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何が決まったのか
- 追加される課題は「方向変換」の1つです。S字とクランクは、検査時間が長くなるため見送られました
- 一時不停止(大)の減点は20点から40点へ。第一種免許は70点以上が合格基準のため、1回の減点で不合格となる水準です
- 免許が失効しても、「免許の失効・返納」は中断証明書の発行事由には含まれません(東京海上日動・ソニー損保とも)
警察庁は2026年9月3日、「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会」の報告書を公表しました。検討会は7月8日から8月24日までに3回開かれ、課題に「方向変換」を追加すること、減点項目に「安全不確認」を追加すること、「一時不停止(大)」の減点幅を引き上げることという3つの方向性について、意見が一致しています。
運転技能検査は、75歳以上で過去3年間に一定の違反歴がある人が受ける実車による試験です。100点からの減点方式で、第一種免許は70点以上が合格基準です。
*報告書と実証実験の判定基準に示された内容
| 見直し項目 | 現行 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 方向変換 | 課題にない | 課題に追加(接触・脱輪で20点の減点) |
| 安全不確認 | 減点項目にない | 一時停止時の安全確認を減点項目に追加(10点の減点) |
| 一時不停止(大) | 20点の減点 | 40点の減点 |
「方向変換」は後方や側方への注意配分とペダル操作を同時に求める課題です。2025年中の踏み間違いによる死亡事故46件のうち31件(約7割)が75歳以上で、報告書はペダル操作の正確性を確かめる課題として方向変換を採用しました。
安全確認の有無を評価する項目は、現在の検査にはありません。委員からは、高齢の運転者は身体の可動域が狭くなるため、首を動かして左右を確認する必要があるという意見が出ています。
実証実験では合格率が93.9%から81.6%へ
警察庁は2026年7月9日から、埼玉・千葉・神奈川・愛知の4県で受検者147人を対象に実証実験を行いました。
- 現行の基準では合格率93.9%です
- 見直しの3点のみを反映すると81.6%(12.3ポイント低下)です
- S字とクランクも加えて全項目を実施すると70.7%(23.2ポイント低下)です
追加を方向変換だけに絞ったのは、全項目を加えると検査時間は現行の約1.5倍となり、受検後の安全指導に充てる時間が短くなるおそれがあるためです。2025年中は受検者15万6,513人のうち14万5,935人(93%)が合格しています。
なぜ厳しくするのか|合格者の事故件数は2倍以上
きっかけは2026年6月25日公表の追跡調査です。2023年5月15日から8月31日までの検査合格者5,270人と、違反歴がなく高齢者講習の実車指導を受けた8,233人を、その後2年間にわたって追跡しました。
10万人当たりの人身事故件数は、75〜79歳で検査合格者1,457件に対し実車指導の受講者322件、85歳以上で2,086件に対し792件でした。検査に合格した人のほうが、対象外だった人より事故が多いという結果です。
事故を起こした検査合格者81人のうち26人は、検査時の「一時停止」で減点されていました。合格者が起こした83件の事故では、法令違反の6割以上が安全運転義務違反で、うち26件が安全不確認、その88.4%が前方・左右の安全不確認です。一時不停止の減点を強化し、安全不確認を新設する背景には、この分析があります。
検査の対象になる違反歴は、保険料にも影響する
運転技能検査の対象となるのは、更新前3年間に信号無視、通行区分違反、速度超過、横断歩行者等妨害、安全運転義務違反、携帯電話使用等の違反をした人です(道路交通法施行令第34条の3第5項)。
こうした違反は、免許証の色にも影響します。道路交通法第95条の6の表は、優良運転者を、免許を継続して5年以上保有し、法令の遵守状況が政令の基準に適合する人と定めています。違反があるとゴールド免許ではなくなり、自動車保険の割引もそこで外れます。
ソニー損保は、始期日時点の記名被保険者の免許証の色を「ゴールド」「ゴールド以外」の2区分にして保険料を算出し、ゴールドには13%の割引を適用しています(保険始期日が2025年12月31日以前の契約は12%)。割引は、保険料のうちリスクに応じて算出される部分に適用されます。
