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ランクルは「日本でいちばん盗まれる車」

日本損害保険協会が2026年3月4日に公表した第27回「自動車盗難事故実態調査」は、損害保険会社21社が実際に保険金を支払った事案を集計したものです。

2025年 車名別の車両本体盗難(保険金支払件数)

順位 車名 2025年 構成比 2024年
1位 ランドクルーザー(プラド含む) 825件 30.0% 688件
2位 アルファード 240件 8.7% 289件
3位 プリウス 204件 7.4% 235件
4位 クラウン 136件 5.0% 62件
5位 レクサスRX 113件 4.1% 89件
6位 レクサスLX 109件 4.0% 109件
全車種合計 2,746件 100% 2,499件

読み取れることは3つです。

  • 被害は前年比で約2割増えた。688件から825件へ。全体(2,499件→2,746件)の伸びを大きく上回っています
  • 1車種で全体の30.0%。保険金が支払われた車両盗難の約3.3台に1台がランドクルーザーです。損保協会も「車両本体盗難の被害が特定の車種に集中する傾向が一層強まっている」と指摘しています
  • 車上ねらいでも初のワースト1位。部品・用品を狙う車上ねらい(2025年は672件)でもランドクルーザーが66件・9.8%で1位になりました。前年は2位(43件)でした

金額の側も動いています。車両本体盗難1件あたりの平均支払保険金は2023年237.9万円 → 2024年281.5万円 → 2025年297.5万円と年々上昇し、2025年の年間支払保険金総額は約82億円(前年比約10億円増)となりました。車両価格の上昇がそのまま保険金の上昇につながっている構図です。

発生時間帯は深夜〜朝(22時〜9時)が60.2%を占めます。

*出典:日本損害保険協会「自動車盗難は再び増加の兆し、ランドクルーザーの被害突出」(第27回自動車盗難事故実態調査結果/2026年3月4日)同「第27回 自動車盗難事故実態調査結果」(調査対象期間2023年1月1日〜2025年12月31日、対象21社)

なぜランクルなのか。過酷な使用環境に耐える信頼性と耐久性が世界的に評価され、中古車としての需要が海外にも広く存在すること、そしてリセールバリューが高いことが、窃盗の動機に直結していると考えられます。

盗難リスクは車種で決まりますが、そのリスクにいくら備えられるかは保険会社ごとに変わります。まずは今の条件で各社の金額を並べてみてください。

ランクルの「盗難保険」はいくら?料率クラスで見る

日本の自動車保険に「盗難保険」という単独の商品はありません。ランクル(トヨタ ランドクルーザー)の盗難を補償するのは車両保険で、いくらになるかは車両保険金額・等級・年齢条件・使用目的・保険会社に加えて、型式別料率クラスで決まります。

型式別料率クラスは、損害保険料率算出機構が型式ごとの保険実績にもとづいて算出する区分です。自家用普通乗用車・自家用小型乗用車はクラス1〜17の17区分で、クラス1が最も安くなります。適用されるクラスは補償内容ごとに別で、対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険それぞれに数字が付きます。盗難に直接関係するのは、いちばん右の車両保険のクラスです。

ランドクルーザー系の型式別料率クラス(保険始期2026年1月1日〜12月31日)

車名 型式 対人 対物 人身傷害 車両 前年の車両
ランドクルーザー250 GDJ250W 8 6 9 6 8
ランドクルーザー250 TRJ250W 7 6 9 11 13
ランドクルーザー300 FJA300W 8 6 7 7 5
ランドクルーザー300 VJA300W 3 1 7 7 5
ランドクルーザー(70系) GDJ76W 9 8 9 7 9
ランドクルーザー(200系) URJ202W 6 7 3 16 16
ランドクルーザープラド GDJ150W 7 9 7 11 11
ランドクルーザープラド GDJ151W 8 10 7 12 12
ランドクルーザープラド TRJ150W 7 8 7 11 10
ランドクルーザープラド GRJ150W 9 6 7 4 3

2026年4月に一部改良されたガソリン車の車両型式はトヨタの主要諸元表で3BA-TRJ250Wと記載されており、表のTRJ250Wがこれに当たります。自分の車がどの型式かは車検証(自動車検査証)の型式欄で確認できます。

*出典:損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索」(保険始期2026年1月1日〜12月31日の契約を想定した参考純率上の料率クラス/2026年9月1日取得)

