転」から「システム・製造物」へと移っていきます。これは保険会社にとって、料率算定の前提や補償の設計、求償の枠組みを根本から見直す必要があることを意味します。実際、自動運転はまだ広く普及しておらず、補償内容の「マーケットスタンダード」は形成途上にあると、ティアフォー自身もリスク要因として認識しています。
ティアフォーの上場でこの流れが加速すれば、SOMPOホールディングスをはじめとする損保各社にとっては、「自動運転専用保険」という新たな商品領域が本格的な事業機会として立ち上がる可能性があります。株主であり保険の提供者でもあるSOMPOホールディングスにとって、ティアフォーの成長は投資リターンと新市場開拓の両面で意味を持つといえるでしょう。裏を返せば、自動運転車による重大事故が起きれば、業界全体の社会的評価や保険引受にも影響が及びうる点は、注視すべきリスクでもあります。
*出典:株式会社ティアフォー「その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」、株式会社ティアフォー 開示資料(事業計画及び成長可能性に関する事項・リスク情報)
今のあなたの自動車保険は最適か?見直しておきたいポイント
自動運転のニュースが増えると、「今の自分の自動車保険は現状に合っているのか」と気になった方も多いのではないでしょうか。実際には、現在販売されている車のほとんどは自動運転レベル4に対応しておらず、通常の任意保険で備えるべきポイントは変わっていません。
先進安全装備(自動ブレーキなど)を搭載した車にはASV割引が適用される場合があり、保険料の軽減につながることがあります。適用条件は保険会社ごとに異なるため、見積もり時に確認しましょう。補償内容や保険料は保険会社によって差が出やすいため、今の契約が最適かどうか、一度比較しておくと安心です。
\3分で完了・完全無料/
自動車保険の一括見積もりを比較する\3分で完了・完全無料/
自動車保険を一括見積もりするまとめ|自動運転の普及は「保険のあり方」も変える
- ティアフォーはオープンソース「Autoware」を基盤に、自動運転の社会実装を進めるディープテック企業
- 上場の狙いは、研究開発の継続とOEM量産に向けた供給・組織体制の強化(調達額 約204億円)
- 自動運転レベル4では責任の重心が「運転者」から「システム・製造物」へ移り、自動車保険の設計思想が問われる
- SOMPOホールディングス・損保ジャパンは株主かつ自動運転専用保険の提供者として、新市場と向き合う
ティアフォーの上場は、単なる話題のIPOにとどまりません。オープンソースを武器に自動運転の社会実装を進める同社は、ドライバー不足という社会課題への解決策であると同時に、自動車業界のSDV化と、自動車保険の商品・責任構造の転換を象徴する存在です。初値は公募割れとなり、赤字継続という足元の課題は残るものの、SOMPOホールディングス・損保ジャパンとの関係が示すように、自動運転の普及は「保険のあり方」そのものを変えていきます。
自動車保険の補償内容や保険料を見直したい場合は、複数社の一括見積もりを比較してみるのもひとつの方法です。
\3分で完了・完全無料/
自動車保険の一括見積もりを比較する出典
- みんかぶ「ティアフォー(593A)新規上場(IPO)情報」
- レスポンス「自動運転ソフトのティアフォーが上場…株価の初値は公開価格を7%下回る」
- Bloomberg「自動運転ティアフォーが7月22日に上場へ、IPO規模今年2番目の大きさ」
- 日本取引所グループ「新規上場日の初値決定前の気配運用について:(株)ティアフォー」
- かぶリッジ「ティアフォー(593A)のIPO初値予想と上場概要紹介」
- IPOの基礎知識「ティアフォー(593A)のIPO上場情報」
- レスポンス「ティアフォー、東京証券取引所グロース上場を承認…7月22日株式公開へ」
- 株式会社ティアフォー「事業計画及び成長可能性に関する事項」(2026年7月)
- 株式会社ティアフォー「その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」(2026年7月22日)
- 株式会社ティアフォー「東京証券取引所グロース市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」「2026年9月期第2四半期(中間期)決算短信」(2026年7月22日)
- 損害保険ジャパン・ティアフォー・アイサンテクノロジー「【国内初】レベル4自動運転サービス向け「自動運転システム提供者専用保険」の開発」
本記事の株価・IPO関連の数値は2026年7月22日時点で各報道・開示資料をもとに整理したものです。市場環境や事実関係は今後変更される可能性があるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の取得や投資を勧誘するものではありません。自動運転の責任関係に関する記述は一般的な解説であり、実際の事故時の責任所在は個別事案ごとに判断されます。