東京海上日動のトータルアシスト自動車保険にもゴールド免許割引があり、割引率は運転者の範囲・年齢条件に応じて決まります。始期日時点でゴールド免許を保有していない場合でも、ゴールドとみなして適用できることがあります。
*出典:ソニー損保「ゴールド免許割引」、東京海上日動「トータルアシスト自動車保険」パンフレット兼重要事項説明書(2026年1月1日以降始期用)
高齢者の保険料は「年齢条件」を変えても下がらない
自動車保険の「◯歳以上補償」は若い運転者を補償の対象から外すための条件で、年齢区分には上限があります。高齢ドライバーの場合、年齢条件をこれ以上引き上げることはできず、記名被保険者の年齢そのものが保険料に影響します。
東京海上日動|60歳以上85歳未満は1歳刻み
運転者年齢条件は「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」の4区分で、記名被保険者や配偶者、同居の親族など、対象になる人のうち最も若い人の年齢に応じて設定します。75歳の本人だけが運転する車なら、選択できるのは最上位の「35歳以上補償」までです。
さらに、記名被保険者の始期日時点の年齢に応じた区分も設けられています。
*トータルアシスト自動車保険の記名被保険者年齢別料率区分
| 区分 |
|---|
| 30歳未満/30歳以上40歳未満/40歳以上50歳未満/50歳以上60歳未満 |
| 60歳以上85歳未満は1歳刻み |
| 85歳以上 |
記名被保険者を変更した場合は、変更後の人の年齢で区分が適用されます。同社は、無事故でも更新時の保険料が上がる理由の一つに「記名被保険者の年齢が上がることで、保険料が上がる場合がございます」と挙げています。
ソニー損保|年齢条件の最上位は30歳以上補償
年齢条件は「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」の4区分です。そのうえで、記名被保険者が個人である契約で26歳以上補償・30歳以上補償の場合は、記名被保険者の年齢に応じてさらに細分化していると説明しています。何歳刻みかは、同社の用語集には示されていません。
使用目的が主に家庭用なら、予想年間走行距離を7区分に分けて算出し、走行距離が少ないほど保険料は安くなります。
*高齢ドライバーに関係する2社の保険料算定条件
| 項目 | 東京海上日動(トータルアシスト) | ソニー損保 |
|---|---|---|
| 年齢条件の最上位 | 35歳以上補償 | 30歳以上補償 |
| 記名被保険者の年齢 | 60歳以上85歳未満は1歳刻み、85歳以上は1区分 | 26歳以上・30歳以上補償で年齢に応じて細分化 |
| ゴールド免許割引 | あり(率は運転者の範囲・年齢条件に応じる) | 13%(2025年12月31日以前始期は12%) |
| 走行距離 | 保険料の決定要素に記載なし | 予想年間走行距離7区分(主に家庭用。少ないほど安い) |
合格できなかった場合、保険はどうなるか
運転技能検査は繰り返し受けられますが、更新期間の満了日までに合格できなければ免許は失効します。
免許失効後に気づかず運転した場合、自分側の補償が受けられないことがある
免許失効後の運転は、無免許運転に当たります。東京海上日動のパンフレットは、車両保険では「ご契約者、ご契約のお車の所有者または保険金受取人の無免許運転や酒気帯び運転」によって生じた損害を、人身傷害保険などでは「無免許運転や酒気帯び運転によって、運転者本人に生じた損害」を補償しないと明記しています。同社のFAQも、保険金が支払われない補償として車両保険、人身傷害補償、自損事故傷害、搭乗者傷害を挙げています。一方、対人賠償・対物賠償はこの一覧には含まれていません。
中断証明書の発行事由に「免許の失効・返納」は含まれない
免許が失効し、車を手放す場合、等級を維持するための手段の一つが中断証明書です。東京海上日動は発行事由に廃車・譲渡・返還・一時抹消、盗難、車検切れ、海外渡航を挙げ、ソニー損保はこれに災害による滅失などを加えています。免許の失効や返納そのものは、どちらの一覧にもありません。申請期限は解約日または満期日から5年以内、等級を保存できる期間は10年です。
同居の家族がその車を運転し続ける場合は、記名被保険者の変更という選択もあります。東京海上日動は、記名被保険者を配偶者、または記名被保険者かその配偶者の同居の親族に変更する場合は等級を引き継げるとしています。別居の親族や他人への譲渡では引き継げません。