この表から読み取れることは3つです。

  • 同じ車名でも型式でクラスが変わる。250系はGDJ250Wが車両クラス6、TRJ250Wが11。プラドはGRJ150Wの4からGDJ151Wの12まで開いています。「ランクルの保険料」は車名では決まりません
  • 高いのは車両保険のクラスに偏っている。対人・対物・人身傷害はおおむね3〜10に収まる一方、車両だけがGDJ151Wで12、200系のURJ202Wでは16まで上がります。ランクルの保険料が高くなるとき、その上振れは車両保険側で起きています
  • クラスは毎年動く。250系は前年から車両クラスが下がり(GDJ250Wは8→6、TRJ250Wは13→11)、300系は上がっています(5→7)。更新のたびに前提が変わるため、継続時にも見積もりを取り直す意味があります
クラスが高い=危ない車、ではありません

損害保険料率算出機構は「クラスが高い(数字が大きい)からといって、そのお車が危ない自動車であるということではありません」と明記しています。同機構の説明では、安全性能が同じような自動車でもユーザー層の違いなどでクラスが異なる可能性があり、クラスは保険金の支払データだけで決まるものでもありません。また、検索結果は参考純率上のクラスであり、各保険会社が実際に使うクラスとは異なる場合があります。契約時は各社に確認してください。

なお、車両料率クラスは保険料だけの話ではありません。ソニー損保は車両保険をつけられない場合として「車両料率クラスが17のお車」を挙げています。上の表で最も高い200系のURJ202Wは16で、その一つ下です。この点は後述の落とし穴2で詳しく扱います。

そして料率クラスは保険料を決める要素のひとつにすぎません。実際の金額は等級・年齢条件・車両保険金額・免責金額の設定と、どの保険会社かで変わります。月いくらになるかを知る方法は、条件を揃えて各社の提示額を並べる以外にありません。

警察庁データで見る「どこで・どうやって」盗まれるか

保険金の集計に対して、警察庁の統計は事件そのものを数えています。生活安全企画課が2026年2月にまとめた「自動車盗難等の発生状況等について」から、対策の優先順位を決めるうえで重要な数字を拾います。

統計が示す「自宅・キーなし」

認知件数は令和4年以降増加が続いていますが、数字以上に重要なのは被害がどこで起きているかです。

自動車盗の統計(令和7年=2025年)

指標 令和7年 補足
認知件数 6,386件 前年6,080件から306件・5.0%増。ピークの平成15年(64,223件)から1割以下に減少
検挙率 37.3% 約4割が検挙されている
発生場所「一般住宅」 45.2% 2,885件。過去最も高い割合
発生場所「駐車(輪)場」 27.9% 1,780件
「キーなし」の比率 77.8% 過去最も高い割合。概ね4台に3台
上位5県の集中度 55.4% 愛知1,051件、埼玉756件、神奈川649件、茨城540件、千葉539件

※「キーあり」はエンジンキーがイグニッションスイッチに差し込まれ、または運転席周辺に放置されていて被害に遭ったもの。「キーなし」はそれ以外を指します。

被害の45.2%は自宅で起きています

「防犯設備の整った駐車場に停めれば安心」という発想は、統計とずれています。自動車盗の発生場所は一般住宅が最多で45.2%、しかも過去最高の割合です。警察庁も「自動車盗難は、自宅駐車場で最も多く発生していますので、自宅駐車場にセンサーライトや防犯カメラ、車止めポールなどを設置しましょう」と呼びかけています。

台数トップはランクル、比率トップはレクサスLX

車名別の盗難台数(盗難等車両手配がなされた車名が明らかな車両)でも、令和7年はトヨタ ランドクルーザーが1,177台で1位でした。ここで注目したいのは、保有台数で割った「千台当たり」の数字です。

令和7年 車名別盗難台数と千台当たりの被害

車名 盗難台数 千台当たり
トヨタ ランドクルーザー 1,177台 3.5
トヨタ プリウス 424台 0.2
トヨタ アルファード 303台 0.4
トヨタ レクサスRX 209台 1.7
トヨタ レクサスLX 195台 19.7
トヨタ クラウン 173台 0.2

※「千台当たり」は車名別盗難台数を自動車保有車両数(自動車検査登録情報協会の各年3月末現在の統計)で割り、1,000を乗じた数です。台数の多いプリウスやクラウンは保有台数も多いため、比率では小さくなります。

台数ではランクルが1位ですが、保有台数に対する比率ではレクサスLXが19.7と突出しています。ランドクルーザー系のプラットフォームを共有する高価格帯モデルが、狙われやすさという点で共通していることが読み取れます。

警察庁が挙げる主な盗難の手口

警察庁は主な手口として次を挙げています。純正キーを厳重に管理していても成立する手口が並んでいる点が重要です。

  • CANインベーダー等——特殊な機器で自動車の電子制御ユニットに不正信号を送信し、ドアロックの解除やエンジン始動を行う
  • キープログラマー等——窓の隙間から針金を差し込む、窓ガラスを破壊する、ピッキング工具を使うなどして車内に侵入し、エンジンキーを複製する
  • リレーアタック——玄関先などに保管しているスマートキーの微弱な電波を中継してドアロックを解除・エンジンを始動させる
  • 鍵そのものを手に入れる——車体にマグネットで隠されたスペアキーを探す、家に侵入してキーを盗む、鍵を預かる施設で使用者になりすましてキーを受け取る
  • レッカー・けん引——車を丸ごと運び去る

*出典:警察庁生活安全企画課「自動車盗難等の発生状況等について」(令和8年2月)

手口はどれも数分で終わります。盗まれた後に効くのは車両保険だけなので、補償の中身と保険料を今のうちに確認しておきましょう。

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純正の盗難対策はどこまで来たか、そして限界

トヨタは2026年4月3日、ランドクルーザー“250”シリーズのガソリン車を一部改良して発売しました。この改良で盗難防止に関わる装備が整理され、主要装備一覧表(’26年4月現在)にはガソリン車VXの標準装備として次が記載されています。

ランドクルーザー250(ガソリン車VX)の盗難防止関連装備

装備 設定 働き
盗難防止システム
(イモビライザーシステム+オートアラーム)
[国土交通省認可品]
標準装備 登録されたキー以外ではエンジンが始動しない。異常を検知すると警報を発する
スマートキー測距システム 標準装備 キーを持つ人が車の近くにいないとき、電子キーによる解錠やエンジン始動を制限する。リレーアタック対策
T‑Connect
(マイカーサーチ、ヘルプネット等)
利用可能 専用通信機を通じた車両関連サービス。初度登録日から5年間は基本利用料無料
デジタルキー メーカーオプション
33,000円
スマートフォンをキーとして使う。T‑Connectの契約と専用アプリが必要

トヨタ「ランドクルーザー“250”主要諸元表・主要装備一覧表」(’26年4月現在、2.7Lガソリン車4WD・VX、車両型式3BA-TRJ250W)の記載にもとづきます。設定はグレード・仕様変更により変わるため、最新の内容は販売店で確認してください。

スマートキー測距システムは、警察庁が挙げる手口のうちリレーアタックに対して有効に働きます。玄関先のキーから漏れる電波を中継されても、キーの位置が車の近くにないと判定されればエンジンは始動しません。

一方で、CANインベーダーは電子制御ユニットに直接不正信号を送る手口です。純正のイモビライザーやスマートキーの認証を経由しない経路で狙われるため、純正装備だけを頼りにするのは危険です。警察庁も対策として「盗難防止装置の複合的な活用」を掲げ、次を挙げています。

  • センサーが衝撃・振動・音等の異常を感知して警報音を発する警報装置
  • ハンドルロックやホイールロック等の固定器具
  • GPS追跡装置
  • 防犯ステッカーの貼付、センサーライト・防犯カメラの設置
  • 車種を特定させないための自動車用ボディカバー
  • スマートキーを玄関先に置かず、電波を遮断できるケースに入れる
同じランクルでも、装備一覧の中身は違います

2026年5月に追加された「FJ」シリーズの主要装備一覧表には、盗難防止システム(イモビライザーシステム+オートアラーム+サイレン)は記載されていますが、スマートキー測距システムの記載はありません。ランクルというブランドでひとくくりにせず、検討している車の装備一覧表で1項目ずつ確認する必要があります。

*出典:トヨタ自動車「ランドクルーザー“250”シリーズのガソリン車を一部改良」(2026年4月3日)トヨタ認定中古車「ランドクルーザー250(2026年4月〜販売中)VXの車両情報」

ランクル(ランドクルーザー)の車両保険、3つの落とし穴

ここからが本題です。ランクルのように「車両価格が高く、盗難リスクが極端に高い車」は、一般的な車両保険の説明では抜け落ちる論点があります。以下は各社の公式ページで確認できた内容です。補償内容と特約の名称は保険会社ごとに異なるため、契約時は必ず自社の約款で確認してください