*出典:東京海上日動FAQ「保険金が支払われない、主な場合」、同社FAQ「中断制度」、ソニー損保「中断証明書の発行条件」、東京海上日動FAQ「車を譲渡する場合、保険も一緒に譲渡し、ノンフリート等級を引き継げますか?」
まとめ|更新の前に確認しておきたいこと
- 違反があると、免許証の色と保険料の両方に影響する可能性があります。75歳以上の場合、運転技能検査の対象になることもあります
- 年齢条件を変更しても、高齢者の保険料が下がるとは限りません。記名被保険者の年齢による区分も別に設けられており、東京海上日動は60歳以上85歳未満を1歳刻みで分けています
- 運転する機会が減ったなら、年間走行距離を保険料に反映する会社も検討しましょう。ソニー損保は予想年間走行距離7区分で、走行距離が少ないほど保険料が安くなります
記名被保険者の年齢をどこまで細かく見るかは会社ごとに違うため、同じ条件でも、保険会社によって保険料は異なります。
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自動車保険の一括見積もりを比較するよくある質問(FAQ)
報告書は時期を示していません。警察庁は報告書を踏まえて道路交通法施行規則の改正等の措置を講ずるとしています。日本経済新聞は2027年中の変更になる見込みと報じています。
中断証明書を発行すれば等級を10年間保存できますが、免許の返納や失効そのものは発行の事由になっていません。東京海上日動が挙げる事由は、廃車・譲渡・返還・一時抹消、盗難、車検切れ、記名被保険者の海外渡航です。ソニー損保はこれに災害による滅失などを加え、等級が7等級以上(無事故で満期を迎える場合は6等級以上)であることも条件にしています。
東京海上日動のASV割引は9%ですが、適用条件は自家用乗用車にAEB(衝突被害軽減ブレーキ)が装着されていること、始期日が型式の発売年度に3を加えた年の12月末以前にあることです。加速抑制装置そのものを対象にした割引は、同社の割引制度の一覧にありません。ただし同社の「入院時選べるアシスト特約」では、入院した場合に選べる補償メニュー例として「事故防止費用(ペダル踏み間違い防止装置等)」が挙げられています。
出典
- 警察庁「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会の報告書等について」(令和8年9月3日/広報資料PDF。検討会は令和8年7月8日・7月29日・8月24日の計3回開催、課題に「方向変換」を追加、減点項目に「安全不確認」を追加、「一時不停止(大)」の減点基準を引き上げ、今後は道路交通法施行規則の改正等の措置を講ずる)
- 同 報告書本文・参考資料(参考資料7=令和7年中の対象者16万5,756人・受検者15万6,513人・合格者14万5,935人、受検者に占める合格者93%、現行の課題と減点点数/参考資料8=一時不停止(大)は20点減点/参考資料9=10万人当たりの交通事故件数は75〜79歳1,457件対322件、80〜84歳1,284件対557件、85歳以上2,086件対792件/参考資料10=事故を起こした合格者81人のうち26人が「一時停止」で減点、事故83件の法令違反は安全運転義務違反53件でうち安全不確認26件、その88.4%が前方・左右/参考資料11=令和8年7月9日から埼玉・千葉・神奈川・愛知で147人に実施、現行基準の合格率93.9%、見直し項目のみで81.6%〈−12.3pt〉、全項目実施で70.7%〈−23.2pt〉、所要時間の最頻値は現行11分・全項目実施17分、方向変換は接触・脱輪で20点減点、安全不確認は10点減点、一時不停止(大)は40点減点)
- 警察庁「運転技能検査合格者の追跡調査の結果等について」(令和8年6月25日/令和5年5月15日から8月31日までの合格者5,270人と高齢者講習の実車指導受講者8,233人を2年間追跡、令和7年のアクセルとブレーキの踏み間違いによる死亡事故は75歳以上31件で操作不適全体の約26%)
- 警察庁「運転技能検査について」(対象は75歳以上で更新前3年間に信号無視、通行区分違反、速度超過、横断歩行者等妨害、安全運転義務違反、携帯電話使用等の違反歴がある人、100点満点からの減点方式、第一種免許は70点以上で合格)
- e-Gov法令検索「道路交通法」第95条の6第1項の表(優良運転者は「更新日等までに継続して免許を受けている期間が五年以上である者であつて、自動車等の運転に関するこの法律…の遵守の状況が優良な者として政令で定める基準に適合するもの」)
- 東京海上日動「トータルアシスト自動車保険」パンフレット兼重要事項説明書 2026年1月1日以降始期用(記名被保険者年齢別料率区分=30歳未満/30歳以上40歳未満/40歳以上50歳未満/50歳以上60歳未満/60歳以上85歳未満は1歳刻み/85歳以上、運転者の年齢条件特約は「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」、ゴールド免許割引は運転者の範囲・年齢条件に応じた割引率、ASV割引9%、車両保険は契約者・所有者・保険金受取人の無免許運転や酒気帯び運転によって生じた損害を補償しない、人身傷害等は無免許運転や酒気帯び運転によって運転者本人に生じた損害を補償しない、入院時選べるアシスト特約の補償メニュー例に「事故防止費用(ペダル踏み間違い防止装置等)」)
- 東京海上日動「ご契約条件」(運転者の年齢条件が適用されるのは記名被保険者・その配偶者・同居の親族・業務に従事中の使用人で、そのうち最も若い人の年齢に応じて設定する)
- 東京海上日動FAQ「無事故にもかかわらず、更新保険料が高くなりました」(「記名被保険者の年齢により、適用される保険料が異なります。記名被保険者の年齢が上がることで、保険料が上がる場合がございます。」)
- 東京海上日動FAQ「保険金が支払われない、主な場合」(「無免許、酒酔い運転中(車両、人身傷害補償、自損事故傷害、搭乗者傷害)」)
- 東京海上日動FAQ「中断制度」(事由は廃車・譲渡・返還・一時抹消、盗難、車検切れ、記名被保険者の海外渡航。申請期限は解約日または満期日から5年以内、有効期限10年)
- 東京海上日動「各種割引制度」(ASV割引9%=自家用乗用車でAEBが装着されていること、始期日が型式の発売年度に3を加算した年の12月末以前にあること。運転性向割引5%)
- ソニー損保「ゴールド免許割引」(保険始期日時点の記名被保険者の免許証の色を「ゴールド」「ゴールド以外」の2区分にして算出、ゴールドは13%割引、保険始期日が2025年12月31日以前の契約は12%、割引はリスクに応じた部分に適用、記名被保険者が法人の場合は不適用)
- ソニー損保「年齢条件」(区分は「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」、記名被保険者が個人の契約で「26歳以上補償」「30歳以上補償」の場合は記名被保険者の年齢に応じてさらに細分化)
- ソニー損保「契約距離区分」(使用目的が主に家庭用の場合、予想年間走行距離を7区分に分けて保険料を算出し、年間走行距離が少ないほど保険料が安くなる)
- ソニー損保「中断証明書の発行条件」(ノンフリート等級が7等級以上〈無事故で保険期間を満了して中断する場合は6等級以上〉、事由は廃車・売却・リース会社への返還・永久抹消登録、他契約との車両入替、車検切れ、ナンバープレート返納〈一時抹消登録〉、盗難、災害による滅失、海外渡航。満期日または解約日から5年以内に発行依頼書を提出)
- 東京海上日動FAQ「車を譲渡する場合、保険も一緒に譲渡し、ノンフリート等級を引き継げますか?」(記名被保険者を配偶者に変更する場合、または記名被保険者もしくはその配偶者の同居親族に変更する場合は引き継ぎ可。別居の親族や他人への譲渡は不可)
- ソニー損保「中断証明書を発行するメリットは」(現在の等級を10年間保存できる。1〜5等級のデメリット等級では発行できない)
- 日本経済新聞「75歳以上の運転免許更新、過去違反の実車試験に「方向変換」追加」(2026年9月3日/道路交通法施行規則を改正し2027年中に変更する見込み、公共交通機関が乏しい地域では免許失効が移動手段の喪失につながるため報告書は代替の交通手段の確保の検討も促した)
本記事の情報は2026年9月3日時点のものです。運転技能検査の見直しは有識者検討会の報告書に示された方向性で、実施の内容と時期は道路交通法施行規則の改正によって確定します。保険料の区分・割引率・補償内容は保険会社・始期日・契約条件によって異なるため、実際の取り扱いは必ず約款および重要事項説明書をご確認ください。中断証明書の発行条件や等級の引き継ぎの可否は個別の契約内容によって変わるため、手続きの前に各社へご確認ください。