落とし穴1:新車特約は「盗難」を除外している

これが最も見落とされやすい点です。東京海上日動の車両新価保険特約の説明にはこう書かれています。

ご契約のお車が、事故(盗難され発見されない場合を除きます。)により大きな損傷を受けた場合の新車購入費用等について「協定新価保険金額」を限度に保険金をお支払い(新価払)します。

経過年数の長い車向けの車両全損時復旧費特約も、まったく同じ「(盗難され発見されない場合を除きます。)」という除外を置いています。つまり、ランドクルーザー最大のリスクである盗難全損は、新車特約でも復旧費特約でもカバーされません

盗難で車が返ってこなかったときに支払われるのは、次の2つです。

盗難され発見されなかった場合の支払い(東京海上日動の例)

補償 支払われる内容 車が戻らなかったとき
車両保険(本体) 車両保険金額を限度に保険金。全損の定義に「盗難され発見されなかった場合」が含まれる ◯ 支払われる
車両全損時諸費用補償特約
(車両保険に自動セット)
車両保険金額の10%相当額(上限20万円、下限10万円) ◯ 支払われる
車両新価保険特約
(新車特約)
新車購入費用等を協定新価保険金額まで ✕ 支払われない
車両全損時復旧費特約 新たなお車の購入費用等を復旧費用限度額まで ✕ 支払われない

車両全損時諸費用補償特約の上限は20万円です。578万円の車が戻ってこなかったときに、諸費用として上乗せされるのは最大20万円——ここが上限だと知って契約するかどうかで、備え方は変わります。

*出典:東京海上日動「車両新価保険特約」同「車両全損時復旧費特約」同「車両保険」

設定できる車両保険金額の上限は、保険会社ごとに違います。盗難で戻ってこなかったときの受取額はここでほぼ決まるので、1社の提示額だけで判断せず複数社を比べてください。

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落とし穴2:「発売されたばかりの車」は車両保険を付けられない場合がある

ソニー損保は、車両保険をつけられない場合として次を挙げています。

  • 初度登録(検査)年月から18年以上が経過しているお車
  • 発売されたばかりのお車
  • 車両保険金額(新価保険金額)が1,500万円を超えるお車
  • 車両料率クラスが17のお車(例:高級車・スポーツカーなど)
  • 初めて契約される場合などに適用される6等級で、年齢条件を「運転者の年齢を問わず補償」で契約するとき(6A等級)

さらに同社は「上記の記載以外にもさまざまな状況を加味したうえで車両保険の付帯可否の判断をしております。そのため、以下に当てはまらなくても車両保険が付帯できない場合があること」も明記しています。

*出典:ソニー損保「車両保険をつけられないケースは」損害保険料率算出機構「型式別料率クラス検索」

落とし穴3:車両保険金額は毎年下がり、社外品は申告しないと出ない

車両保険金額は自由に決められるものではありません。ソニー損保の説明では、金額は「初度登録年月」および「型式」をもとに設定可能な幅が決まり、契約継続(更新)時には満期を迎える契約の車両保険金額より低い金額で設定することになります。理由は「モノの価値は年月を経ることで減少していく(減価償却)」という考え方です。

新車の場合は「購入時にかかった金額」——車両本体価格とメーカーオプションやカーナビなどオプション費用の合計(税込)——が基本の考え方とされています。そして重要なのが次の注記です。

高額なオプションを追加している場合など、設定可能な金額と実際の購入金額とに開きがある場合はカスタマーセンターまでご相談ください。売買契約書などを参考に市場価格と照らし合わせて確認をいたします。

ここが社外セキュリティやカスタムパーツとの接点です。警報装置やGPS追跡装置、リフトアップキットや大径ホイールを後付けした場合、その金額を保険会社に申告して保険金額に反映させておかないと、車両ごと盗まれたときに社外品の分は支払いの対象になりません。売買契約書や施工の領収書を用意して、契約時または装着時に相談するのが正しい手順です。

*出典:ソニー損保「車両保険金額はどのように決定しますか」

逆に、知っておくと得をする2つのポイント

落とし穴の話が続きましたが、盗難に関しては契約者に有利に働くルールもあります。

エコノミー型でも盗難は補償される

保険料を抑えるためにエコノミー型(車対車+A)を選ぶと盗難が外れるのではないか、と心配する人がいます。東京海上日動の補償対象一覧では、盗難は一般条件・エコノミー車両保険(自動車・乗用具等+A)のどちらでも補償対象です。いたずら・落書・窓ガラス破損、火災・爆発、台風・洪水も同様です。

エコノミー型で対象外になるのは、ガードレール・電柱への衝突、車庫入れの失敗、墜落・転覆といった単独事故です。地震・噴火・津波はどちらの契約方式でも対象外で、備えるには専用の特約が必要になります。「盗難に備えたいがコストは抑えたい」というオーナーには検討に値しますが、単独事故を捨てる判断でもあるため、オフロード走行の頻度と合わせて考えてください。

盗難による全損では免責金額が引かれない

東京海上日動の車両保険の説明では、免責金額の扱いはこう書かれています。

全損以外の場合には、損害額からご契約時に設定された免責金額(自己負担額)を差し引いた金額を保険金額を限度にお支払いします。

そして同社は全損を「ご契約のお車の修理費が車両保険金額以上となる場合、ご契約のお車が盗難され発見されなかった場合またはご契約のお車が修理できない場合」と定義しています。盗難で車が戻らなかったケースは全損に当たるため、免責金額の設定は盗難全損の受取額には影響しないことになります。

この構造を踏まえると、平時の免責金額をやや高めに設定して保険料を抑え、浮いた分を警報装置やGPS追跡装置などの防犯対策に回すという判断が成り立ちます。ただし取扱いは保険会社ごとに異なるため、契約前に約款で確認してください

保険金を受け取った後に車が見つかったら

盗難で保険金を受け取ると、保険法第24条にもとづき、その車の所有権は保険会社に移ります。日本損害保険協会の解説では、自家用自動車保険普通保険約款の車両条項により、保険金を支払った日の翌日から起算して60日以内に車が発見された場合は、受け取った保険金の全額を保険会社に払い戻せば車の返還を受けられるとされています。この場合、盗難から発見までの間に生じた損害については、あらためて保険金を請求できます。

*出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問47」

まとめ

  • ランドクルーザーは車名別の車両本体盗難で5年連続ワースト1位・825件・構成比30.0%(前年比約2割増)。車上ねらいでも初めて1位になった。1件あたりの平均支払保険金は297.5万円、年間の支払保険金総額は約82億円
  • 警察庁統計では発生場所の45.2%が一般住宅キーなしが77.8%でいずれも過去最高。自宅駐車場の対策が最優先になる
  • 2026年4月改良のガソリン車VXは盗難防止システムとスマートキー測距システムが標準装備。リレーアタックには有効だが、CANインベーダーのように電子制御ユニットへ直接信号を送る手口には純正装備だけでは足りない
  • 警察庁は警報装置・固定器具・GPS追跡装置・防犯カメラ・電波遮断ケースなどの「複合的な活用」を推奨している
  • 車両新価特約と車両全損時復旧費特約は「盗難され発見されない場合」を除外。盗難全損で出るのは車両保険金と、諸費用特約の上限20万円まで
  • ソニー損保は「発売されたばかりのお車」を車両保険を付けられない場合として挙げている。改良直後・発売直後は契約前に確認が必要
  • 車両保険金額は更新ごとに下がる。社外セキュリティやカスタムパーツは申告して保険金額に反映させておかないと、盗難時に支払い対象にならない
  • 盗難はエコノミー型(車対車+A)でも補償対象。盗難による全損では免責金額が差し引かれない
  • 「盗難保険」という単独の商品はなく、盗難を補償するのは車両保険。保険始期2026年の車両保険の料率クラスは250系がGDJ250Wで6・TRJ250Wで11、300系が7、プラドが4〜12、200系のURJ202Wが16。対人・対物・人身傷害が中位に収まる一方で、上振れは車両保険側に集中している

ランクルの盗難リスクは車種の宿命ですが、保険の設計で吸収できる部分は残っています。車両保険金額をいくらまで設定できるか、盗難全損でいくら出るのか、社外セキュリティを申告できるか——この3点は保険会社ごとに答えが変わります。まずは現在の条件で各社の保険料と条件を並べて確認してください。

よくある質問(FAQ)

日本の自動車保険に「盗難保険」という単独の商品はありません。盗難を補償するのは車両保険で、金額は車両保険金額・等級・年齢条件・使用目的・保険会社によって変わるため、一律の相場はありません。目安として使えるのは損害保険料率算出機構の型式別料率クラスで、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車はクラス1〜17の17区分、クラス1が最も安くなります。保険始期2026年の車両保険クラスは、ランドクルーザー250がGDJ250Wで6・TRJ250Wで11、300系(FJA300W・VJA300W)が7、プラドがGRJ150Wの4からGDJ151Wの12まで、200系のURJ202Wが16です。実際の月額は条件を揃えて各社の提示額を並べる以外に確認する方法がありません。

損害保険料率算出機構の型式別料率クラス検索(保険始期2026年1月1日〜12月31日)では、車両保険のクラスはGDJ250Wが6、TRJ250Wが11、FJA300Wが7、VJA300Wが7、GDJ76Wが7、URJ202Wが16、GDJ150Wが11、GDJ151Wが12、TRJ150Wが11、GRJ150Wが4です。同じ車名でも型式でクラスが変わるので、車検証の型式欄で確認してください。なお同機構は「クラスが高い(数字が大きい)からといって、そのお車が危ない自動車であるということではありません」と明記しており、検索結果は参考純率上のクラスで各保険会社が実際に使うクラスとは異なる場合があります。

公的な統計で裏付けられています。日本損害保険協会の第27回「自動車盗難事故実態調査」(2026年3月4日公表)によると、2025年に保険金が支払われた車両本体盗難のうちランドクルーザー(プラドを含む)は825件・構成比30.0%で、車名別ワースト1位。これは5年連続です。2位のアルファード(240件)の3倍以上で、被害が1車種に集中している状態です。警察庁の統計でも令和7年の盗難台数は1,177台とトップでした。

トヨタの主要装備一覧表(’26年4月現在)では、ガソリン車VXに盗難防止システム(イモビライザーシステム+オートアラーム)[国土交通省認可品]スマートキー測距システムが標準装備として記載されています。ただし警察庁が挙げる手口にはCANインベーダーのように車の電子制御ユニットへ直接不正信号を送るものが含まれるため、純正装備だけで完結させず、警報装置・ハンドルロック・GPS追跡装置などを組み合わせる「複合的な活用」が推奨されています。

いいえ。買い直せません。東京海上日動の車両新価保険特約は「事故(盗難され発見されない場合を除きます。)により大きな損傷を受けた場合」が対象で、盗難は明示的に除外されています。車両全損時復旧費特約も同じ除外です。盗難で車が返ってこなかったときに支払われるのは、車両保険の保険金と、自動セットされる車両全損時諸費用補償特約(車両保険金額の10%、上限20万円・下限10万円)です。名称と条件は保険会社ごとに異なるため、必ず約款で確認してください。

会社によってはあります。ソニー損保は車両保険をつけられない場合として「初度登録(検査)年月から18年以上が経過しているお車」「発売されたばかりのお車」「車両保険金額が1,500万円を超えるお車」「車両料率クラスが17のお車」などを挙げ、さらに「上記に当てはまらなくても車両保険が付帯できない場合がある」としています。ランドクルーザー250の価格帯(VXで577万9,400円)は金額の基準には触れませんが、改良直後・発売直後は判定が変わる可能性があるため、契約前に確認が必要です。

東京海上日動の説明では「全損以外の場合には、損害額からご契約時に設定された免責金額(自己負担額)を差し引いた金額を保険金額を限度にお支払いします」とされており、同社は全損の定義に「盗難され発見されなかった場合」を含めています。つまり盗難で車が戻らなかったケースは全損として扱われ、免責金額は差し引かれない扱いになります。取扱いは保険会社ごとに異なるため、約款で確認してください。

保険金を受け取ると、保険法第24条にもとづき、その車の所有権は保険会社に移ります。日本損害保険協会の解説では、自家用自動車保険普通保険約款の車両条項により、保険金を支払った日の翌日から起算して60日以内に車が発見された場合は、受け取った保険金を保険会社に返還すれば車の返還を受けられるとされています。契約している会社の約款で日数と手続きを確認してください。

出典

車両価格・装備はトヨタ自動車の公表値およびメーカー公式の主要諸元表・主要装備一覧表にもとづきます(ランドクルーザー“250”は’26年4月現在、“FJ”は’26年5月現在のもの)。装備一覧に「記載がない」とした項目は当該一覧表に見当たらないことを示すもので、仕様変更やグレード追加により変わる可能性があります。盗難統計は日本損害保険協会の第27回自動車盗難事故実態調査(保険金が支払われた事案の集計)および警察庁の犯罪統計にもとづき、両者は集計対象が異なるため件数が一致しません。保険の補償内容・特約の名称および条件は保険会社ごとに異なり、本記事で挙げた東京海上日動およびソニー損保の内容は各社が公表している商品説明の要旨です。保険始期日によって内容が異なる場合があるため、契約時は各社の約款・重要事項説明書をご確認ください。セレクトラは保険料の算定や特定商品の推奨を行っていません。